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EP.2 推しイメージカクテルを依頼する!; 西荻窪infさん/ヴィクター・フランケンシュタイン(2回目)/ヘンリー・ジキル&エドワード・ハイド編

年末にまた行ってきたのでレポート再び。
供給の少ない文学沼の住人でも楽しめる推し活!

推し活に最適なイメージカクテルのお店、西荻窪のBAR infさん
イメージカクテルのお店は数あれど、やはりinfさん、真鎖夜さん、The bluewoodさんの系列店は解釈違いが発生しなくて安心感がある…!

今回は友達と二人で行く予定だったのですが、友人がコロナだかインフルだかになってしまったので一人で行ってきました😳
私も12月にコロナにかかっていまだに夜になると咳が出る事があるので皆さま本当風邪やウイルスにはご注意…!

さて、今回お出ししていただいたカクテルが、こちらです!

西荻窪 BAR infさん/イメージカクテル(単体/ヴィクター・フランケンシュタイン(2回目))
西荻窪 BAR infさん/イメージカクテル(ペア/ヘンリー・ジキル&エドワード・ハイド)

今回、年末だったのに偶然にも満席ではなかったので2杯目を頼むチャンスに恵まれたので2杯お願いしてみました!🥰


今回のオーダー/一杯目

お題のキャラクターは前回と一緒なんですが、オーダーシートの記載内容を変更しています。(勿論、前回と全く一緒のものをお出しされても文句ない気持ちで挑んでいます!)
私は推しの頂点が7年変わっていないタイプのオタクで、彼と同等に愛せるキャラクターが今のところいないのでこういう注文の仕方をしますね…。

★今回のオーダーシート(一杯目)

【お酒の強さ】普通
【苦手な味】ビール、ミント、唐辛子系の辛味
【作品名】メアリー・シェリー『フランケンシュタイン;或いは現代のプロメテウス』(1818年)
【名前】ヴィクター・フランケンシュタイン
【性別・年齢】男性 / (享年)24歳
【身長・体格】ガリガリに痩せたスイス人。憂いを含んだ目がキラキラで美しい
【イメージカラー】プルシャンブルー
【イメージモチーフ】シャベル日記化学器具、北極
【性格】探求心旺盛、育ちが良く知的、内気で繊細な心優しい大学生
若者特有の情緒不安定さと未熟さがあり、メンタルが弱くよく失神する。
責任感が強く、自らの過ちへの後悔と自己嫌悪に苦しむ陰のある薄幸の主人公。
非社交的で自責思考だが、友達や家族の事は心から大切に思っている。
恐らく彼は意図的に弱い主人公として設定されているが、自分の創った人造人間に脅迫され、怖くてたまらないはずなのに家族を守る為に必死に抗う姿が健気。
【好きなところ】親に無理矢理留学させられて、人見知り過ぎて不安に駆られて道中メソメソしたり、大人に大好きな錬金術を馬鹿にされて拗ねたかと思えば、褒めてくれた教授に懐いたり、天才であること以外は普通の男の子可愛い
彼は天才であることを誰からも理解される事なく育ち、初めて教授に褒められて科学者になりたいという希望を抱くも、人体創造という神の領域に手が届いてしまい、結果的に彼自身の希望だった科学によって破滅の道を辿り、彼が天才だったという事を誰も知ることがないまま北極海の上(船)で息を引き取る。その在り方が美しく愛らしい。こんなに可愛い(大学生)のに現代での認識では「世界一有名なマッドサイエンティスト」のギャップが更に好き。

ヴィクター・フランケンシュタインって誰…?

ヴィクターと名もなき怪物(自作画)

ハロウィンのよくフランケンと略されている緑の怪物…あれの元ネタの元ネタとでも申しましょうか。
メアリー・シェリー作『フランケンシュタイン;或いは現代のプロメテウス』(1818年)という小説の主人公の名前です。学生寮に一人で籠って、人造人間を創り出してしまった事から悲劇的な運命に翻弄される大学生です。
所謂ゴシックホラー小説なのですが、立場の違いから絶対に分かり合えない疑似父子要素もあり、「知性ある生命体を生みだしてしまう」「造り手が創り出したものに脅かされる(フランケンシュタイン・コンプレックス)」というSF的要素もあり、色々とエモーショナルなイギリス文学なので興味を持ってくださったら嬉しいです!

もう少し概要を!という方は下記の記事を読んでくださると幸い😌

作品既読勢向けの補足!

