探し物はなんですか?/兎の中の人
あった場所に物がない。
必要な時に必要なものが見つからない。
こんな現象を日本人はぬらりひょんという妖怪の仕業というらしい。
まるで家主のように家に当たり前のように入り込み、物を借りてこっそり返しにくるらしい。
妖怪については全く詳しくはなかったのだが、テレビで紹介されたのを見て知った情報だ。
もちろん、間違っていることもあるだろうからのーたりん兎が聞いた話では、という範囲で聞き流してほしい。
さて、ぬらりひょんの前置きをしたのは仲間が出演したボイスドラマを紹介するためではない。
ここでリンクを貼っておくなら紹介しろよと思われるが、私が参加しているわけではないので役作りの苦労話などがでできないのだ。
ただ私も1人のリスナーとして紹介するならば、魅力的なキャラクターたちが登場するとても楽しい作品なのでまだ聞いていない方がいたらぜひ聞いてい欲しいと思う。
……さて、前置きが完全宣伝になっているが、話を戻そう。
実は宣材写真用に使った服が見つからない事件が起きたのだ。
蒸し暑くなったこの時期にちょうどいいものだったが、着たいときに見つからずここ1カ月近く困っていた。
前置きで書いた理由で行くとぬらりひょんの仕業になってしまうのだが、そんな私の服を借りていくような女装趣味なぬらりひょんなどいないだろう。
いないと信じたい。
ならば何の仕業なのか。
実は心当たりがある。
私が学生時代からずっと妹と共に信じてきたサッターンという魔王の仕業だと思うのだ。
本名『左端』さん、左の端と書いてサタンと読むキッスイノニッポンジンである。
彼は常に我が家族を困らせることを生きがいとしている……という妄想の元に生まれた人物である。
実在はしないと思うが、もし本当に左端でサタンと読む方がいたら申し訳ない。
大丈夫、あなたはサッターンではない。この話には関係ない人なので気にしないでほしい。
いっそのこと「は?何言ってるの?この人、コワッ」と思ってもらえればいい。
物が見つからないのはけっして、部屋が散らかっていて探せないわけではない。
いやいや、そんなはずはないぞ。けっして。
さて、このずっと見つからなかった服だが
なぜか
どういうわけか
しれっと脱衣室から出てきたのだ。
しかもいつもパジャマを置いている場所に、ぺローンと置かれていたのだ。
気付かないはずないのに!
母に聞いても「昨日私も服置いてたけど、そんなのなかったよ」と証言している。
これは間違いなくサッターンの仕業だと私は思うのだ。
サタンではなく、サッターン。
この響き、かなり重要。
そんなことを書いていた矢先に今度はバナナが消えた。
母が買ったはずと、自信満々に言っていたバナナが消えたのだ。
これもきっとサッターンの仕業にちがいない。
そう言った数秒後にバナナは見つかった。
バナナはお気に召しませんでしたか魔王さま。
確かにこのバナナまだ青くて食べごろではないですもんね。魔王さま。
そんなことを書いている今頃、魔王さまはきっと「は?何言っての?この人……コワッ」と呟いているに違いないと思うのだ。