【1章】 4.”郷に入っては郷に従え”
「ーーーーーどこだよっ!ここっ!美都市じゃねえじゃねえかっ。
うるしの野郎、オオボラ吹きやがって…」
ーーーガサッーーー…
ーーーニャアアーーーー
「うわっ、ビックリしたっ!!脅かすなよ、猫かよ!!
…あ~もう、なんなんだよ…。
うるしの送ってきたこの地図通りに来たら次々あそこ行け、ここ行けと指示がきやがる。。そして行くとこ行くとこで喧嘩売られるしよぉ。
うるしの野郎、俺の連絡先をワケのわからんサイトに登録したに違いねえ。帰ったらシメる…。」
ーーピコンッーー
「…はあ、またかよ。送り主誰なんだ、これ。」
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差出人:S
件名:おめでとう
ここまでたどりついた君はすごいぞ。
あと少しだ、ファイト ^^) _旦~~!<一発!
↓
9.次はここへ行け ⇒ https://www........
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「しかもなんか腹立つメールだな、クソッ。
…一個移動するたびに無駄にボロボロになるしよお。これで”屋敷”に辿りつかなかったらまじで殴るぞ、あいつ…。
つうか後何回移動させんだよ、ボケカス!」
ーーーーーピコンッーーーーー
「ーーーーーあ。また返事来た。こいつやっぱり面白いよ、千影」
「なんて来た?」
「はい」
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差出人:神田
件名:Re:おめでとう
何回移動さすんじゃぼけかす シね
えらそーにすんな
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「口の悪いガキじゃ…」
「口だけじゃない、態度もガラも悪い。
見ろよ、行くところ行くところで雇った奴らより先に手を出してる。俺こんな野蛮な人間見たの千影以外で初めてだよ」
「お前は口の減らんガキじゃな」
ーーゴツンッーー!
「いてっ!お前、似てるぞ、この男に。すぐに手が出るところ」
「目上のモンに向かってお前言うな。
ったく、口と態度の悪さはお前だって大したもんだわい」
「そりゃどうも。
ーーーで?どうするの?」
「どうするとは?」
「彼、腕っぷしがいいじゃないでも子供だ。
ーーーやるのか?」
「うむ。お前はどう見る?シキよ」
「そうだね。ーーーーあれは濃いよ。今まで見た中じゃ最高じゃないかな」
「うむ。わかった」
「……やるの?」
「ああ、取り決め通り。本人が望むならな」
「OK、準備しておこう」
ーーーーカチャッーー…
「…珍しく気が早いのう。あいつが承諾すると?」
「するさ。何もなしに帰して納得する様なタマには思えない。
それに彼、相当に濃いぞ。ああいうのは血の気が多いんだ。仕掛ければきっと乗ってくる。
ーーーどうせそのつもりでしょ?」
「フンッ。まあな」
「ったく、子供にも容赦ないな」
「人の望みにガキも大人もないのさ。叶えたい奴は賭けてくる、自らを顧みず、全てを。
ーーーお前だってそうだろう」
「ーーー…なるほど、確かにね。
…まあ、俺は子供ではないけどね。向こうじゃ十七はもう立派な大人さ」
「馬鹿もん、”郷に入っては郷に従え”、だよ」
「どういう意味?」
「よその土地へ行ったら、その土地の風習を尊重し、それに従えって意味さ。 他郷に自分の国のやり方を持ち込んでもうまくいかない、ってね。
お前も向こうと此処では差が大きいだろうが、それもまた勉強じゃ」
「いい言葉だ、気に入った。メモメモ」
ーーーササッーー…
「……どれ、お前漢字わかるのか?」
「わからない、漢字はまだダメだ。あとで調べる」
「締まらんのう…」
「む、どんな字だ?」
「お前のまだ習ってない字だ」
「わかってる。それを教えろ」
「それが人に物を頼む態度か」
ーーーゴツンーーー!
「ーーッ痛いな、だから叩くなって!良くないぞその癖は、何歳だろうと、どこであろうと」
「フン、大きなお世話じゃ、じじい、ばばあはどの世界でも横暴なもんなんじゃよ」
「開き直ったな。タチが悪い婆さんめ」
ーーーゴツンッーーー!
「お前に婆さん言われたくないわ!」
「…ててっ、千影、やめろさすがに痛いぞ…!」
「呼び捨てにすなっ!!」
「じゃあなんて呼んだらいいんだ…」婆さんもお前もダメ…
「そんなもんは自分で考えろい。さあ、さっさと用意じゃ。奴がもう来る」
「人使いも荒いし…。ええと、”じじい、ばばあはどこの世もおうぼう”とーーー」
「それはことわざじゃないわい」
「あ、そうなの?」
「メモばっかり取っとらんとはよ用意をせえ」
「はいはい。そうしたらまず、注射器だねーーーーーー」
ーーーーカチャッーー……
「…ふう……耐えれたらいいな。
待ってるよ、”神田 冷基”くん。
“こちら側”へーーーーー」