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原画展:「せかいいち うつくしい ぼくの村」小林豊 



展示会の概要

現在北海道夕張市「りすた」で開催中の(10月15日まで、会期あとわずかです)小林豊さんの絵本『せかいいち うつくしい ぼくの村』の原画展に行って来ました。今回の展示は夕張市りすた図書館が主催されています。
小林豊さんは以前も夕張市で作品を展示してくださったことがあり、そのご縁から今回の原画展につながったとのこと。

 けれど実際は夕張市教育委員会所属で学芸員でもある山口一樹さんの奔走があってのことだと私は思っています。決して自分の手柄にしないお人柄の山口さんですが、常に夕張市の子どもたちのため様々な学びや創作、アウトプットの機会を創出されています。そんな情熱ある方の思いが小林豊さんの心を動かし今回の展示につながったと思います。

(掲載した写真は全て許可を得て撮影しています。)

ギャラリートークも参加したかった。無念。
『せかいいち うつくしい ぼくの村』 作:小林豊 出版社 ポプラ社(1995年12月)

小林豊プロフィール
1946年、東京生まれ。立教大学社会学部卒業後、イギリス留学中に画家を目指す。1970年代初めから80年代初めにかけて中東やアジア諸国をたびたび訪れ、その折の体験が作品制作の大きなテーマとなっている。 主な作品に、『せかいいちうつくしいぼくの村』(産経児童出版文化賞フジテレビ賞)、『ぼくの村にサーカスがきた』、『せかいいちうつくしい村へかえる』、『えほん 東京』、『まち ぼくたちのいちにち』、『えほん北緯36度線』(以上ポプラ社)、『さくらのまち』、『あいたい友だち』(ともに佼成出版社)、『淀川ものがたり お船がきた日』(岩波書店)などがある。

絵本ナビより

絵本の内容

この絵本の舞台は紛争が続くアフガニスタンの小さな村。
自然豊かで美しい村に住む少年が、お父さんと一緒にくだものを売りに街へ向かいます。初めてその仕事を任された少年。喜びと責任を感じていますが、少年が任された理由はいつもお父さんを手伝っていた大好きな兄が戦地へ行っているから。
いつもどこかにそのことがよぎり少年の心に影を落としています。
 村の人たちはそれぞれ大切な家族の安否を気遣いながらも日々の生活に喜びを見つけ、つつましくも心豊かに暮らしています。誰もがこの美しい村を誇りに思っているのです。
そんなささやかな幸せを大切にしている村の人たちが迎える最後のページにとても大きな衝撃を受けました。
心の持って行き場がない・・・・と動揺しましたが、裏表紙を見てホ。
ぜひお手にとってご覧くださいね。

原画展の感想

絵本を見ている時も、当然美しい絵だと思っていたのですが、原画を見てさらに感動が深まりました。水彩画で描かれた村の様子は本当に美しく色鮮やか。筆使いのひとつひとつまでじっくりと見ることができました。何より感じたことは、遠くから離れて見ることの効果でした。
絵本で見ると割と近くからばかり見ていたのですが、展示され壁にかけられている絵を離れて見ると、絵の風景がとてもよく見えてきて、その美しさにあらためて気づいたのです。

花々が咲いている畑、遠くに見える山々。山道の傾斜、にぎやかな市場など、遠くから見ることでその奥行きや広さをより感じることができた。
スケールの大きい絵だからこそそう感じられたのだと思います。

絵本も手に取れる場所に置いてくださっていたので、私は手に持って原画と絵本を比べながら1枚づつじっくり鑑賞。原画はほぼ原寸大でした。
見開きのページは原寸大。ページや一部のカットは多少縮小しているように感じました。

原画と絵本を見比べながら鑑賞

大満足の原画展示、全ページをじっくりと見せていただきました。
裏表紙の絵、背表紙の小さな絵までも全部展示されていました。
北海道で見られるのは貴重な機会だと思います。ぜひ見に行かれることをお勧めいたします。

最後に

お忙しいでしょうし、今回、山口さんに連絡しないで行ったのですが、私があまりに熱心に見ていたため、それに気づいたボランティアの職員さんが、山口さんに通報(笑)したようで(多分、すごく熱心に見ている方いますよ~!みたいに伝えてくださったのだと思います)途中から山口さんが来てくださいました。そこでお久しぶりの再会となり、恐縮でしたが、ギャラリートークの様子やあえて描かれていない部分のエピソード、参考になる本の紹介などもお聞き出来てさらに充実の時間となりました。
どんどん家に絵本が増えていく・・・という山口さんとの絵本談義も楽しかったです。お忙しい中本当にありがとうございました。

手作りのあたたかい展示


素敵な笑顔の山口さん、夕張市の期待の星!

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