金龍に乗った将軍
旅するスーパースター。蕎麦宗です。
尾池善彦。この名前を覚えておいて損はない。どこぞの国で銅像になるか、時が許せば破天荒な自伝が世を賑わせるだろう。
1.蕎麦行脚
2023年の1月6日は、*天赦日と一粒万倍日が重なる、この年最強の幸運日。そんな日に蕎麦宗へひょっこりとやって来た彼と、やけに意気投合して語らった一日だった。会話したのは初めてだったが、10年ほど前から何度か来店してくれているようで、
『宗さんの蕎麦で目覚めて全国行脚が始まりました』
と言う。京都の生まれ育ちゆえの『蕎麦とは美味くないもの』という彼の認識を崩したのがウチで、また相当な食通である事も手伝って、それから回った蕎麦屋は3桁を越えたらしい。そのうちで美味い蕎麦屋は川越と岐阜に加えて蕎麦宗の3軒だけだと話し、《好み》を踏まえても何とも有難い評価を頂いた。
話が弾んだのもそれはそのはず。この方、兎にも角にも話が面白い。壮絶で、かつスケールがどデカい。齢も近く同世代なのに、異なる場所でこんなにも異なる人生を送って来た人がいることに興味を覚えた。
お住いは東京赤坂という。『えっ、あそこって住む所?!』が僕の認識で、その風貌と秘書めいた付き人(三浦尋一さんといってこの方もIT関連会社の経営者)の存在感も含め、『一体何者?!』だったことは否めない。後に伺った話も含めて紹介すると、ソリューションコンサルタントを生業とする会社の経営者で、
『一言では、やってる事の説明が難しいんですよ』
と彼が語る通り、例えば非代替性トークン・ブロックチェーン・暗号資産・工場や港の買収…etc。他にも沢山あるが、関連する企業の名前を聞いただけでも想像を遥かに超えていて、全く『???!』な僕とは無縁な身近でない事だらけだった。
2.情熱と札束
そんな尾池さんからもう一つ。それは、僕が暑っ苦しく今とこれからの挑戦を話し、熱っぽく若者達への未来を語った時で、
『自分も若い時はこんな風に生きてた筈やのに…この歳でまだそんな人が居てるんやなんて』
と褒め言葉を頂いた。ただでさえ人は歳をとって丸くなる。社会的な成功を収め、何一つ不自由ない暮らしを手に入れたなら尚、爪も牙もしまい『まぁまぁ…』と新たなチャレンジの道を自ら閉ざして行くのが普通だ。
だからなのか後日話した時、この2023年最強運日に営業時間を*とおに過ぎても長居して延々と語り合ったことを振り返ると
『あれは、正直言って悔しゅうて打ちのめされて立てんかったんです』
と、褒め称え方もまた|潔く清々しい。『格好良い』とはこういうことを指すのだ。
そんなだったからか、
『宗さん、なんでも言うて下さい、大抵のことは何でも出来ますので、力になります』
と言ってくれた。そこで僕が、とある提案を披露すると、顎を捻るそぶりに応えた三浦さんがゴソゴソとカバンの中をまさぐる。そして新券の1万札が10枚束になって蕎麦宗のサービスカウンターの上にドンと置かれた。続く
*天赦日と一粒万倍日…暦の良き日の事。経営者のほとんどはこういったゲンも大事にする。
*とお…とっくに
3.最強の幸運日
蕎麦宗のサービスカウンターの上にドンと置かれた10万円の束は、僕が提案したクラウドファンディングへの即答である。図々しくもお願いしたそれは、ちょうどレイラインツアー挑戦の活動資金を賄うために募集中だった。とある提案とはこの事で、島根・出雲大社から千葉・玉前神社までのレイライン上の7つのパワースポットを自転車で巡る《祈りの旅》にて、受けたお札と*神宮大麻を背負って運び、その8枚のお札を重ねて
『春分の朝陽に掲げる儀式で締め括るんですよ』
と、鼻息荒く説明してすぐだった。
『宗さん、そのお札ぜひ僕に譲って下さい。レイラインツアーを応援させて頂きます。良き日にこんな素晴らしいお金の使い方が出来るだなんて、これは必ず何かが返って来ますので…こんなありがたいことはありません!』
