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稽古日記 12/1-12/5 笠木泉

12/1
稽古休み。でも、大きな1日。稽古というか、いろいろあって、橋本和加子さんと一緒に海に行く。どういうことかというと、一緒に私の実家のいわきに行ったのだ。両親とワカコとイヅミの4人旅。父の車でいろいろなところに行く。途中四倉の道の駅で和加子さんがカキフライを食べたり私がそばを食べたり両親がラーメンを食べたり、最終的にはいわき駅横ラトブ1階のおのざきで寿司を食べて、ひたち号で帰京。ものすごい濃密な時間でした。父と母に感謝。貴重な休みの日に私の帰省についてくれた和加子さんに感謝。

海を見た、海まで2時間半

12/2
稽古。今日から4日間、同じ場所を借りての稽古だ!やったー。とても素敵な場所をお借りしたのだよ。荷物の多い私にとって、荷物が置けることはもちろん素晴らしかったし、あとなんといっても家から近い。これは最高だった。自転車で通える。ただ他のみんなにとってはちょっと遠い場所。というわけでみんなを労うためにおにぎりを握っていくことにした。新米だから美味しい。稽古場で、少しずつ問題を洗い出し、みんなに意見を聞きつつ、少しずつ進めていく。休憩をしながら、休憩になるとすぐに「みんな、ねえ、みんな、おにぎりあるよ」と声をかける。私はおにぎりさんである。1章の考え方を少し転換し、稽古する。みんなの理解度が早く、私の拙い言葉からエッセンスを抽出して咀嚼し実践してくれる。もっと私に演出の言葉があればいいと思うし、ないのであれば一生懸命に伝えるしかない。それは、私の大きな課題である。でも、みんなが素晴らしいので、大丈夫。そうも思う。ただ見続けること。


12/3
稽古。昨日みんながたくさん食べてくれたので気分がよくなりまたおにぎりさんとなる。握った。ゆでたまごとお漬物も作った。これはもうお弁当さんである。ロケバスに乗ったときに食べるおにぎり弁当を目指したい。同じ場所で稽古。オープニングから構築する。毎日稽古をしていると自分の視野が果たしてきちんと機能しているのか気になる。みんなからのアドバイスに助けられる。稽古中、ふとした演出の変化から、梓さんや和加子さん、鳥島くんの舞台上での表情が「ふと、一瞬、何もない」ように、変わっていき、そこに心を動かされる。その一瞬の「空白の時間」をつくる俳優の身体はやはり素晴らしいと思った。俳優の身体、いまそこにある身体を見てもらう。わたしの目指すところなのかもしれない。セリフなんかなくてもいいから、じゃあ、演技とは、とか、戯曲はいらないのかとか、そういうことでは決してない。自分に話しかける。もっと考えていい舞台にしたいのだ。当日パンフレットの文章や公演のあらすじを書く。戯曲を完成台本として入稿準備。

いわき市の泉駅

12/4
稽古。衣装のタムナデ姉さんが稽古場に来てくれた。衣装、わー、超素敵!テンション上がるー!たくさん持ってきてくれて本当に感謝です!おにぎりあげます!制作の加藤さん参加。安心感がハンパない。今回加藤さんと一緒に制作業務をしているが、今まで一人でやってきたチケット配券や当日運営の準備など一気に担ってくれていて、それによって私の負担が10000パーセント減った。加藤さんがいなかったら、私はもう今頃どうなっていたかわからないし、何より、一緒に話し合いながら制作業務にあたれる喜びを日々加藤さんから教わっている。私は基本的に制作業務が好きだ。チケット配券の作業も好き。ケータリングを揃えるのも好き。当日運営の流れを考えたり、みんながやりやすい現場を作りたいと思っている。チケットを購入してくれるお客様のお名前をひとりひとり覚えるのが好きだ。感動する。ああ、買ってくれたんだ、嬉しいです、ありがとうございますって思う。相手の顔を思う。そこに喜びがある。衣装を探すのはとにかく店をハシゴし、歩かなければならないので大変だが、これも好きだ。稽古場を見つけるのも時間がかかるし大変な作業ではあるけど、いい場所が見つかったらガッツポーズするだろう。ただ私はスヌーヌー。お金はない。別にそれはいい、ってずっと思っていて、ただ、じゃあ自分が全部背負い込んでやりますっていうのはもう違うなと思った。わたしが自滅したら、つぶれたら、意味がないなって純粋にそう思う。頼めるところは頼んで、一緒にものを作る喜びを分かち合うこと。私がやるべきことはまず戯曲を書き、演出をする。俳優と稽古を構築し、自分の思う舞台を作る。あと、絶対に倒れない。まあ、もちろん、そんなうまくいかないけれども、体調もメンタルも。人生そんな簡単じゃないけどさ。私は、作演出以外、他のことも、スヌーヌーではできる限り全部やる。でも、お願いするところはちゃんとお願いしような。今、そう思う。タムナデ姉さん、加藤さんについて書いた。感謝の気持ちでいっぱいである、一緒に考えることができて楽しいです、ありがとう、と、そういうことが書きたかった。

