今、買うのなら。自転車のベストバイを考察【初心者編】(再録)
旅するスーパースター、蕎麦宗です。
先だって
『ロードバイクの購入を考えていて、アドバイスして欲しいがために来ました』
というお客さんが来てくれた。ここのところ自転車関係の方々はとんとご無沙汰なので、なんだか懐かしい気持ちに包まれた。これから買わんとする趣味が始まる最も楽しい瞬間を共有させて頂けたし、久しぶりに自転車について語れて楽しかった。で、そういえばそんな記事を以前書いたなぁって思い出したので、ちょっとだけ加筆修正して再録することにした。今回は無料にしたので、よかったらご興味ある方はご一読を。ちなみに前回収録時に有料で読んでくれた方は一人しかいない。鼻高々に自慢して下さい。その不足分は今度桜エビのかき揚げでもオマケしますね!
では以下、再録はじまりはじまり↓
昨日、自転車の価格の話を書いた。たまには直接役立つ話も書こう。ということでベストバイを考察することにした。対象はあくまで初心者、これからスポーツ自転車を始めようという方のためだ。
本業はもちろん手打ち蕎麦屋だが、ここまでnoteに書いてきたように、自転車を愛し、多くの方に自転車を勧めてきた。そんな40数年間の経験をもとに有料記事として気合い入れて書いたので、ご興味持たれた方は是非ご一読を。note上のマガジン【蕎麦宗店主の自転車クロニクル】や【自転車に乗って】とセットにして、合わせて読んで頂くとより伝わるかと思います。
では、はじまりはじまり。
⒈はじめに
かれこれロードバイクブームと言われて10年以上が経つ。健康志向や漫画『弱虫ペダル』の影響もあり、自転車が移動手段ではなくスポーツであるという認識は世間に浸透したと言える。そんな折、コロナ禍での密を避けるために自転車通勤へのシフトの話題も耳にする中、スポーツとして自転車を始めようという方も年齢を問わず多いのではないかと思う。
昔とは異なりインターネットによって情報はいくらでも手に出来るようになった。一方でその情報過多によって、どんな風にはじめたら良いか、何を買ったら良いのか迷う場合も多いと思われる。また雑誌やブログの紹介する情報が行き過ぎた商業主義によって偏ってしまっている部分もある。そこで、僕自身の経験則をもとにしたリアルな情報をお届けしよう、というのが今回の記事の趣旨だ。
⒉種類
スポーツ自転車を始めようと思った方はまずその種類に驚くだろう。ロードバイク、クロスバイク、MTB…etc。そこへEバイクという電動アシスト付きのスポーツ自転車も加わってますます悩ましい。そこで、自転車通勤も含めたフィットネスで使うことに絞り話を進めよう。
おススメする選択肢は二つ。ロードバイクまたはクロスバイク。違いはハンドル形状とタイヤの太さ。ロードバイクはドロップ(くるっと丸まった)ハンドルと細めのタイヤで、よりレーシーなスピードで走る自転車。クロスバイクはフラットバー(直線)ハンドルと太めのタイヤで、歩道の段差や多少の荒れた道も安心。将来的にレースやイベント参加も考えるならロードバイク。街乗りオンリーならクロスバイクでよかろう。
ジープのようなルックスでMTBを選ぶ方もいるかもしれないが、今時のそれは専門分化が進み特殊すぎるので通勤やフィットネスの道具としてはオススメしない。クルマでいうところのSUVにあたるグラベルロードという種類も出始めたが、これも1台目のスポーツ自転車としてはちょっとしっくりこないと思う。
なので、ロードバイクかクロスバイクから選ぶことをお勧めする。
⒊価格
さて、次に価格。最高級品は150万円以上もするが無視して良い。そしてなにかと上級品を買おうとする人もいるがこれもやめた方が良い。なぜなら本格的なレーサーのためのもので、乗りこなすにはそれなりの筋力やテクニックが必要だからだ。逆に安物で始めようとする人もいるがこれもバツだ。何十人もの人に自転車を勧めてきたが、ズバリ一番難ありな選択は8〜10万円のクロスバイク。それらを買った場合には大抵の人は自転車を辞めるか、半年経たないうちに買い換える。中途半端な価格(買物)は中途半端な覚悟を表しているということだ。(追記:2021年〜の価格高騰でプラス5〜10万円出さないと同様のものは買えません)
価格的に無理だとしたらスポーツ車は諦めて、5万円のママチャリを購入しよう。それだって走れば十分運動になる。続いたらご褒美にナイスなバイクを自分に買ってあげるのも良いだろう。
なので、ロードバイクなら35万円。クロスバイクなら20万円といったところ。この予算にはヘルメットやグローブは含めていないが、この2つは安全のための必須アイテム。廉価品でも良いので必ず用意して欲しい。ただビンディングシューズ(ペダルと一体化する靴)は後々でよい。ふつうのペダルとスニーカーなどで走って、レベルと目的でアップグレードしよう。これだけの金額を出したらほとんどの方は辞めない。だって勿体無いもの。
