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「相続人なき遺産」1000億円超—増え続ける単身高齢者の未来とは?
ニュースのまとめ
相続人のいない遺産が2023年度に初めて1000億円を超え、10年前の3倍に増加した。単身高齢者の増加が背景にあり、今後もこの傾向は続くと見られる。遺産は相続人がいない場合、未払いの債務を清算した後、国庫に帰属するが、具体的な使途は決まっていない。専門家は、希望する用途がある場合は早めの遺言作成を勧めている。
ポイント1: 「相続人なき遺産」が急増する理由
日本では高齢者の単身世帯が増加している。2023年の国民生活基礎調査によると、65歳以上の単身世帯は21.6%に達し、10年前から約4%増加。さらに、2050年には1084万人が一人暮らしになると推計されている。特に未婚の高齢者が増えており、男性の6割、女性の3割が生涯独身のまま高齢期を迎える見通しだ。この変化が、相続人のいない遺産の急増を招いている。
ポイント2: 「相続土地国庫帰属制度」とは?
相続人がいない土地は、管理が難しく「所有者不明土地」として放置されるケースが問題化していた。そこで2023年に導入された「相続土地国庫帰属制度」により、国が不要な土地を引き取る仕組みが整った。ただし、すべての土地が無条件で引き取られるわけではなく、管理義務や維持費がかかる場合は対象外となる。土地だけでなく、現金や不動産などの遺産も最終的には国庫に入るため、活用方法を考えることが重要になる。
ポイント3: 遺産の行き先は「遺言」で決められる
国に遺産が帰属すると、何に使われるかは決まっていないため、特定の目的に使ってほしい場合は「遺言」を残すことが重要になる。最近では、NPOや社会貢献団体への「遺贈寄付」が注目されている。例えば、環境保護や教育支援、医療福祉の分野に遺産を活用するケースも増えている。相続税対策としても有効なため、遺産の活用を考えるなら早めの準備が求められる。
未来を読み解くヒント
今後、少子高齢化が進むにつれ、「相続人のいない遺産」の問題はさらに深刻化する可能性がある。高齢者の単独世帯が増えることで、遺産の管理・活用をどうするかが社会全体の課題となる。生前に「遺言」や「信託」を活用し、資産の使い道を決めておくことで、自分の意思を反映し、社会に貢献できる仕組みを整えることが求められるだろう。
キーワード解説:「遺贈寄付」
「遺贈寄付」とは、自分の遺産をNPOや公益団体に寄付すること。生前に遺言を作成し、遺産の使い道を指定することで、社会貢献に役立てることができる。相続税が軽減されるメリットもあり、最近では環境保護や医療・教育分野への寄付が増えている。
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