イメージカラーやイメージモチーフは公式に設定がなくても注文者が自由に決めて良いのですが、私なりの解釈を明記しておきます。

★イメージカラーの「プルシャンブルー」とは
ヴィクターくんのモデルの一人ともいわれている、ドイツのフランケンシュタイン城に住んでいた錬金術師ヨーハン・コンラート・ディッペルが創り出したとされる色が「プルシャンブルー」とされていることに基づきます。
ラピスラズリを砕いて作る青に変わる塗料として重宝されたらしいんですけど、調べてみるとこのプルシャンブルー、鹿の角とか牛の血液とかそういうものから作られたらしいですね😳

★イメージモチーフについて
「シャベル、日記、化学器具、北極」と記載していますが、シャベルは本来ユニバーサルスタジオの映画『フランケンシュタイン』のヘンリー・フランケンシュタイン博士の持ち物であって、原典のヴィクター・フランケンシュタイン(大学生)には本来ふさわしくないですよね。ヘンリーと違ってあからさまに墓を掘りまくったりしませんので…。
でもそういう後代のイメージも現在に伝わるヴィクターくんを構成する要素の一部かなぁ…と思い、入れています。

カクテル説明

今回も覚えている限りの情報をメモしてきたので覚書していきます…!

お出しいただいたカクテル(一杯目)

色は美しいプルシャンブルー
前回は少し水分量が多い感じにしていただいてたんですが、今回は私の希望で少し濃い目の色にして頂きました。可愛い!!

装飾はシャベル本(日記)、それからキラキラのヘッドがついたマドラー!今回のマドラーはキラキラの目のイメージだそう。
ヴィクターくんは本編では語り部なのであんまり容姿の描写がないですが、「痩せている」「細くてしなやかな手」「憂いを含んだキラキラの目」は数少ない容姿描写ですからね…!
前回は試験管でしたが、今回は丸底フラスコがついてきました…!

グラスはほっそりとしていて、痩せていて細身の彼自身のイメージだそうですが、口の部分が斜めになっています。この斜めになった口は壊れやすさ=傷つきやすさ。繊細さを感じさせますね。

使用されているお酒は「グレイグース ル・シトロン」というウォッカベース。レモン風味のウォッカで、無色透明なので純粋で心優しい大学生のイメージ。レモンの風味なので普通のウォッカよりも飲みやすい口当たりで、突き進んでいく好奇心・探求心。基本的には無味なお酒なので、まだ未熟さも感じさせる。
しかし、実はアルコール度数40度あるお酒であり、無味の中に健気な強さも秘めているイメージだそうです。

フレーバーには、ピンクグレープフルーツリキュールと紅茶が使われています。口当たりが甘く未熟な幼さ(かわいらしさ)も感じさせますが、グレープフルーツ特有のほろ苦さもあり、内に秘めた恐怖や過酷な運命を暗示させますが、基本的にはさっぱりとした味わい。この特徴的な後を引かない甘さ・苦み誰からも知られる事なくスッと消えていくというイメージだそう。

丸底フラスコに入った赤い液体はビターシロップマッドサイエンティストとしての世間からのイメージで、混ぜると苦みが増します。
(前回も思ったけれど丸底フラスコに入った「血のように赤い物質」ってヴィクターくんが少年時代に心底憧れた「賢者の石」みたいで最高…✨
でもそれを追い求めた結果が、「マッドサイエンティストとしての世間(現実)からの認知」なんだろうなぁ…切ない)

つまり、上澄みの透明な部分は彼の純粋でピュアな部分で、青い部分は彼の内面、そこに現実での認識である世界一有名なマッドサイエンティストという肩書が侵食してくるんですね……!!
凄い…!!!

味は、混ぜないでウォッカの上澄みの部分だけだと確かに基本的には無味です。アルコールの苦さの中にレモンの酸味と渋みがあるような感じ。
混ぜると、柑橘系で甘さ控えめ爽やかな甘さの後に柑橘系特有の渋みがある感じ。
さっぱりしていておいしくて、気が付いたらシロップ入れる前に半分くらい飲んでしまいました…笑


今回はちょっと可愛い感じ強めのオーダーシートにしたせいか、前回よりもどことなく親しみやすいかわいらしさを感じます🥰

混ぜると……

今回も別添えのシロップがついているので混ぜてみました。

ビターシロップをインして変貌したカクテル

こ、これがマッドサイエンティストとしてのイメージを背負わされたヴィクターくん…!!
すごくヴィランな色になった…!!!主人公なのに!(笑)

味は甘さが薄くなって、更にさっぱりした味わいになりました。これ以上入れると本当に甘くなくなってしまうような気がしたので、好みでこの辺にしておきました(笑)

今回のオーダー/二杯目

さて、今回二杯目を頼んだのですが、二杯目は関係性ペアイメージカクテルです。普通は兄弟だとか恋人だとか相棒だとか、そういう形で2人を一杯のカクテルにしてもらうんですけど、私の今回の頼み方はちょっと特殊かもしれません…!