稽古は進む。こつこつ実験しては壊す。もっといい方法があると思うと、考え込んでしまうが、じゃあすぐにやってみようとなる。みんなのおかげである。家に帰り作業多い。やることが多くて整理がついていない。思いついたことからやる。優先順位を決めねば。PCの容量が足りなそうだ。まずい。プリントパックさんにお世話になりっぱなしだ。私の入稿データは毎回どこか少し間違えている。毎回丁寧に訂正してくれるプリントパックさん、ありがとうございます。


12/5
稽古。今日でこの稽古場ともお別れなんて寂しいじゃないか。今日は通し稽古予定だ。この4日間、どんな稽古をしたのか、おさらいしていこう。稽古場に上村聡くんが来てくれた。上村くんとは出会って20年になるだろうか、長い長い、ずっとなんだか一緒にいる友達である。遊園地再生事業団から、ラストソングス、最近では劇壇ガルバでも一緒で、会うととにかくずっと演劇の話をしている友達。来てくれて嬉しい。通し稽古を見てもらうことに。通し稽古前の抜き稽古中、自分的に懸念のシーンにおいて、和加子さんに意見を聞いてみて、なるほどその通りだと思うことがあった。目が覚める。そうだ。それで行こう。そして演出助手のとのちゃんも稽古場に到着。とのちゃんは大学生なので学業優先で稽古場に来てもらっている。稽古場では記録をとってもらったり、テキレジ(テキストの変更をメモして反映させる作業)をしてもらったりと大活躍だ。さらに今回とんでもないことが。とのちゃんが、劇中の音楽を作ってくれたのである。ある日の稽古場で「音楽、作ってみたいです」と言ってくれたので、おー!と盛り上がり、いいじゃん!いいじゃん!と、その場でお願いした。やりたいことを自己申告し、声にするのは勇気がいっただろうとも思ったし、私はその心意気がめちゃくちゃいいぜ! と思ったので、ぜひ作ってみてくださいと、お願いしたのだった。今日はとのちゃんが作ってくれた音楽をあててみる。彼女が作った曲、私が考えた歌詞、一緒に考えた夜中の時間を、私はとても嬉しく思うし、みんなが「とのちゃんの作ってくれた曲、いい曲だねー!」と喜んでいる。とのちゃん、すごい。ありがとう。すごいんだよ、とのちゃんは。というわけで、通し稽古。時間を測る。ストップウォッチは劇壇ガルバ「砂の国の遠い声」で演出をさせていただいた時に購入した、ちょっといいやつだ。いいやつで測る時間は格別なのだ。公演まであと一週間。もっと稽古して、こうしたいああしたい、ということももちろんあるが、俳優の三人が、象の鼻テラスで、迷わない、自信を持ってこの時間を楽しんでくれたらいいなって思った。ステージにはたくさんの要素があるだろう。でも、最終的にものすごくシンプルなものがあればいいと思う。私の思う三人、三人が思うそれぞれの存在。稽古し、考え、その先にあるもの。もしかしたら科白全ては一瞬のうちに消えていくもの。上村くんに感想を聞く。ビールも飲んだ。赤星、飲みました。とても励まされる。ありがとう。

荷物は多いが、私は大丈夫です。今日でおにぎりさんは卒業。次回から稽古場が遠くなるからね。さよならおにぎりさん。たくさん握りました。やることが多いならこの稽古場日記を書かなければいいのではと思うものの、これは一応、宣伝のためでもある。偶然読んでくださった方が、この公演に、私なりの演劇の創作過程に、そして演劇自体に、少しでも関心を持ってくれたらいいなと思う。


荷物が多い人の一例


本番まであと一週間!千秋楽は完売!
チケット予約お待ちしております!
snuunuuseisaku@gmail.com
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