ときめき なぞめき ビザンチン |#毎週ショートショート
1095年、ローマ教皇ウルバヌス2世様は、ビザンツ帝国の皇帝様から援軍要請を受けました。すぐに演説を行い「聖地エルサレムを異教徒イスラームから解放せよ」と呼びかけたのです。翌年から第1回の十字軍遠征が始まりました。
修道女だったんです、わたし。しかも美容師との二刀流。モテたんです、騎士や修道士から、めっちゃデートに誘われて。規律・戒律に厳しいサマンサ修道女総長は、修道院がジェンダー問題によって乱れるのを憂慮、男女交際マッチング・カードをお創りになりました。
司祭や修道女は、神への隷属を誓ったため、それを破れないので結婚は断じて許されない。「でも、交際だけなら、まッいいか」と、サマンサ修道女総長はピースの指をして、ニッコリ。
男女の付き合いを健全に保つため、まず、女子は自分の素顔・性格・体格・好き・嫌いを公にしない。なぞめかす。眼差しで男心をときめかす。男子も女子も交際したい異性ができた時には、修道院グッズショップでそれぞれマッチング・カードを購入。メンズ用、レディース用とも、12種の動物のオス・メスが描いてある。
カミングアウト・ルームで、担当修道女も立会い、じゃんけんポンの要領で「ビザンチーン」と言いながらカードを見せ合う。二枚とも同じ動物の絵だったら、マッチング成立です。
わたし、一昨日、生まれて初めて、マッチングに成功しちゃったんです。もう、うれしくって。恋のパスポートだもの、大切にしないとね。5人の男まで使えるよ。 〈了〉
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