『ホンマに?!こんなことあるん?!』と思わず関西弁で言いたくなるほどに驚いたけれど、そこは百戦錬磨の経営者。経験則から有意義なお金の使い方を熟知しているのだろう。ましてや今日は天赦日と一粒万倍日が重なる、2023年最強の幸運日。なので、そのお気持ちも含めて有り難く受け取った。すると、
『今日、宗さんと話して、置き去りにして来た夢にもう一度向き合おうと思いました。友達との果たせていない、どんな小さな約束も含めて、改めて思い出して取り組もうと思いました。熱い心を若い人達に伝えて行くことは、僕らのこの歳(50代)になった人間の使命やと思います。思い出させてくれておおきに!ありがとう!』
そう言って、ちょっぴり太った船越英一郎みたいな強面が、満面の笑みに代わった。こういうセリフをサラッと正直に言えるのもまた、やはり格好良い。
4.カリスマコンサルタント
2023年3月21日春分。早朝の虹や天使の梯子などなど奇跡の計らいに彩りを添えられて、レイラインツアーも儀式も無事に成功裏に終わった。その際の様子は【レイラインツアー2023】をお読み頂くとして、その前日の夜の事。
ゴールした千葉・上総一宮の宿泊地に、忙しい仕事の合間を縫って尾池さんが三浦さんと共に顔を出してくれた。
『宗さん、なんか黒塗りの車のヤバそうな方々が見えたんですけど…知り合いですか?』
と、あの【龍神ゴロー】こと橋村吾郎ちゃんでもソワソワと落ち着かない様子だったのは無理もない。一見あちらの方?!と見紛みまがう面構えを包む、放たれた圧倒的存在感のオーラは、知ってる僕も含めた仲間達をその場に釘付けにし、所用にてトンボ帰りした後も、まるで居残り続けているかのように皆の記憶にデンと座した。。
とはいえ話せば気さくな人。なので宴のあいだも壮絶な興味深い経験談を語ってくれて、皆も興味津々に和気あいあいと時を過ごす。が、なんの話題だったろうか。話の流れで僕が謙遜して
『いえいえ、ただの蕎麦屋ですから…』
と答えたときだ。少々語気を強めてこう尾池さんは言った。
『宗さんはただの蕎麦屋じゃない、只者ではない蕎麦屋です!』。
遜のが日本の文化であっても、己の評価は下げずにすべきだ。そしてそれを表現する言葉を選ぶ必要がある。そう説いた言霊は心に突き刺さった。叱責をも柔らかに包んだ温かい指摘は、まるでコンサル。いやそうだった!何千何万という個人や企業を見つめ続けアドバイスして来たコンサルタントの鬼神あるいはカリスマ。それが尾池善彦という人の本領。
この機会は僕の意識を明らかに高めたと思う。とても印象強いので、そして多くの人達にも伝えたいので、ここに記しておく。
…さて。レイラインツアーから半年ほど経った頃のことだ。
『これってとっても素晴らしいダウンロードだよね』
と、披露した一連の尾池さんの言葉を聞いてこう表現した人がいた。スピリチュアルヒーラーの愛守花さんである。続く
5.スピリチュアルヒーラー
《ダウンロード》という言葉は、ヒーラーの間で使われているもの。言霊や声掛けがその人の精神や行動に多大な影響を与えるということを、コンピュータ用語になぞらえた表現で、実に言い当て妙。なのでその用語を知ってから、僕もことさら言葉選びを気をつけるようになった。
例えば…親が子供に対して『バカだねぇ』とか、上司が部下に対して『使えないヤツだ』と、ネガティブなダウンロードを繰り返すほどにその通りになってゆくのは確かで、逆に『賢いなぁ!』や『只者じゃない!』とダウンロードすれば、より素晴らしい人になってゆくことだろう。
最初はにわかに信じられなかったスピリチュアルやヒーラーも、そんなこんなも含めて愛守花さんに会ってからは確信めいたものとなった。詳しい紹介はまたにするとして、彼女はホンモノの《視える人》・《聴こえる人》だ。
