見出し画像

【2.寒川神社(神奈川県寒川町) …レイラインツアー2024】

2日目の走行ログ

寒川神社

 2日目の出発の朝も曇り空で、秋を感じさせる清々しい気温は石井を安心させたようだ。人並外れた身体能力を持つ彼もロードバイクは初心者。実際、前回レイラインツアー4日目の【4. 琵琶湖・竹生島神社(滋賀県長浜市)】にて、初めて自転車旅をしたっきりで、それから一年半100kmを超えるようなロングライド経験は無いようだ。
 そんな彼の不安を払拭するもう一つの理由が手塚で、彼等は高校時代の親友。昨日の僕と高崎同様に、同級生のよしみは道中をリラックスさせてくれるようで、手塚もどことなく肩の力が抜けて愉しげに思えた。

 大和駅から寒川神社までは昨日と同じ中原街道。しかし、連休が明けた朝の道路の交通量は多く、狭い道路も相まって酷い渋滞だった。車道をそのまま行くのではいつまで経っても進まない。やむを得ずドアミラーをかわすように路肩をすり抜けると、不慣れな石井は驚いていたようだが、器用な彼のことだ、直ぐに要領を得て3人でスイスイと進んだ。
 小一時間で到着した寒川神社の長い参道を*トレインを組んで行く。朝イチでの参拝はそのあとの旅程に余裕を生むのでとても気が楽だ。到着して直ぐに参拝。お札を受けているところに連絡が入り、今回もクラファンしてくださった神戸さえ氏と、前回もこの区間で応援に来てくれたFM小田原の佐久間プロデューサーが駆け付けてくれた。
 昨日に引き続いての応援。実にありがたく嬉しいものだ。以前も書いたように、応援はする者とされる者という区別をヒトの脳は認識しない。声援を送るその心持ちは、自身に対するエールでもある。走る者と応援する者が、この旅を共有することで一体感や絆を創りだせるとしたら、それこそレイラインツアーの目的通りで僕としてはこの上ない喜びだ。
 スマホで地図を広げこの先にゆくルートを確認した僕等3人は、神戸氏ら2人に見送られて足早に寒川神社をあとにした。

*トレイン…列車のように連なって自転車で走ること

寒川神社でコマネチ
神戸さえ氏と

伊勢原・秦野の大渋滞と松田でのパンク

 県道44号で相模川を渡ると酷道だった。伊勢原へと向かう道は狭く信号も多くそして交通量も多い。沿道は稲穂が実り黄金に変わって秋の色。そんなのどかな田園風景の中をトラックがひっきりなしに往復する。国道246号に入ると更にそれは顕著で、ヒヤリとする瞬間も何度か体験した。
 実は東京都内の方が走りやすいことは、初日の船橋付近でも感じたことで、広く整備された道をハイヤーなどの職業ドライバーがスムーズに駆け抜ける。時折りの違法駐車を除けば明らかに快適だ。
 それと比べると、東京近郊の地方都市の道は整備されきっているとは言い難い。しかも完全な車社会。人工密集地帯なので台数は多く、それに物流交通が拍車をかける。国道246号は東名高速の側道。*前回4日目の中山道の話にて書いたように、送料無料などの低コスト化の煽りを受けているのが、この交通事情なのだ。
 渋滞にイキリ切ったトラックドライバー達の運転は、時間制限により尚更荒くなる。何度もヒヤヒヤしつつ、それでも動こうと歩道を行き来した。法規上はOKでも、ロードバイクのマナーとしては格好いいものではない。しかも繰り返しされる段差から、身体も自転車もガタッゴトッとボディジャブを浴びる。このダメージは地味に辛い。しかし、それらを気にしたら一向に進まない。秦野から松田まではなんとか誤魔化しつつそうやって進んだ。
 そうこうしているうちに雲が晴れ、灼熱の太陽が覗く。気温は爆上がり。まだまだ続く夏。山北からの山岳地帯に入る前に、コンビニに立ち寄って水分補給をすることにした。

 松田のセブンイレブンで手短に給水作業を済ませ、さて出発!と準備しているそこへ、昨日の丸子橋に応援に来てくれた小中さんがまた来てくれた。エアタグのおかげでクルマで追いかけたそう。ありがたい。
 が、見送って頂いて走り始めると直ぐに、 

『石井がパンクです』

と手塚の声が背後から掛かった。
 どうやら、先程の歩道走行の段差にて起きた*スローパンク。路肩や歩道走行はパンクのリスクが上がる。先へと進めたかった手段も、痛し痒しのリスクを抱える方法だということを再認識させられた。僕と手塚はチューブ交換に慣れっこなので、代わりに作業にあたり、事なきを得た。
 よし、様子見しながら再出発しよう。

*前回4日目…こちらの記事をどうぞ↓

*スローパンク…微細な穴が空き、ゆっくりと空気が抜けるパンク

山北からの山岳と十里木の峠越え

 パンク修理は問題なく、再び国道246号を行く。この辺りは並行するバイパスと旧道を出たり入ったりしつつ、風光明媚な丹沢山塊の緑に包まれる快適なルート。特に遠回りする箇所の旧道は、蛇行する川面が綺麗でクルマもほとんど来ないので、3人で話しながら和気あいあいに走れた。
 静岡県に入ると小山町。本来なら正面に富士山。だが、この日は雲に隠れている。石井は御殿場で離脱することが決まっているので、あと僅かなツーリングのひとときを噛み締めるようにペダルを漕いでいる。緩斜面とはいえ、上り坂なのでスピードは出ない。それが丁度良く、同級生の会話に花が咲いたよう。路肩の植え込みに覆い被さるように仙人草も咲いている。標高は500m。一足早い秋。

