高カリウム血症とその対応

高カリウム血症で起こること

・Vf、VT:脈暴れる系
・PEA、Asystole:脈静まる系

(cf)上記2つの対応
●無脈性VfとVTの場合→最優先でショック!
無脈性VT/Vfを確認したら、まずは除細動(二相性:150~200J)を行い、直ちにCPRを再開。
→CPRを2分間実施したら頚動脈の拍動と心電図モニターを確認。頚動脈の拍動が確認できず、無脈性VT/Vfが持続していれば、再度除細動(1回目より大きいJ)を行い、CPRを再開。
★2分間のリズムチェックで確認しているのは
 ①除細動の適応かどうか
 ②心停止が継続してるかどうか
CPR実施中にアドレナリン1mgの投与と、抗不整脈薬(アミオダロン、ニフェカラント、リドカイン)の投与を行う。心電図で、TdPを認めた場合には、硫酸マグネシウムを投与。
 アドレナリンの投与は一度スタートしたら基本的に3〜5分毎に反復投与。
 3分間隔の場合は、薬剤の投与タイミングだけを管理する"タイマー"が必要。一方、4分間隔の場合はリズムチェックをベースとし、その結果、心停止が継続していたらCPRを再開したあとに投与。
無脈性VT/Vfアルゴリズムを施行中に、心静止、PEAに変化し除細動の適応がないと判断された場合は、心静止、PEAのアルゴリズムに移行。
これらの動作を自己心拍が再開されるまで繰り返し行う。
同時に採血も行う。

●PEAとAsystoleの場合

質の高いCPRの繰り返しと原因検索を行いながら、診断と同時にすぐにアドレナリン1mg投与。アドレナリン1mgはその後3~5分ごとに投与。

PEAの原因「6H6T」

原因検索には、心電図波形とPOCUS(Point-of-care 超音波)の所見が重要。

PEAの診断とマネジメントのアルゴリズム

narrow QRSの場合には、構造的疾患が多く、心臓の壁運動が見られる【偽性PEA】場合が多い。
POCUSで大きく4つの疾患(心嚢液貯留+右室虚脱→心タンポナーデ/右室・左室ともに虚脱→循環血液量減少/右室拡大+左室虚脱→肺塞栓/肺でのsliding signなし→緊張性気胸)を鑑別。

wide QRSの場合には、壁運動なく【真性PEA】、代謝性疾患のことが多い。
高カリウム血症とNaチャネル遮断薬中毒が2大鑑別疾患で、血液ガス検査や既往歴、救急搬入までの病歴をさらう。

急性MIの場合はどちらの可能性もあり、心破裂による場合はnarrow【偽性PEA】→救命の余地あり、ポンプ不全による場合はwide【真性PEA】→救命難しい がある。

カテコラミンの話

高カリウム血症の心電図変化

・K 5-6 :テント状T波、QT短縮
・K 6-7:洞室調律、wide QRS
・K 7-:サインカーブ、Vf/VT、PEA/Asystole

高K血症では細胞外のK濃度が上がるので、電位依存性Kチャネルから細胞内にKが入る
→静止膜電位が-90mVから-80mVくらいに上がる
→司令塔であるIK1チャネルがK 5-6までは調節できる
→K 6-7になると調節しきれない。静止膜電位が浅くなると、Naも入ってこなくなり立ち上がりがゆっくりになってwide QRSになる
 さらに心房筋がダメになって洞室調律になり、P波がなくなるので、ぱっと見はSSSの心電図
→K 7以上になると、静止膜電位がとても浅くなって
 ①Caがばんばん入ってきて不整脈増える=Vf/VT
 ②Naも入ってこなくて、0相の立ち上がりもなくなる=PEA/Asystole

治療:
・1stはグルコン酸Ca(カルチコール)1A  【数分で効果出現】
 …上ブレ予防で不整脈防ぐ 
・重炭酸Na(メイロン)    【数分で効果出現】
 …アシドーシス改善でK下げつつ、下ブレ予防で心臓動かす
・GI:50%ブドウ糖 50ml+ヒューマリンR 5単位  【10-30分で効果出現】
・フロセミド 1-2A  【30分で効果出現】
・ロケルマ 【1hで効果出現】
・透析


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