ジェンダーについて考える
幼少期、父親から「お前ほどジーパンが似合う女は居らん」と言われて、その言葉が嬉しかった覚えがある。
「〇〇ちゃんってかっこいいね」
と同性から言われると舞い上がった。
スカートよりズボンの方が好き。動きやすいから。
少女アニメより少年アニメの方が好き。カッコイイから。
今思い返せば、自分の性別に対しての違和感は幼少期からあったのだと思う。
「男の子っぽいから止めなよ」
「女の子なのになんでそんなに雑なの?」
「女のくせに」「男のくせに」
そう言うみんなの【当たり前】がしんどかった
スカートを履くことに対しての違和感。
「制服ってなんで女はスカートなん?」
中学に入る前、そう母に言ったら
「女やねんから当たり前やろ」
と言われてモヤッとした記憶がある。
女だからといってスカートしか履いてはいけない理由があるのか?
制服が嫌で、中学3年間でまともに制服を着たのが両手で数えられるぐらいだったと思う。
この頃は1人で生理用品を買いに行くのも嫌で、下着屋さんなんて入る事すらできず、店の外で待ってた時もある。
こんなにも違和感の中で生きていたのに、
「女だから仕方ない」
と諦めていて、それが当たり前になってしまった。
そのうち働き始め、人生で初めて彼氏というものが出来た。
そこに特別な感情は無く、ただ相手が自分のことを「好き」と言ってくれたから付き合っただけだった。
「〇〇はもっと女らしい服を着た方がいい」
そう言われ、好みでは無い黒のドレープがかった細身のシャツワンピースを着るととても喜んでくれた。
自分が着たい服じゃないのに喜んでくれた。
けど、そう言った周りの意見を取り込んでいくと、
周囲の自分に対する言動が変わる事に気付いた。
「こういう服を着ていた方がみんな優しい」
「可愛く、綺麗にしていた方がみんな仲良くしてくれる」
そう感じた。
だからみんなと出かける用のレディースのファッションと、
一人で楽しむ用のメンズのファッションで服を分けていた。
レディースの服は異性からも同性からもウケがいい。
メンズの服は同性からのウケがいい。
そうやって服装を変えて楽しんでいた。
そこでぶち当たったのは、
異性からの「可愛いね」「綺麗だね」という褒め言葉への不快感。
褒められて嬉しいはずなのに、異性からの褒め言葉はどうしても嫌悪してしまっていた。(申し訳ない)
それよりも、同性から「カッコイイ!!」と言われる以上に嬉しいことはなかった。
そんな20代を経て30になり、
また不快感を生み、刺さる言葉ができた。
「早く子ども産まなきゃね」
「いつ結婚するの?」
「彼氏作らないと枯れちゃうよ」
「女性が煙草吸っちゃダメだよ」
なぜこの人たちに自分の人生の指針を決められないといけないのか?
元々結婚願望は無いし、子どもが欲しいとも思わない。
煙草だって好きで吸ってる。
昔から「女だから結婚して子どもを産む」
というシステムに嫌気がさしていた。
ちょうどこの頃、同じ会社で勤める先輩が私とよく恋愛話をしたがっていたのだ。
「〇〇さんって、営業の〇〇くんとかどうなの?」
「〇〇さんは彼氏作らないの?」
という数々の発言に呆れ、というより話がしたくなくて、それまでロングだった髪をバッサリ切った。
髪の毛を切ると、面白いぐらいにその先輩はそういった話をしなくなった。
ここで、「昔似たようなことあったな」と、
見た目や雰囲気で周囲の自分に対する言動が変わることを思い出した。
女らしい私
から
女らしくも男らしくもない私
が出来たのだ。
その時に幼少期から抱えていた性別に対しての違和感を思い出した。
今まで当たり前になって受け入れていた自分の性別。
「自分は一体どうなりたいのか?」「性別を変えたいのか?」「これは病気なのか?」
誰にも言えず、悶々と悩む日々が続いた。
ちょうどコロナが流行り始めた頃、在宅勤務が続き、自分の時間が増えたことによってニュースをよく目にした。
その中に「LGBT」という文字があり、性について考えるという見出しに興味を持った。
まだその時、自分には馴染みのなかった言葉で、読んでみて自分と似たような人が世の中に沢山いることに気づいた。
そして、トランスジェンダーという言葉を知り、
「性別の概念がない」自分はジェンダーレスというものになるのか!
と、腑に落ちたのだ。
長年の違和感がスーッと溶けていくかのように、
心が落ち着く感じがしたのだ。
そこからたくさんの記事やネット情報を見て、
トランスジェンダーの中にもいろいろあり、
最近はXジェンダーの両性にあたるのかな?
と新たな発見をしたばかりである。
また、胸を抑えて平たく見せるシャツがあると知り、即購入した。
大好きな服を着ても胸の膨らみが邪魔で、ファッションを楽しめなかったので、この胸を潰すシャツを買ってからすごく気が軽くなり、ファッションも楽しめて背筋も伸びた気がする 。
それがここ1年ほどの話。
年齢や性別関係なく自分を楽しんでいきたい。
だからたまに煙草も吸うし、メイクもするし、可愛いピアスも買うし、それでも「カッコイイ」と思える自分で居たいと思う。
拙い文章でしたが、最後まで呼んでくれてありがとうございます。