『令和 一揆』一幕一気読み #毎週ショートショートnote #この中にお殿様はいらっしゃいますか
令和6年10月27日、江戸は東京なり。何やらエラそうな装束に身を固めた方々が、東京駅前に参集せり。一人のおっさんが、すくっと立ち上がった。威厳付けか、インフルエンザこじらせかは、知らねど、咳並びにくさめをば、ドデカい音響ゲホゲホやりながら、MCおっぱじめた。
「オースッ。この中にお殿様はいらっしゃいますか 」
「はーい」。全員が手を挙げた。「いやあ、失礼いたしました。本日は、ここには〝殿〟さんとおっしゃる、苗字の全国順位60,347位の方20名様にお集まりいただいております。私は、MCの久米伊知郎と申します。よろしくお願いいたします」
一段と声を高くした。
「今日我が国におきましては、政治局面においても夫婦別姓化の方向へ進むなど新たな動きが見られます。私ども『JAPAN先祖供養愛せよ/苗字連絡協議会』では、皆様方の〈愛苗字精神〉に報い、一層の活性化を図るため、もっとサプライズフルなプロモーションを、多く展開し、皆さまのご期待にお答えしたいと存じます。第1回目として、一幕の舞台〝令和の一揆〟を上演いたします。20名の本物の『殿』さんの元へ、素人の事前に応募いただいた方〝先祖から今もお殿様にいじめられ、搾取されたことがあるとお考えの皆さん〟に素人新国劇に参加いただき、思う存分暴れていたただこうと、上席Creative Market Director久米伊知郎の、指圧の心は母心でざいます。さーて、いかなる結末となりますやら、あれもこれもあなた様のひらめきと想像力次第でございます」
久米MCが電話ボックス大の箱に入り、ドリフターズの志村けん〝ばか殿様〟の衣装に着替えた。イカリや長さんの爺家老も登場。MCが叫んだ。
顔も人生も、おもしろく。
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