そして、それを受け入れると次から次へとヒーラー達は現れ、身近になるものだ。直接的な繋がりであれ、何の脈絡もない場合であれ、多くの方々と繋がった。ゼロオロジーの創始者・*|ヒロ瑤令《ヒロようれい》さんもその一人だし、*出雲のゆうこさんは《口貸し》というまるでイタコのような特殊な能力を持つヒーラーで、その方とも親しくなった。
秋が始まる頃のある日、
『京都から金龍が来た!どーんって脳の横をやられたよ!私もゆうこも…怖かった』
と、愛守花さんからのLINEがあった。
おっと…。
僕には慣れっこになっているスピリチュアル過ぎるこの手の話題も、あまりにも唐突な話の展開に目が点に、あるいは首を傾げている読者の方ほうが多かろう。少々先に説明しておく必要があるかも知れない。
もちろん、この先をフィクションのファンタジーとして読んでくれても構わない。いずれにせよ、世の中には不思議な事がずいぶんと沢山あるのだけは間違いないが…。
では、説明しよう。
この世界には、目に見える・音で聞こえる・匂いや味で分かる・触れて感じるモノがある。それらは視・聴・嗅・味・触の五感とその組み合わせによって、人間が他の存在を把握しているからだ。逆に五感によって捉えられていなくとも存在しているモノもある。例えばウイルスや細菌は顕微鏡によって可視化され、あるいは星々からの粒子や電磁波などといった放射線は観測機器の発展によって存在が確認されたモノ達で、それがなかったら《否存在》の扱いのままなはずだ。
少々乱暴にざっくり言うならば、この世の全てのモノが実はエネルギー体(波=wave)であり、その中で人間の五感によって可視化・可触化等して把握できているモノを物質と呼んでいる。
そしてまるでこれら機器のように、研ぎ澄まされた第六感よって捉えた存在を、一般人のありきたりの五感でも分かるように翻訳して伝えてくれるのが、ヒーラーと呼ばれる人種である。その彼等自身が把握している見えない聞こえない存在を《エネルギー体》と名付けた。霊・天使・精霊・神といった馴染みあるものもその一つだし、狐きつねや天狗といった*眷属けんぞくもそうだ。
これらは人類の悠久の歴史の中で度々イメージされ、芸術作品などでも表現されているので理解しやすいだろう。《龍》はその中でも代表的なもので、エネルギッシュで活動的、あるいは強靭かつパワフルで富をもたらすといった印象を多くの方が共有しているかと思う。
6.京都からやってきた金龍
…さて、《京都からの金龍》の話に戻ろう。
《視える・聴こえる》ヒーラーと《口貸し》ヒーラーは互いに確認し合いつつ、その能力を研鑽しているようで、その日は愛守花さんの元へと京都からやって来たという《金龍》を確認すべく、ゆうこさんの口貸しによって語らせるということになったようだ。
『お前達(愛守花とゆうこ)のことは知っている。人間と我々(龍)との会話を繋ぐ者がいると言う噂を聞いてここへ来た。』
金龍はメッセージを伝えたい者がいるようだが、その日は多くは語らず去っていったようだ。
『金龍って龍の中でも一番凄いの。凄すさまじいエネルギーでさ、私もゆうこもヤバかったんだ。でも、なんで京都から…』
そう聞いた時、僕の頭の中にすぐさまピンと浮かんだ人がいた。
『その金龍ってさ、ひょっとしたら尾池さんに関係してるんじないかな!』
そう言って思い付くままに情報検索を始めたのだった。続く
*眷属…神の使いとされる動物のような姿をした精霊。
*ゼロオロジー…*|ヒロ瑤令《ヒロようれい》は*0ゼロ学の創始者・御射宇彦の最後の弟子。シュタイナー理論などを加え0学をさらに進化させたもの。
*0学…|御射山宇彦《みさやまうひこ》により考案され、易・四柱推命・気学・西洋占星術などの様々な占術を基にして作られた運命学の集大成。
*出雲のゆうこ…下記のご本人のnote記事を参考↓