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安易に友達を山に誘ってしまった話
私の30年来の親友を登山に誘った話をする。
高校の同級生でテニス部で一緒だった。お互い結婚相手も同じ高校の同級生であった。子どもの年も環境も似ていたのでなんやかんやで続いている私の数少ない大事な友人だ。
親友は私が登山を始めた話をすると興味を示してくれた。季節は初夏であったので私の行きつけ、金剛山へ案内した。登り2時間半、下り1時間半見ていればだいたいOKの山である。あくまでも私基準。
コースタイム+1時間オーバーくらいで無事下山できた。親友はこのあとも近所の山を会社の人などと歩いたりしていたようだ。山歩きが趣味になれば良いなぁと思っていた。
冬になった。
私は冬だけ「霧氷バス」が運行される奈良の雪山に親友を誘ってみた。私もまだ行ったことがない山だった。
友人は行く気マンマンでハードシェルや雪山に必要な装備を買い足した。ザックも上着も私と色違いのお揃いを購入した。お揃い好きな子なのだ。
人を山に誘うとなるとやはり装備にお金がかかることであるので躊躇する。
私の親友はある程度ちゃんとしたものを揃えるタイプだったので義理ではなく本当に山に行きたいんだなぁ、と嬉しく思っていた。
登山前日、親友は生理が来てしまった。本来ここで中止の判断をすべきだった。
親友はどうしても行くと言う。私は中止の判断が出来なかった。心配ながらも予定通りにスケジュールを進めてしまった。
ロスタイム無しで約6時間の山行。
この山は少しハードルが高かった。
しかも雪が少なく溶けかけており、地面のコンディションは最悪。チェーンスパイクが泥まみれで歩きにくかった。
そして。よくよく話を聞くと親友はどうやら生理のたびに大量出血をするという。それって、子宮内膜症じゃないか。
私は大後悔した。
案の定、親友は息も絶え絶え、なんとか山頂にはついたものの、下山は股関節の痛みも出てしまい、一歩進んでは止まり、一歩進んでは止まりの果てしない下山になってしまった。
当初の予定では帰りはバスの時間まで温泉に浸かってゆっくり疲れを取るつもりだったがもちろん生理のためパス。
それどころかバスの時間ギリギリに下山完了だったため、靴を洗う時間すら無かった。
とにかくこの山行は中止すべきであった。親友に辛い思いをさせてしまった。これ以降、数ヶ月の間、親友は股関節痛に悩むことになってしまった。
私の登れる山と友達の登れる山にはかなりの差があった。私は毎週のように近所の山へ出かけていたため少しずつ山歩きの体力が上がっていたのだ。
見極めが甘かった。反省した。
私はやはりソロが向いている。他人のフォローをできるほど経験もない。
これからも1人で登ることにした。