兵書『孫子』ー君は戦争を知っているか?③
アニメの『銀河英雄伝説』の古い方を観ていた時、隊列が長くなると分断され、後ろは補給船だから、補給を切られると困る、というような箇所があって、新しい版のアニメでも出てくるかと期待したのですが、なかったような気がします。
今日は『孫子』第二 作戦編の冒頭です。実際に軍隊を動かすには、何が必要か、という問題を述べています。
【本文書き下し】
孫子曰く、凡そ用兵の法は、馳車千駟、革車千乗、帯甲十万、千里に糧を饋れば、則ち内外の費、賓客の用、膠漆の材、車甲の奉、日に千金を費やし、然るのちに十万の師、挙がる。
【現代語訳】
孫子は言う、そもそも軍隊を動かす方法は、戦車千台(駟は4頭立ての馬車)、大型の戦車(多数の兵士や食糧を積む車)千台、甲を帯びた歩兵十万、千里に食糧を運搬すれば、内外の経費、賓客の費用、にかわや漆といった武具の材料、戦車や甲冑の供給は、1日に千金を使い、そうした後に10万の兵団が動く。
☆評釈☆
戦記には十万の兵と簡単に言う。
十万の兵団を動かすために、食糧や武具や戦車が必要だ、と説明するくだりで「内外の経費」は当然としても、「賓客の費用」というのが、いかにも、国同士の交渉を重視した孫子らしい。
また、膠(にかわ)や漆(うるし)とあるのを見て、腑に落ちたことがあった。
陸奥国の国府、多賀城には人の住んだ跡は無かったというが、漆紙文書が出土している。漆紙文書とは、不要になった文書(反古紙)を、漆が固まるのを防ぐために、蓋代わりにして、そのまま固まって残ったものだという。
よろい(漢文では「甲」)かぶと(漢文では「胄」)は、古くは金属で作られた(発掘で金属製の甲冑が出土している)が、非常に重く、造るのも着るのも運ぶのも大変だったため、漆で固めて軽量化したという。
多賀城で作っていたのは武具だったか、と思った。はっきりしないのは完成品が出ていないのだろう。
因みに、国司は城下に住んでいた。国司館跡が発掘されている。
それにしても、甲冑が「よろいかぶと」なのは合っているが、日本で甲が「かぶと」、冑が「よろい」になってしまったのは、何故なのだろう。
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