がん緩和ケアにおける古典的な論文を読む
家庭医ギータです。
連続記録が途絶えても、しれっと再開します。倒れても立ち上がるのみです。
1) 本日の論文
今日はがん患者さんとのコミュニケーションでよく使われるコミュニケーション・スキルである“NURSE”を取り上げた論文を読みました。というのも、こちらの技法について、新しいチームメイトたちにお伝えするミッションをいただいたためです。
2) “NURSE”とは?
“NURSE”とは患者さんの感情表出を促進する技法です。5つの言葉の頭文字を取っています
N (Naming) 命名
U (Understanding)理解
R (Respecting) 承認
S (Supporting) 支持
E (Exploring) 探索
医師より、看護師さんの現場で広まっている印象があります。
がん患者さんのケアだけでなく、生死に関わる重大な知らせを伝える際に有効な技法です。
以下、論文の導入部です。
医師と患者の間のコミュニケーションは、がん治療の基本的な側面ですが、ほとんどの医師はコミュニケーションに関するトレーニングをほとんど受けていません。患者が最も重視するコミュニケーションの側面は、患者とその家族が導かれていると感じ、信頼を築き、希望を支えるものです。これらは抽象的な資質かもしれませんが、効果的に教えたり学んだりすることのできる具体的なコミュニケーション・スキルのセットから導かれます。
コミュニケーションは性格などの特性ではなく、教えたり、学んだりすることができる、というのが重要なポイントですね。
米国国立がん研究所は1999年にがん患者とのコミュニケーションを「特別な機会」と位置づけ、米国臨床腫瘍学会はコミュニケーションを臨床医の重要なスキルと位置づけ、米国医学研究所はコミュニケーションを、がん患者の支持療法や緩和ケアを改善するための6つの基本的な臨床医のスキルセットの1つとしています。
お医者さんはコミュニケーションに関わるこうした技法を医学生時代に学びますが、医師になってからあらためて学ぶ機会は非常に少ないはずです。
こちらの本には豊富な例が載っていて参考になります。
3) 型を身につけるのと同じくらい大事なこと
こうした「型」を身につけ、経験を積む中で自分にあったスタイルを確立していることが大事ですね。
ギータ的には、そうした技法を通じて、「私はあなたに関心がありますよ」ということを相手に全身、全力でお伝えすることではないかな〜、と思っております。まだまだ修業の身ですが……。コミュニケーションには正解はないので、死ぬまで訓練ですね。
4) まとめ
チームメイトへのレクチャーでは、技法のみならず、その技法を使う上で大事なハートもお伝えしたいと思っております。暑苦しくないように、独りよがりにならないように。
ギータの闘いはつづきます…