蕎麦宗で、最初に出してるお茶への想い
旅するスーパースター。蕎麦宗です。
『このお茶やっぱり美味いねぇ』
常連客でもある親友の《辰野》が久しぶりに来店してくれて、蕎麦宗のお茶を一口すすった際に開口一番こう言った。慣れ親しんだものでも、ふと、そう感じ入ることはよくあることで、この日は改めてそう思ったようだ。
そのお茶は最初に口にする一品と位置付けて、原材料も決して手を抜くことなく、福井産の高級そば茶と地元韮山の《蔵や鳴沢》さんの焙じ茶をブレンド。それらを知人の井戸から汲ませて頂いている三島の湧き水で煎じている。
蕎麦宗のそば茶は、正真正銘の福井県産蕎麦の実を同県で加工したものだ。しかも、今時流行りのトレーサビリティとやらで、この蕎麦の実がどこの畑で穫れたのかまで分かるというから恐れ入る。
蛇足になるが…正真正銘などと言ったのは、お茶界隈の裏事情。加工さえすればその県産と名乗れる体たらくゆえ。多くの蕎麦茶は〇〇県産とは名ばかりの外国産蕎麦の実。緑茶ならば滋賀県で作っても宇治茶だったり…。
また、この焙じ茶を作る《蔵や鳴沢》さんは、世界遺産・韮山反射炉の脇にあり、レストラン・土産物屋と《反射炉ビア》を運営している。この醸造所で地ビールを作って26年(2023年現在)になり、その《反射炉クラフトビール》は当店でもご用意しているもの。
《蔵や鳴沢》さんの栽培する茶畑は、醸造所の横手の丘にあって、登ると手前に韮山反射炉、奥に富士山という二つの世界遺産を同時に観られる世界で唯一の場所。言うなれば、この茶葉は二つの世界遺産を眺めて育った!となる。
そんなわけでとっても良いお茶ですよーと宣伝している話ついでに、修業時代の親方の言葉を思い出したので書くとしよう。
…当時(2000年)は《緑茶》がペットボトルに入った飲料として、ようやく認知された頃。お茶屋で購入した茶葉を急須で入れて飲むモノ、からのシフトが始まっていた。
修行先の沼津・懐石八千代では、それは それはびっくり価格の高級緑茶や焙じ茶を使用していたが、その理由は先に述べたひと口目の一品であることと、コースで15,000〜20,000円(今ならその2倍以上するだろう)の料理を出す名店だったから。
当時も今も、ましてや茶所である静岡県民的には、お茶にお金を出すという感覚は皆無。飲食店では無料サービスで出てくるものという認識が一般的。
そこで、ペットボトルのお茶の話を持ち出して、『有料でもいいはずだ』と言い出したのが親方で、その話に自分も妙に納得した記憶がある。2000年では時代が早く、当時は実現出来なかったものの、今なら何の違和感もなかろう。ワインボトルに抽出された極上緑茶が、日本酒以上の高価格で売り出されている時代だ。
このことが示すように、席料やチャージも同様で、徐々にそうなってゆくのが、これからの飲食店の在り方。その代わりに、決して手抜かりなく、自信を持ってお勧め出来るモノをお出しするのが蕎麦宗。
そんなワケで、蕎麦宗の《蕎麦膳》は蕎麦で〆るちょっとしたコースとして、先付けや蕎麦はもちろん、そば茶やそば湯もお楽しみください。
そして*Yチェアや食器の手触りなども、存分に味わって頂けたらなら嬉しく思います。
お時間の許す限り、ゆっくりゆったりと《蕎麦で〆る〜美《うま》しとき・丁寧なこと》をお楽しみくださいね。
では、ガンバラナシませう!。
*反射炉クラフトビール…反射炉ビアさんのリンクはこちら↓
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*Yチェア…ハンス.J.ウェグナーが1950年にデザインした名作椅子で、デンマークのカール・ハンセン&サンの製造。さらに詳しくはこちらを↓