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【開催レポート】第6回エフェ会 「許容可能な損失の原則」とは?失敗を恐れずにイノベーションを生み出す考え方

11月27日(水)に、第6回エフェ会をオンラインで開催しました。


エフェ会のお決まりのEポーズ

イントロダクション

ビジネスの世界で成功を収めた起業家たちには、共通した思考パターンがあります。2008年にサラスバシー教授が提唱した「エフェクチュエーション」は、そうした成功する起業家たちの行動原理を体系化した理論です。

エフェクチュエーションには5つの原則があり、その中でも特に注目したいのが「許容可能な損失の原則」です。なぜなら、この原則は新規事業開発やイノベーションに取り組む際の大きな課題である「失敗への恐れ」に対する、実践的な解決策を提供してくれるからです。

「許容可能な損失の原則」とは

許容可能な損失の原則とは、新しいビジネスやプロジェクトを始める際に、「このプロジェクトが成功したらどれだけの利益が得られるか」ではなく、「失敗した場合にどの程度の損失なら受け入れられるか」に焦点を当てる考え方です。

従来の事業計画では、予想される収益や利益に注目しがちです。しかし、新規事業やイノベーションの分野では、将来の収益を正確に予測することは極めて困難です。そこで、この原則では発想を転換し、「失っても事業の継続性や将来の成長機会に致命的な影響を及ぼさない範囲」を見極めることに重点を置きます。

ビジネスにおける損失の種類

損失と一言で言っても、ビジネスにおいては様々な形態があります。大きく分けると、以下の2つに分類できます:

財務上の損失

  • 投資した開発費用が回収できない

  • 取引先からの債権が回収不能になる

  • 設備や機械の破損

  • 労働災害による補償費用

非財務上の損失

  • 優秀な人材の流出

  • ブランドイメージの低下

  • ビジネスチャンスの逸失(機会損失)

  • ステークホルダーとの関係悪化

特筆すべきは、企業の規模によって重要視すべき損失の種類が異なるという点です:

  • スタートアップ企業:投資家からの信頼やビジネスチャンスの損失が致命的

  • 中小企業:人材と顧客の流出が大きな痛手

  • 大企業:社会的信頼やブランドイメージの毀損が深刻な問題

損失を許容可能にするための具体的な戦略

1. スモールステップとフィードバックループ

新規事業開発において、PMF(Product Market Fit)のプロセスを段階的に進めることで、リスクを最小限に抑えることができます:

  1. カスタマープロブレムフィット:顧客の課題を正確に把握

  2. ソリューションプロブレムフィット:適切な解決策の検討

  3. ソリューションプロダクトフィット:実際の商品・サービスへの落とし込み

  4. プロダクトマーケットフィット:市場での受け入れ検証

各ステップで顧客からフィードバックを得ながら進めることで、大きな損失を避けることができます。

2. 完璧主義・自前主義からの脱却

すべてを自社で開発・実行しようとせず、以下のような協業戦略を採用します:

  • 技術開発:既存技術を持つ企業との協業

  • 販路開拓:販売網を持つ企業とのパートナーシップ

  • 海外展開:現地企業との協力関係構築

3. 段階的なリソース投入

イマーシブ・フォートの事例は、この戦略の好例です。同社は:

  • 開業時に全てのアトラクションを一度に投入せず

  • 予備のアトラクションを確保しておき

  • 市場の反応を見ながら段階的に投入

という戦略を採用しました。これにより、初期投資のリスクを抑えながら、市場の反応に応じて柔軟に対応することが可能になりました。

まとめ

許容可能な損失の原則は、イノベーションに取り組む際の現実的な指針となります。重要なのは:

  1. 損失を恐れるのではなく、管理可能な範囲に収める

  2. 段階的なアプローチで実験と学習を繰り返す

  3. 自社の規模や特性に応じて重要な損失を見極める

この原則を理解し実践することで、過度なリスク回避に陥ることなく、新しいチャレンジに取り組むことが可能になります。

最後に一言付け加えるなら、この原則は「臆病になれ」と言っているのではありません。むしろ、「賢く挑戦する方法」を教えてくれているのです。失敗を恐れずイノベーションに挑戦する際の、実践的な羅針盤として活用していただければと思います。

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次回のご案内

次回は2025年1月27日(月)@リアル。今話題の空き家課題解決サービス「さかさま不動産」を取り上げ、エフェクチュエーションで分解していきます!ぜひご参加ください!


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