しりちあくた、でぃれくとり
僕の宝物
誰か他の人が、見れば、それは、間違いなくゴミだろう。そんな僕の宝物の話。
その日、クラスメートの女子が、下敷きが割れはじめていて、それに描かれている絵のキャラクターに思い入れが、あって捨てるのが忍びないと言う事があったのだ。
「秋川! これあげるよ」
完全に、下敷きとしては、使い物にならないゴミ、明らかに、それは、ゴミだった。
「……」
なんとなしに、
「判った」
と俺は言った。
「ありがとう」
と言う言葉と共に、踏ん切りをつける為の吐息を俺は見て取った。
――次の日。
「なぁ、あの下敷きどうしたらいい?」
と俺は、聞いた。
「まだ、捨ててなかったんや……ありがとう」
女子はそう言った。
「まぁ、もらったもんやから、どう扱うかは、俺次第なんだろうけど、一応聞いておこうと思ってな」
少し、馬鹿馬鹿しくて気恥ずかしい話だが、俺はそう言った。
「ええよ、どうせ、ゴミやし」
少し、嬉しそうに、女子は言った。
「生ゴミじゃねーから、腐らん、その内、忘れた頃に捨てるわ」
「なんか変なの、わざわざ、それ言うために?」
と女子は言葉にした。
1月の下旬、地元では初雪が降った。テレビでは、成人式の晴れ着を着た女の子が嬉しそうに、
「これから、成人として、頑張っていこうと思います」
とテレビレポーターに答えていた。
了