北九州市の「逆線引き」に見る街づくりの課題
ニュースのまとめ
人口減少に対応するため、北九州市は居住エリアを縮小する「逆線引き」に取り組んでいます。災害リスクや空き家率などを基準に、一部地域を市街化区域から市街化調整区域に変更。しかし、土地の資産価値やコミュニティの維持を懸念する住民の反対を受け、計画は大幅に縮小されました。人口減少が進む中、持続可能な都市づくりのためには国による支援策が求められています。
ポイント1: 逆線引きの背景
北九州市の逆線引きは、人口減少や災害リスクを考慮して、住民の生活エリアを縮小する計画です。同市では、人口のピークが1979年で107万人だったものの、現在は91万人、さらに2045年には77万人まで減少すると予想されています。高度経済成長期に開発された傾斜地の住宅街は、近年の災害リスクも加わり、再編の対象となりました。しかし、住民の反発が強く、計画は縮小されました。
ポイント2: 住民の反対と計画縮小
逆線引きにより市街化調整区域となった地域は、開発が制限されるため、住民は土地の資産価値が下がることや、コミュニティが崩壊する懸念を表明しました。市は説明会を重ね、最終的に計画を大幅に修正し、当初の1割程度に縮小しました。土砂災害リスクが高い地域でも、住民の反対によって市街化区域として残された場所が多く、合意形成の難しさが浮き彫りになりました。
ポイント3: 国の支援策と都市再編の課題
北九州市は、居住誘導区域への引っ越しに最大818万円の補助を行うなどの対策を講じていますが、土地の所有権が強い日本では都市再編の進行が困難です。災害リスクが高まる中、自治体が街の再編に踏み切れないケースが増えています。持続可能で災害に強い都市を作るためには、国が中心となり、財政的・技術的な支援を強化する必要があると指摘されています。
10年後の未来を読み解くヒント
人口減少社会に向けて「コンパクトシティ」、つまり地方都市の都市機能を今よりも狭い空間に集約して、運営効率を上げていきたいという話は出ていますが、この北九州市と同じく、非常に利害調整が難しく、あまり議論が進んでいないようです。どうすれば地域住民にコンパクトシティの実現に協力してもらえるのかを考えてみるのも面白いでしょう。
キーワード解説
逆線引きとは、市街化区域から市街化調整区域に変更することを指します。これにより、開発が制限されるため、災害リスクの高い地域や人口減少が進むエリアで行われることが多いです。日本では土地の所有権が強く、住民の反発が予想されるため、実行には慎重な計画と合意形成が必要とされています。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO83604440Q4A920C2L83000/
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