有報の感想 (株)サンエー 2018年2月期

(感想)

・沿革
GHQ占領下時代に創業したために、当初資本金がドル建。歴史を感じる。

・セグメント
小売事業とCVS事業。
CVS事業はローソン沖縄。沖縄へコンビニエンスストアはローソン(サンエーと提携)とファミリーマート(リンボウグループと提携)が進出していた。しかし、セブンイレブンはずっと進出していなかった。提携先がなかったことが理由といわれている。しかし、自前の工場を建設し、沖縄へ進出する予定となっている。そうなると、沖縄の勢力図も変わるかもしれない。
また、小売事業もイオンが進出してきていることから、競争が起こっている。(ただし、イオンは県民にそこまで受け入れられていないという話も。)サンエーも大型モールを建設中であり、イオンと対抗しているのだろう。
非支配株主に帰属する当期純利益は5億円程度であり、ローソンとパルコでおよそ10億円の当期純利益なのだろう。

・株主構成
創業者である折田氏の一族が大株主に多く入っている。社長は上地氏と一族ではないと思われるが、会長は折田姓であり、一族の意向が反映されている可能性もある。会長の力が強いなど。

・キャッシュ・フロー

2018年2月期の投資はモールへの支出が大きいと思われる。純資産も厚く、営業CFもプラスで、財務安全性は高いように思える。

・監査法人
トーマツが行っている。おそらく、那覇事務所で行っているのだろう。パートナー2名、公認会計士5名、その他6名。ほぼ、那覇事務所のメンバーはほとんどアサインされているのでは。ちなみに報酬は28百万円。日当10万円とすると、280日の監査時間となる。

監査上のリスクは、通常の小売業であれば、①固定資産の減損、②設備投資③リベートであろう。現金及び預金が大きいので、資金流出もリスクとして考えることもあり得る。収益認識は基本的に現金取引であろうから、重要な監査上のリスクはないと思われるが、監査基準委員会報告書で原則として特別な検討を必要とするリスクとするとしているので、特別な検討を必要とするリスクとして識別しているだろう。ひとりシステム監査人を入れて、POSを検討しているのではないか。その他に退職給付会計の専門家も入れているかもしれない。監査もアウトソーシングの時代になりつつあるが、今後は、AIの専門家もチームメンバーにアサインしないといけないのだろうか。(すでに、データ分析チームは独自に形成されつつある。)
具体的算出方法は分からないが、重要性の基準値は8億円前後ではなかろうか。

・会計方針の注記
有形固定資産の会計方針の注記(連結)は正しいのだろうか?本当にこの減価償却方法で償却してる?もしそうなら、申告書における調整がめんどくさそうだ……

ちなみに、国税庁HP

他社事例

イズミ(平成30年2月期有価証券報告書)

高島屋(平成30年2月期有価証券報告書)


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