理由は、二つの顔と性質を持つ一人の人間、ジキル博士とハイド氏だから…!
でも多重人格でもない…説明が難しい男です…。

★今回のオーダーシート(二杯目/ペア)

【お酒の強さ】普通
【苦手な味】ビール、ミント、唐辛子系の辛味
【作品名】ロバート・ルイス・スティーヴンソン『ジキル博士とハイド氏』(1886年)
【名前】ヘンリー・ジキル & エドワード・ハイド
【性別・年齢】男性 / 50歳 & 男性 / かなり若い青年(実年齢は50歳)
【身長・体格】背が高く体格の良い、ハンサムな英国人 & チビで痩せた、気味の悪い英国人
【イメージカラー】アッシュゴールド & 黒
【イメージモチーフ】杖 / ビーカー / 緑色の変身薬 & 折れた杖 / だぶだぶの服 / 緑色の変身薬
【性格(ヘンリー・ジキル)】医学博士。温厚で優しい聡明な人物…と思いきや、実は狡猾で腹黒。外面はいいが、その実、自分の事しか考えていない。自己保身が強く、隠れてやんちゃをしたいので夜になると薬でハイドに変身する二重生活者。ハイドの時に悪事をし過ぎて後悔するが、身の危険を感じるまで変身はやめないし、反省もしない。正体を隠す為なら平気で親友も利用する。外面が良い分、本当に性格が悪い
【性格(エドワード・ハイド)】得体の知れない謎の青年。気が短く、粗暴で、イラつくと駄々っ子のような態度を取る
今作のヴィランなのに、大胆不敵に見えて臆病。カッとなって男性を殴って死なせてしまって以降は、警察に怯えて逃げ回る。しかし、悪い事をしてもジキルの姿に戻れば問題ないと思っている。ジキルは悪の化身と呼んでいるが、ジキル自身も外面はともかく誠実さは皆無なので、結局のところ「理性のないジキル」と言って相違ないと思う。
【好きなところ】別人に見えて、結局どちらもジキルである。ジキルが変身に依存する程、ハイドの姿から戻れなくなる時間が長くなり、感覚も侵食されていく
ジキルの「自分の財産をハイドに相続して、ハイドとして第二の人生を送ろう!」と企む面の皮の厚さ(でもハイドの姿で事件を起こしてしまい、失敗)、姿はハイドなのにハイドが別人であれば絶対にしないであろう態度をしてしまう詰めの甘さ。腹は立つけどどこか憎めない。
結末の、親友にドアの向こうからジキルの名を呼ばれても、ハイドの声と姿でしか答える事が出来ずに、ハイドとして死ぬジキル無様で自業自得でありながらもどこかエモーショナルで大好き。

ヘンリー・ジキル&エドワード・ハイドって誰…?

ヘンリー・ジキル博士とエドワード・ハイド(自作画)

『フランケンシュタイン』の次くらいに好きな英文学がロバート・ルイス・スティーヴンソン『ジキル博士とハイド氏』(1886年)です。
ゲームや映画でもネタにされている時があるので名前くらいは知っている人も多いかもしれないですが、原作は100ページ程度の短い小説なのにミステリー調でとても面白いです。ただ、ミステリー調なだけで推理小説ではありません。真相がファンタジーなので推理小説だと言ったら怒られます(笑)

40年くらいの付き合いになる50歳英国紳士三人組のこじれた人間関係と、そこに現れる謎の若い男。私が生まれて初めて腐女子的な妄想をしてしまった作品です…(「ベッド脇に立つ」とか「いかがわしい関係」とか、結構(恐らく意図的な)匂わせが多いから…)

人間関係が面白いのと、短いことから『フランケンシュタイン』よりお勧めしやすい作品です。興味を持っていただけたら嬉しいです!

作品既読勢向けの補足!

