Guardian~心の世界~
…ここはどこだろう。
独りの少女が目覚める。
彼女は辺りを見回す。
彼女は道端で仕事の帰りに帰っていたはずだ。
道は続いている。
歩いている感覚もある。
だが、ふと目覚める感覚がした。
目の前には卵が浮かんでいる丁度両手で包めるくらいのサイズだ。
不思議に思い彼女はその卵に触れてみようとする。
すると卵にヒビが入り中から角が見えた。
立ち止まることなく歩き続ける彼女の目の前で一定の間隔を保ちながら卵は先を行く。
そして中から出てきた角はパリパリと音をたてて殻を破った。
赤い色をした小さなドラゴンがぎゅっと目を閉じた姿からパッと目を開けて両手両足、翼を広げた。
そして私の目の前に飛んできて手のなかにおさまりこう言った。
「よう!ようやく会えたな。」
訳もわからずそのドラゴンに聞く。
「どういうこと?」
「お前に呼ばれてきたんだ、これから必要な事を教えるために。俺を呼んでいただろう?」
「…えっ!?人じゃないの?てっきり赤い紐の先には私を助けてくれる人が繋がっていると思って楽しみにしてたのに。」
「残念だったな。現れたのがドラゴンで。」
「びっくりはした。しかも小さい。」
「これから俺はお前に「楽しむ」事を教えてやる」
「え?なんだって?」
「楽しめ!とにかく楽しめ。余計なことを考えるな。楽しいと思うことをしろ。」
小さなドラゴンが指を私の顔に向けて楽しそうにそう言う。そして私の回りを飛び回った。
数ヵ月前私には鈴が見えた。
歴史物のゲームに出てきそうな一本の棒に何個も鈴があり、細い棒で真ん中の一本の棒に繋がっているそして持ち手には紐が結んである。
その鈴が勢いよく飛び散り四方八方に鈴のついた紐を伸ばしてどこかへ消えてしまった。
その紐が赤、緑、黄色、青、ピンクの色をしていて大小様々な鈴が付いていた。
飛び散る先に何があるのか分からなかった。
紐には無数の鈴が付いていて、鳴るときと鳴らないときがあった。
紐を手繰り寄せようとしても先が見えない。
なんとなく予感はしていた。きっとこの先には私を助けてくれるそんな存在が現れたときに出会うと。
ただ、人外だとは微塵も思ってなかった。
ドラゴンは楽しそうに目の前で飛んでいる。
楽しむことをしろと言うが最近は上手くできているように感じていた。
好きなことをして過ごす時間が多いし、行きたいところにも行っている。
それなのに、このドラゴンは「楽しめ」と言ってきた。
どういうことなんだろう?
思考を巡らせる。
それがその時の私には分からなかった。