なろうだがなろうっぽくない 「賢者の孫」感想 第7回
こんばんは、雪だるまです。第7回は賢者の孫です。原作はなろう小説で、異世界転生ものですが結構面白かったです。早速感想書いていきます。
なろう感が薄い
本作は異世界ものである。異世界ものでは転生していきなり活躍する作品がほとんどで、それが嫌でなろう系作品を避ける人も多いだろう。だが、この作品は少し違う。
まず転生先はとある異世界の赤ん坊である。そこから賢者に拾われ、孫同然に育てられて魔法や剣術を教わる。そして魔法学校に入学する15歳から本格的に主人公の物語が進んでいく。いきなり活躍する他の異世界展開ものとは話の展開が異なり、子供時代というワンクッションが挟まれている。
また主人公の前世の記憶の使い方は、魔法のイメージを科学的知識(といっても火は酸素があるから燃えるとかその程度の知識だが)で補完することで、より正確なイメージになり強力な魔法が使えるようになるという使い方だ。決して神様的な人から転生の時に無限の魔力的なものを与えられるわけでもなく、観てる人でも出来そうなことで活躍するあたり、なろう特有の理不尽さやウザさが少なくなっている。
丁寧なキャラ描写
本作最大の魅力はキャラ描写が丁寧なことである。本作は序盤からキャラがかなり多い上に主人公が入学したらいきなりたくさんの新キャラクターがクラスメートとして出てくる。だが、他の作品と大きな違いはそのキャラ全員をちゃんと描写し、各キャラ設定をちゃんと活かしているところだ。
例えばメインヒロインであるシシリーは子爵家の娘という設定がある。8話で主人公がシシリーに告白し恋人関係になるのだが、その後はいきなり両親に顔合わせで婚約まで話が進む。シシリーが子爵家の娘だから、シシリーと付き合うということは結婚前提でのお付き合いになるということらしい。シシリーが子爵家の娘でなければ成立しない流れだ。
キャラ設定を活かすなんて当たり前だろと思う人もいるかもしれない。しかし、なろうに関わらず駄作にありがちなことだが、複雑な設定をキャラにつけた割にそれが物語に活かされていないということが多くある。この感想を読んでる人も心当たりがあるだろう。例えば、主人公と気の合う友人という役割しかしていないのに、どっかの国の第2王子で跡継ぎがどうとかみたいな変にこった設定をつけたり、ヒロインとかも貴族の娘とかじゃなくても花屋の娘とかしがない村娘とかでもストーリーが問題なく成立することもあったり…。だが、この作品はそういったことはない。キャラ設定は単純で必要最小限かつ、物語の中で「このキャラはよくこうゆうことをする」という仕草をちゃんと描かれている。だからキャラが多い割にしっかり整理がつけられるし見やすい。キャラとの会話とかだけでも十分楽しめる。
なろうとか関係なく面白いから観てほしい
ただ、この作品は全てが完璧な作品ではない。魔法のイメージ方法にしたって、そんな中学理科レベルの知識で何故強力な魔法が使えるのかツッコミをいれようと思えば入れれるし、ストーリーも悪役が、主人公のいる王国ではなく帝国をメインで攻めているせいで主人公側に危機感があまり無い。全体的なストーリーは地味な印象だ。だが、丁寧なキャラ描写のおかげでキャラ同士のやり取りは観てて面白いし、子供時代の描写が挟まれるおかげかなろう感が薄い。ある意味でこの手のライトなファンタジー系の物語としては王道な魅せ方だ。そういう意味ではなろうだからというより普通にファンタジーものとして人に勧めたい作品だ。少しでも興味が湧いてきた人はぜひ視聴をおすすめする。