一応弁解と私の解釈を書いておきます。

★ジキル博士の髭
私のファーストエンカウントが新潮文庫の田口俊樹氏翻訳版だったのですが、ジキル博士の髭については言及されていなかったんです。
でも、原文を見ると「smooth face」という文があり、他の翻訳を読んだり自分でも調べてみると「(髭をそり落として)つるつるの顔」という意味で読む場合が多いようです。
なので私の描くジキルおじさんは髭があるけど多分髭がないのがスタンダード解釈だと思います。

★ジキルとハイドは別人格か?同一人格か?
今まで出会った人と意見が割れることがあったので明記しておきますが、私は別人格ではなく、ジキル博士とはヘンリー・ジキルという人物の(理性によって抑制された)理想の紳士としての人格、ハイド氏とはヘンリー・ジキルという人物の(理性がなくなった)本性としての人格で、記憶・意識・感覚は共有している同一人格とみなしています(理由を述べると数万字のレポート書かなくちゃいけなくなるので割愛しますが…少なくともジキルの本性が品行方正ではない事は、アタスンの「ジキルの若い頃は荒っぽかった」という台詞やジキルの若い頃の行いについての言及で明らかです)。
よって、「最後の夜」の章の終わりの部分で、アタスンがドアの前で「ジキル、ここを開けてくれないのなら無理やりにでも開ける」と言った時に「アタスン、お願いだからやめてくれ」と答えたハイドはジキルとして返事をした。しかしアタスンは「ハイドの声だ!」と叫んでドアを破ろうとしてきたので、絶望に駆られて毒を飲んだ…と解釈しています。

カクテル説明

こちらも覚えている限りの情報を書いていきます!

お出ししていただいたカクテル(二杯目)

まず、グラスは丸い球体の装飾がついたグラス。
白と緑のツートンカラーになっています。緑はジキルおじさんがハイドちゃんの姿を行き来するための薬の色。ツートンのカラーの装飾なので、角度によって緑にも白にも、混ざり合っているようにも見えます。
同一人物感がありますね!

マドラーは繋がったリングがモチーフになっており、別人として活動しているが完全に繋がっている、結局は1人の人間であるという意味で選んでいただいたそうです。

上層部はジキルおじさん。カラーは上品なアッシュゴールドです!
ベースは「メーカーズマーク」というバーボンウィスキーで、トウモロコシから作られているお酒。なので、トウモロコシの穀物っぽい甘さが特徴で優しい味わいで、上品な香りがします。
ベースにこれを選んだ理由はジキルおじさんが温厚で優しい人物という印象を人々に与えるところから。けれど、これをベースにグレープフルーツやハーブ、紅茶などのフレーバーを加えて複雑な味わいを出してくれているそうです。
紳士的な印象の裏に隠れている腹黒さのイメージ。

下層部はハイドちゃん。カラーはブラック
ベースはアマレットというシロップ。あんずの種から作られるものだそうです。紅茶などを加えているが後味の甘い印象になるように作ってくださったそうです。これはすぐ怒って駄々っ子のような癇癪を起す子供っぽさのイメージ。また、アマレットは種から作られるシロップなので果肉の内側に隠れている芯の部分、という意味で選んでいただいたそうです…凄く本性っぽい!
更に、あんずの種は生で食べると毒性がある為、「知識のない者が生食して死んでしまうのは自業自得と言える」ということで、ジキルおじさんの何とも言えない自業自得な生きざまも回収していただいています。
(オーダーシートにか書かなかったけどハイドちゃんは最後、自ら毒を飲んで死ぬのでそこにもかかりますね…良き✨)

また、二人ともイギリス人紳士なので共通して紅茶のフレーバーを入れてくださっているそうです🥰

混ぜた後はアマレットの味わいが強くなるよう作ってくれていて、ハイドの姿や感覚に侵食されてしまう様をイメージしているそうです。
すごい…完璧じゃない…!?

実際に飲んだ味の感想として、混ぜないでジキルおじさんの部分だけを飲むと、ハーブを混ぜてもらっているせいか少し薬っぽい風味がありました。ほのかに甘く、穀物っぽい優しい甘さが広がりますが、ふんわりとアルコールの存在感を感じます。多分、これがトウモロコシベースのバーボンウイスキーの風味なのでしょう。

混ぜると……

こんな説明を聞いてしまうとサクサク混ぜてしまいたくなりますよね……!!

色がくすんだグレーに……!!!!!笑
そりゃ黒の方が色強いですもんね。侵食されてしまってますね…笑

アマレットは杏仁豆腐のような味がするシロップなのですが、杏仁豆腐感がガツンと来る甘いカクテルに変貌しました…!!
でも以前、アマレットのソーダ割を飲んだ時と比べると、後味にほのかに苦みがあり、恐らくハーブの薬っぽさやグレープフルーツが苦みとして感じられるんでしょうね。ほんのりジキルおじさんを感じます…笑

最後に

それ以外のメニューではサングリアを頂きましたがフルーツたっぷりでとても美味しかったです🥰❤

お通しとサングリア

今回は友達といけなくて残念でしたが、お出しいただいたカクテルはどれも素晴らしく、良い一日を過ごせたと思います。

友達には数カ月中にリベンジする約束をしているので今度こそ一緒に行きたいなと思っています🥰

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