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長旅を終えた《cafe abu》

 旅するスーパースター、蕎麦宗です。

 《cafe abuは長い旅に出ます…》

そう店先に書かれていたのを、残念な想いで眺めたのは2007年のこと。あれからもうずいぶんと経つ。
 伊豆修善寺《虹の郷》にほど近い、別荘地にあった《cafe abu》。カラフルでキュートな普段着的インテリアには不釣り合いな、伊豆牛やオーガニック食材などをふんだんに、陶芸家《武田武人》などの高価な器も惜しみなく使う贅沢なカフェだった。
 
 店主さんの作る料理やスイーツは素朴で洒落ていて、染み渡る滋味滋養があってとても美味しい。夫婦でとても好きな店だったので、自転車やクルマでよく出向いた。また、同世代の商売仲間として、愚痴やらアイデアやらを3人で度々話し込んだ。【スナックmoglieモリエ】に書いたように、あの頃はまだ随分と若かった。
 彼女の生活の変化により《cafe abu》の閉店を決めた際の入り口に掲げた文言に、旅から帰っていつかの復活を心待ちにしていた。
 あれから16年。そのabuが伊豆長岡に場所を改めてオープンしたのは2023年の7月。少々経ってしまったけれど、ようやく出向くことが出来て嬉しい。

 古屋を改装して造作された店内は《abuワールド》全開。とはいえ、以前よりもシックで落ち着いた雰囲気になったのは、彼女も母親になったゆえか。

『あっという間に…もう若くないよね、お互い』

なんて、女性に対してデリカシーのない言葉で意地悪く新オープンを讃えつつ、長い間待ち焦がれた料理の味わいは昔日のまま。舌鼓を打ちながら、その時の流れの残酷さにほんの少しだけ目が潤んだ。
 カモロースのサラダ、カボチャとベーコンのクリームパスタ、黒胡麻のケーキにカフェオレ(写真撮り忘れた)。相変わらずどれも美味しく、そして懐かしさにも包まれる。
 
 『また、abuのモノを食べられる日が来てよかったよ』

店主さんにつぶやくように伝える際に移した視線の先には、いくつもの見慣れた椅子がある。蕎麦宗の常連さん達ならば、きっと見覚えのあるそれ。そう、Yチェアにとって変わった、かつて蕎麦宗で使われていた椅子達だ。
 今回、abuの改装にあたって中古品を購入してくれて、彼女自身がペイントして使ってくれているのだ。赤・白・ターコイズ…彩り豊かに塗り具合も可愛い。リユースでなく《アップサイクル》というに相応ふさわしい、再び息吹を与えられた椅子達も嬉しそうだし、この店の雰囲気にもとてもしっくりしている。【モノを天寿まで使う】とは、いつぞや書いた通りで、これにも心持ちは、嬉しさと共に少々潤んだ

 さてこの《cafe abu》。毎週金・土・日曜日を基本に、今のところ不定休にて営業している。詳しくはInstagramで発信しているようなので下記↓をご覧下さいな。
 まだまだ、知られていないので今はひっそりとしているけれど、《蒼テラス》ですっかり映えスポットになった《伊豆パノラマパーク》の向かいにあるこの店、そのうち中々入れない大人気カフェになるのは決まっているようなもの。
 ぜひぜひお出掛けして、お腹と心を満たして頂きたい。また蕎麦宗のお客さんであれば、あの懐かしい椅子もご堪能下さいな!

では、ガンバラナシませう。

cafe abuのInstagram
cafe abu
ターコイズが美しい
シンプルなインテリア
この椅子も
かつての蕎麦宗の椅子と店内

#カフェアブー #cafe abu #名作椅子 #伊豆パノラマパーク #リユース #アップサイクル
#最近行ってよかった店


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山川宗一郎
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