⒋ブランドとカラー
次に気になることはブランドやカラーだろう。ブランドに関しては今時どこを選んでもハズレはない。大手のアメリカブランドやお洒落にイタリアブランドもアリだがブランド代の分、割高感はある。『コスパ』という言葉が好きな方は台湾ブランドを選べば間違いない。なぜなら世界中のどこのブランドであれ生産しているのは台湾メーカーだからである。
なので基本的には自分が愛着を持って大切にできる、カッコいいあるいはカワイイと思えるものを選ぼう。長い期間過ごすのだから好きな方が続くのは物でも彼氏・彼女でも同じ。
ただしカラーに関して《黒=ブラック》だけは気をつける必要がある。まさに闇夜にカラスとはこのこと。車からの視認性が落ちるので、危険性が高いのだ。自転車は道路上(車道の左側)を走るスポーツなのでそれだけは承知しておこう。実はこれは初心者が陥りやすい選択。なぜならブラックカラーはレーシーでカッコ良く見えるからだ。それは特に女性に多いが、できれば派手なカラーで目立つものを選ぶ方が良い。その方が安全。
⒌その他
素材に関してはロードバイクならばカーボン一択。趣味性を求めるならクロモリ(鉄)やチタンもあるが高級なので嗜好品と思った方が良い。クロスバイクはアルミが多い。これはお求めやすい価格が魅力だが、最近のカーボンとの価格差を考慮すると微妙なところで、ひょっとすると優しくない乗り心地に辟易してしまうかもしれない。乗り心地の悪さは自転車遊びが続かない原因にもなるので気を付けよう。
加えてブレーキの選択。クルマやオートバイと同様な仕組みの油圧ディスクブレーキが主流になり、それはびっくりするほど効く。しかし、今までの規格であるキャリパーブレーキが効かないわけではない。これはこれで100年以上続く自転車の完成形の一つなので、もうしばらくは無くなることもない。また、ディスクブレーキ規格に変更される都合上、キャリパーブレーキ用のフレーム(車体)や予備ホイール(車輪)やアフターパーツも投げ売り状態。舗装路を走る分には今までの規格で十分なので価格がお得な分、そちらを選ぶのも今ならばアリだと思う(2年経ってだいぶ状況変わっているので出来ればディスクブレーキ車を)。
これにEバイク(電動アシスト)にするかどうかを加えるとしたらプラス10万円といったところか。坂道が多いところに住む方や年配者にはその選択は大いにアリだと思う。ただ、スポーツ自転車は走りがとっても軽くなるギア=変速機があり舗装路の坂道もスイスイ上れるし、Eバイクはバッテリーを含め重量が重く、取り回しが扱いにくい一面もあるから慣れや注意も必要だ。
⒍ショップ
そして最後に一番大切なのはどこのショップで買うかだ。
初めてスポーツ自転車を買うのにインターネットなど通販は絶対にあり得ない。実は自転車は車以上にメンテナンスが必要。また、身長や手足の長さによって個々にあったサイズが重要になる。ぶかぶかのスーツで怪我はしないが、合わない自転車は大事故の原因にもなり得る。初心者のフォームにしっかりあった自転車を目利きの方に選んでもらおう。
それにほとんどの方は後々自転車いじりが楽しみになる。カスタマイズやグレードアップはあなたのモチベーションを必ずや引き上げてくれることだろう。
以上を踏まえ、信頼のできるメンテナンスやアドバイスをしてくれる店を選ぼう。コツは店長さんやスタッフさんと気が合うかどうかのみ。それは人それぞれの性格によるので一概にどこがいい誰が良いとは言えないが、長い付き合いになるのでストレスを感じない店選びが大切だ。クルマで通えるくらいの距離の範囲で探して、色んな店に出向いてみるのも一興だ。
⒎さいごに
いざ始めるとなると難しかったり知らないことだらけで困ることもあるかと思う。しかも自転車の専門店はなんとなく敷居が高い。偏屈オジサンとか愛想がなかったりする場合も実は多い。でも、皆、基本的に自転車が大好きでシャイな方々。まぁ、ちょっと勇気がいるかな。かといってネットや海外通販は初心者にはリスキー過ぎる。安さにつられずに、高い買物だからこそよく吟味した上で、目一杯楽しんで購入して欲しい。
さて、そんな方達のためにもこの情報を書きました。もう少し聴きたいと思った方は是非蕎麦を食べながらそんな話を振っていただけたらと思います。ホテルのコンシェルジュのように、スポーツ自転車を始めるお手伝いを出来るかと思いますので、遠慮なくお尋ね下さいね。
以上を参考にステキな自転車ライフを始めてもらえると良いなって思います。
ではでは、ガンバラナシませう。