認知の限界がバブルを生む?人間の「考える力」と経済の関係
ニュースのまとめ
人間がものを考えるときに使える情報や時間、集中力には限界があります。この「認知的資源」と呼ばれる限られた力を使って効率よく判断するため、人はすべての情報を完璧には使えません。この視点で、経済の中で起こる「バブル(価値が急に上がる現象)」や「デフレ(物の価値が下がる現象)」を理解しようとする研究が進んでいます。
限られた集中力が経済行動に影響する
人は集中力が限られているため、すべての情報をじっくり分析することはできません。このため、アメリカのシムズ教授は、人は限られた集中力を必要なところにだけ使い、他の情報はあえて無視することが多いとしています。これによって、完全には合理的でない判断が生まれるのです。
何を基準に考えるかで行動が変わる
人は、ある基準(例えばお金の「多い」「少ない」など)に合わせて物事を判断する傾向があります。これを「参照点依存性」と呼びます。ウッドフォード教授は、この基準の作り方も認知的資源に影響されると考えています。限られた集中力で考えた結果、人はときに「今が大事」と感じて、未来に対する関心が薄れることがあります。
みんなの期待が重なるとバブルが起きる?
経済の中では、人の期待が他の人の期待に影響され、お互いの期待がつながっている場合があります。これを「期待の再帰性」といいます。再帰性が働くと、本来は価値がないものが「価値がある」と思われ、バブルが発生することがあります。例えば、価値がない紙幣でも、みんなが「価値がある」と考えることで取引が続くことがあるのです。
キーワード解説:認知的資源
認知的資源とは、人が考えるときに使える集中力や情報処理の力、判断するための時間など、限られた能力のことです。経済学や心理学では、この限られた資源を効率的に使おうとする人間の行動に注目し、行動がどのように影響されるかを研究しています。
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