 御殿場駅を過ぎたところで停車。ここから石井に見送られた僕と手塚は、国道469号へと移ってもう500m上る、この旅で一番の峠へのアタックとなる。別れた石井は三島への緩い下り坂。無事に帰宅できたようだ。お疲れさん。

 国道469号。2020年の東京オリンピック自転車競技にて使われたコースがこの道で、プロレーサー達の*プロトンがとんでもない速度で走ったのを想像しつつ、僕らはのんびりと富士の裾野の草原の中をゆく。両サイドの平原は自衛隊の演習場で、あたり一面がススキの原。その向こうに白く湧き立つ雲間から、一瞬だけ青々とした富士山が観え隠れする。
 と、気持ち良いのはここまで。この先は10%を超える登坂が続き、重い荷物を積んだ僕等の自転車にはひっくり返りそうなほどに感じる。それにしても長い。いや、実際には大した距離はないはずだが、以前よりも8kg増えた体重と、ついつい明日のことが気がかりになって温存モードになるゆえだ。
 明日は最長250kmの最難関区間。今日は122km。倍以上を走ることになる。
 そのうちにサファリパークの看板が現れて、峠も終了。ここから先は気持ちの良い下り坂だ。

国道246号旧道から東名高速と新東名
自衛隊の演習場

*仙人草…こちらの記事をどうぞ↓

*プロトン…レースでの集団走行。空気抵抗が減って超高速で走る。

二つのコノハナサクヤヒメ

『面白いこと見つけました、AMANDA90t-Rexの後ろに付けば速度はピッタリです』

そう言ったのは手塚。体重差が僕と15kgある彼は下り坂に弱い。理由は定かでないが、単純な自由落下の法則通りならば速度は釣り合うはず。なのに、直前のトレーニングで石井のサーヴェロS5を借りて走った際は、大きく離れていた。それは、彼が後ろに付いて空気抵抗を減らしても、さらに上回るエアロ性能を最新のバイクが有しているからで、逆にクラシックな形状のAMANDAとならば、その二つの物理法則が釣り合うことを表している。さて答えは如何に?でも視点はさすがの薬剤師。理科系らしい。

 そうやって楽々とくだるうちに、右手に村山浅間大社が現れた。ちょっと気になったので立ち寄ったのは、事前に愛守花氏より受けていたメッセージがあるからだ。

アメノトコタチノミコト
 早々に行たる。さる9月9日明け渡しの技を始める。
・それはどういうことですか?
地球全体と、光を受け取れる人間達に。
彼らを秘密の場所にお連れしなさい
・誰?
迷ってるものたちです。
・私にわかりますか?
あの方があの方たちを連れて行く。
・誰を連れて行くの?どこに?
ひの、神いるところ
・山川宗一郎さん達ですか?
そうです。交わるべきところがあります。
・どこそれは?真鶴?まないのたき?
木花咲耶がいるところ
力になる。時をよく見ろ。見て。

この中にコノハナサクヤヒメの名が出てきた。ここ村山浅間神社の祭神でもあり、明日参拝の富士山本宮浅間大社の祭神。浅間大社の御神体は富士山とされ、レイラインも山頂を通っている。結局のところ、謎のヴェールに包まれたままに、もう一つのコノハナサクヤヒメのもとへと向かった。

 国道469号から県道180号に曲がり、富士山の登山口から続く真っ直ぐな下り道を行く。

 『ちょっと急ごう、ギリギリだ』

そう伝えたのは、お札を受ける時間が残り20分と迫っていたからだった。

 本来ならば、一日に一つの神社参拝をルールとしたこのツアー。しかし、翌日のルートをかんがみると負担が多過ぎて非現実的である。神社も営業時間があるからだ。そこで、お札だけは今日のうちに受け、参拝は明日早朝の5:00から可能だということで、そうするとこにした。
 そして、まさかの痛恨のミスをしていたことにもここで気がつく。なんと、浅間大社に程近い富士宮駅ではなく、そこから12kmも離れた富士駅の近くに宿を取っていたのだ。

 さてその富士山本宮浅間大社にはなんとか間に合った。お札を受けに社務所へ向かう。よし、これで一安心。腹ごなしに富士宮焼そばだ!
 サポートカー役の大岳さんとLINEで連絡を取って明日の日程調整をしつつ、間違えた富士の宿へと向かう。明日の朝は早い。参拝への出発は5:00。早めの就寝に限る、と思う間もなく深い眠りに落ちた。

村山浅間大社
間違えて富士市の宿

#挑戦 #レイライン #レイラインツアー #自転車の旅 #チャレンジ精神 #商売繁盛 #出雲大社 #大神山神社 #元伊勢皇大神社 #琵琶湖 #竹生島神社 #富士山 #富士浅間大社 #寒川神社 #玉前神社 #クラウドファンディング #勇気ある一歩 #約束を果たす

いいなと思ったら応援しよう!

山川宗一郎
読んでくれてありがとう。少しはお役に立てたかな⁉︎。聞きたいことあったら、ぜひ質問くださいな。もし楽しい気持ちになれたなら、ほんの少しだけ応援ヨロシクです。