待ち人来たる
大きめの駅前のベンチに座っているといろんな人が見れて面白い。
人の待ち合わせを眺めるのが私は結構好きだ。
友達と待ち合わせをしている時はもちろん、自分が誰とも待ち合わせをしていなくても、待ち合わせをしている人を見るために駅のガラス張りのカフェでぼーっとしたりすることもある。
そしてこうやって見たものを文章に起こすのも好きだ。
広場の座れる階段は若い子がたくさんいて、二人組の女の子はもれなくTikTokを撮っていた。
実際TikTokかどうかはわからないけれど、スマホを縦に固定してふにゃふにゃ踊っていたので大体TikTokだろう。
こんなに流行ってるんだ…!と驚き。
日が傾いてきて今いるところが影になったからか、写りの高さが気に食わないのか、二人組が移動したら、そこに別の二人組が来て同じように気だるそうに踊っている。
今まで何組がそこでダンス動画を撮ったのだろう。
元の二人組も移動した先でまたふにゃふにゃの振り付けを練習していた。
私にはふにゃふにゃ踊る楽しさがわからないし、わからなくてよかったなと思った。
中学生の頃にTikTokなんて無くてよかったなとも心底思った。
広場にある遊べる浅い水場では、中学生くらいの男女6人組がキャッキャ遊んでいた。
夏休みも最終日、駆け込みの青春だろうか。
否、彼らはこの夏散々青春をしてきたに違いない。
思いっきりそういう風貌をしている。
黒のTシャツに黒のパンツにシルバーのネックレスをして白いカーディガンを羽織った男子、膝くらいでスリットの入ったデニムに白いショート丈のTシャツを着たポニーテールの女子。
どこからどう見ても陽キャである。
私とは交わらなかった人達、そして今後も交わらない人達。
陽キャは好きではないが、子どもたちには今を大変謳歌して欲しいなと思うし、でもその時期が一番だとは思わないで欲しいなと思う。
いろんなことを面白がれる大人にぜひなってほしい。
楽しい大人に彼らがなれますようにと、台風の去った後の熱を帯びた風を浴びながら、これを書いていたらいつのまにか広場にはダンスを練習している子たちは誰も居なくなっていて、青春6人組も帰っていた。
ちゃんと日が暮れる前に帰る、良い子たちであった。
待ち合わせをしている人を見るより、最近の中学生の遊びと自分が中学生だった時の差を感じて驚きと切なさの混じった気持ちになった。
私も待っている人が来るのでそろそろ動こうと思い、ベンチから立ち上がった。
中学生の夏休み最終日は大体宿題に追われて、なんなら追い抜かされて気づけば私が宿題を追いかけていた。
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