Moglie 〜モリエ〜 その2
隣のスナック「モリエ」さんが昨年12月に閉店し、新規店の内外装の工事が始まった。前回はオーナーの渡辺善次さんが常連客として来てくれていた話で、今回はママさんだ。
moglieとはイタリア語で「奥さん・妻」という意味の、かれこれ40年近い歴史があるパブスナック。モリエのママさんはオーナー善次さんの奥様で、時折同伴で蕎麦宗に立ち寄ってくださった。外で見かけるのは夜の時間帯がほとんどだったが、いつも小綺麗にしていて品があった。何年経っても年齢不詳な妖しい美しさは、夜の蝶そのものだった。
昨年(2019)の師走のはじめの明け方、店の前でお会いした。遅くなった夜に、翌朝まで店内で泊まって帰るのは、スナックのママさん達にとっては日常のこと。すっぴんだからか、朝だからなのか、たいていは軽く会釈だけして、できるだけ人と顔を合わせないように足早に去って行く。
その後ろ姿は、15年間変わらないように見えて「さすがにママさんも歳をとったなぁ」って思わせた。無理もない。善次さんの話から推測すれば80歳前後のはずだ。けれど、それ以外はいつもどおりなので、たいして気にも止めず、僕は水汲みへと出かけた。それが…。
《空き店舗 入居者募集中》
知らぬ間に閉店して、不動産屋の看板が貼られていた。最後にお見かけしてからまだ一週間ほどしかたっていなかった。つづく
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