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ペク・ヒナ作 絵本『あめだま』アニメーションがアカデミー賞ノミネート!

大好きな絵本ペク・ヒナさんの『あめだま』が原作のアニメーションが、アカデミー賞短編アニメーション部門にノミネートというニュースが流れていました。

東映アニメーション製作「あめだま」米アカデミー賞短編アニメーション部門にノミネート(日刊スポーツ) - Yahoo!ニュース

制作は日本です。東映アニメーション制作、監督は西尾大介さん、プロデューサーは鷲尾天さんという方だそうです。アニメーションぜひ見てみたい!

原作となった絵本は、ブロンズ新社 - あめだま です。

アカデミー賞ノミネート記念!ということで、
2019年ペク・ヒナさんが札幌で講演会を開かれた時のメモを公開します。

絵本『あめだま』作:ペク・ヒナ 訳:長谷川義史 ブロンズ新社(2018年8月)

講演会概要

年月日:2019年10月8日
場所:札幌市中央区『道新DOBOX』
タイトル『あめだま作家ペク・ヒナ先生が語る絵本のお話』

ペク・ヒナさんが札幌に来る!との情報をキャッチして、早速申し込んだところ、しばらくして札幌大韓民国総領事館からチケットが届きました。
抽選にならなかったのかな?!って思ってHPを見てみたら、「定員数を大幅に超えるたくさんの方にご応募いただき」とあった。やはり抽選だったようです。絶対に行きたかったので本当に嬉しかった。こんな画像まで残っていた。

『あめだま作家ペク・ヒナ先生が語る絵本のお話』

講演会と共に絵本の画像の展示などがありました。とても大きなパネルで迫力がありすばらしく美しかった。下の写真のような撮影スポットもありました。

パネルと一緒に記念写真

ペク・ヒナさんの絵本の展示

ペク・ヒナさん以外の韓国の絵本もいろいろ展示されていました。

そしてペク・ヒナさんはとてもお若くて洗練された雰囲気の女性。記念写真も撮っていただきました。絵本にサインもしていただき、宝物です。

あめだまの表紙の写真の前で


講演では、『あめだま』と『天女母さん』について語られました。
『天女母さん』のお話のところでもまた『あめだま』の話も出てきます。貴重な製作途中の様子などを写真で見せてくださったので、それを見ながら通訳の方のお話をメモするのが素人なので大変だった。会場は下の写真の通り満員でした。

満員の会場

ペク・ヒナさんのお話内容

「あめだま」について

主人公のドンドンはコミュニケーションが苦手なタイプの男の子。自分の息子がモデルでもある。ヘアスタイルも性格を表している。着ている服も自分の息子が本当に持っているものから考えた。

写真の撮影はカメラを固定させてテストしながら作っていく。照明やカメラの位置でかなり変わる。

ドンドンのお父さんも無口でコミュニケーションが苦手なタイプ。お父さんのメガネの中の目が見えていないのは世間との断絶を表している。

元々、十数年前テレビの仕事をしていたころ、子どもの番組の脚本として書いた。その時の題名は「不思議なミントあめ」だった。
「あめだま」では最初に犬が出てくるがそれも猫だった。ソファーにはさまっているのもリモコンじゃなくてお母さんの指輪というエピソードだった。ストーリーもちょっとラブコメみたいな感じで今思うと恥ずかしい。

 自分自身の変化からストーリーも変わっていった。2人の子の育児や様々な経験による自分の成長が反映されている。
 作品を作っていくことはとても大変だけれどやめようと思ったことはない。絵本作家になれて誇らしいし感謝している。自分自身の自尊心を守り生きていく力をもらえた。絵本作家は天職だと思っている。

「あめだま」を作っている時2回泣いた。自分の書いた作品で泣くなんて恥ずかしいけれど、お父さんとのやりとりで「好きや、好きや、好きや・・・」と聞こえてくるところ、そしておばあちゃんが出てくるところで泣いた。

ドンドンが最初に作ったストーリーから10年間で成長したように自分自身も成長した。

「天女母さん」

この絵本を作った時は、自分自身もとても仕事も子育ても忙しい時期だった。いつも自分で撮影をしているが、これはちょっと難しい撮影になりそうだと思いプロのカメラマンに頼んた。全部できあがったが、結局はそれを全部捨てて全部自分でやりなおした。

技術的にはプロの方が良いとは思ったが、自分自身で全てやる方が読者に伝わると思ったから。これは最初できあがったストーリーも全部やり直していてとても苦労した作品だった。

 その苦労の後で「あめだま」を作ったので良い作品ができたのかなと思う。最初は無表情なドンドン。悩みがありそうな、もしかしたら心に傷を持っているかもしれないと感じる。おそらくお母さんはいない、おばあちゃんも亡くなっている、そして落ち葉までも「バイバイ、バイバイ」というシーンもありドンドンのまわりは別ればかりに感じるかもしれない。 
 けれどこどもから見た場合、そんなに悲しいストーリーには受け取らない。子どもには未来がある。時間とエネルギーがたくさんあるから。

 落ち葉の「バイバイ」の場面はとっても力を入れて作った。落ち葉が枯れて寂しい場面のようだが落ち葉は地面に落ちてこやしとなっていく。木々の間からもれる日差しを大切に撮影した。

 私は悲観的な人。子どもの本は勧善懲悪が進められるけれど私の絵本はそうするのが難しい。だって実際の世の中はそうじゃないから。物語は必ず悲劇なのです。なぜなら人は必ず死ぬから。
 しかし悲劇の中でなんとかやってみる。努力してみる余地があるのです。

教訓よりもささやかな喜び、あわれみを与えるものが絵本です。

こちらがお話に出て来た落ち葉の場面。大きな写真でみるとまた素晴らしかったです。

講演の感想

私の文章は拙いですが、本当に貴重なお話を聞かせていただきとても感動したことが今も蘇ります。絵本作家という仕事への誇り、強い志をもって作品を創り出していることがとても伝わってきました。
本当に聞けて良かったと思えるお話でした。

この後もたくさんの絵本を出版されていますが、どんどん新しい手法を取り入れています。アニメーションの予告編は下記のリンクからで見ることができます。
絵本セラピスト協会代表の岡田達信さんが教えてくれました!

フルCG短編アニメーション『あめだま』予告編

『あめだま』メイキング映像 - 第 97 回アカデミー賞ショートリストに選出 短編アニメーション




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