患者-医師関係をグッと縮める3つの小ネタ
家庭医ギータです。虚空に向かって書き続けます。
今日は臨床のちょっとしたTips、とも言えない小ネタです。
「困っている患者さんと、いかに"よりよいコミュニケーション"をとるか」
をテーマに、毎日体調を整え、メンタルを鍛え、家族との生活も犠牲にして修業に励んでいるわけですが……
ちょっとした工夫で随分と患者さんとの距離を縮められることがあります。今日はそうしたテクニックのご紹介です。
0) 「コミュニケーションって難しい…」と思ったエピソード
先日、訪問診療の場面で患者さんの奥様にこう打ち明けられました。
「先生だから言うんですけどね……、
以前に外来でみてもらっていた○○先生、
主人は本当に嫌っていたんですよ。
その時のことは私も覚えているんですけど、
「はじめまして」の外来の時にね、挨拶したら、なんと
電子カルテを書きながら、椅子にふんぞり返っていたんですよ!
……以来、主人はあの先生のこと、全く信頼していませんでした」
患者さんとのコミュニケーションは本当に難しいな〜、と思ったエピソードでした。
というのも、○○先生はギータの知る限り、
とてもコミュニケーション能力が高くて患者受けがよい先生なのです。
同僚の医師や看護師にも紳士的に振る舞ってくれるので、
誰からも信頼されている仏様のような先生です。
そんな○○先生が?no way!ありえない!
可能性としては……
「○○先生、よほど疲れていたのかな」
「○○先生なりの、新しいストレッチ法だったのでは?」
「患者さん自身に、何か別のことで気に入らないことがあったのかな?」
など色々と考えられますが、こればかりは当日の状況がわからないので、
憶測であれこれ言っても仕方のないことです。
ほかの患者さんの対応で相当、メンタルを削られて、
たまたま機嫌が悪かった、ということはあるかもしれません。
ギータが日頃、筋トレして体力を保ちつつ、
暴飲暴食は控えてコンディション調整に血道をあげているのは、
40歳を超えて無理のきかないカラダになってきた、というのが一番ですが、
やはり疲れていると他の人に優しく接することができなくなるから、
というのも大きいわけです。
いつ落とし穴にハマるかもしれない気の抜けない毎日ですが、
うまく使えばみんな少し幸せになれるかもしれない小ネタの紹介です。
1) Googleマップ
生活になくてはならないアプリの筆頭です。
週によってはスマホ時間の大半はGoogleマップさんの御世話になってます。
使用する場面として、退院して訪問診療を始める前に病院で行われる退院前カンファレンスです。
※注意❗
もちろん、患者さんの住所は個人情報なので、濫用してはいけません。
ただ、実際に患者宅に伺うことになるので、住所の確認は必須です。
「どこに住んでいるか」
「駐車場はあるか。なければどこに停めればいいか」
などリサーチする必要があるわけです。
そこでGoogleマップの出番です。なかでもストリートビューは重宝します。
実際に患者さんの家をスマホでストリートビューで映したうえで、
「車はここに停めていいですか?」
と聞きながら話を進めると本当にスムーズ、かつ盛り上がります。
前の病院のボスが上手に駆使していました。
いきなり自分の家を映され、ほかの参加者に曝されると
不愉快に感じる方もいるので、場面を選ぶことや、
患者さん・家族との信頼関係が構築されていないのに使うのは御法度です!
2) 「名字由来ネット」
こちらはつい先日、チームで病棟を回っているときに
現職場のチームのボスに教えてもらった使い方です。
以前からこちらのサイトは知っていて使ったこともありました。
(ちなみに自分の名字はかなり珍しい部類に入るようです)
ボスの知り合いの活用方法が秀逸です。
患者さんで珍しい名前の人がいると、こちらで調べてみるそうです。
そして、全国での分布を確認し、その方の出身地などの話題と絡めると、
かな〜り盛り上がり、その後の病状説明もスムーズにいった、とのこと。
患者さんとうまくコミュニケーションをとるために、
全国のお医者さんもそれぞれ頑張っているんですね。
3) プロ野球 or 韓流ドラマ
これだけ娯楽が多様化しても、やはり中高年世代の、特に男性にとっては
一番の娯楽がプロ野球です。
畢竟、患者さんとの雑談でプロ野球の知識はかなり役に立ちます。
札幌時代、「日ハム」ネタにどれほど救われてきたか……。
一方、中高年女性の場合、鉄板ネタはやはり「韓流ドラマ」でしょう。
うちの母も韓流ドラマにハマって独り、韓国へ単身、旅行に行ったときにはその行動力と韓流ドラマの魔力に驚いたものでした。
最近の韓流ドラマでは、こちらが最高でしたね!
注意点として、Netflixで観られる最近の韓流ドラマと、地上波で放映されているドラマとでは、若干、テイストが違うようなので、私のように
「”愛の不時着”は最高でしたよね!」
と韓流ドラマにハマっているという患者さんのご家族に話題を振ったものの、相手が知らずに気まずい沈黙が流れる、という失敗をしでかすことになります。
まあ、無理に勉強する必要はありませんが、上記のネタに精通していると、
患者さんとの「波長合わせ」がスムーズにいく可能性があります。
特に在宅診療の場面では、患者さんとの雑談が診療の大半を占めていると言っても過言ではない(語弊がありますが…)ので、上記の話題がハマれば患者さんとの距離がグッとちぢまるはずです。
4) まとめ
いずれの手法も患者さんとの心理的な距離を縮めるのに役立ちます。
突き詰めると、相手に不快感を与えないことを大前提として、
「あなた(の興味があること)に関心を持っていますよ」
ということが伝わればいいのかなと思います。
今日もお付き合いいただき、ありがとうございました。
ギータの闘いはつづく……。