侵入された。
毎朝、決死の覚悟でセミの猛攻をくぐりぬけ、これまでまだ無傷で生還している。
本日も朝の任務(ゴミ出し)を無事に終え、玄関ドアに無事帰還。やれやれ、セミの襲撃もあと2週間もすればツクツクボウシに変わる。
ツクツクボウシはクマゼミより数が少ない。
まだ耐えれる。暑い暑いといいつつ、8月もいよいよお盆が近づき、暦の上では立秋。
雰囲気だけはほんのり秋の気配も…。
などと完全に油断していたその時だった。
わたしのスカウターが動体反応を確認。
え…?何か動いた…?
この間、数秒…。わたしは目の前で起こったことに反応できなかった。
判断が遅い!!
鱗滝左近次にドヤされるに違いない。
なんとソレは玄関ドアが閉まっているにもかかわらずスルスルと中へ入ってしまった。
うっっそやーーーーんっ!!
いや、ドア閉まってるし!!
なんでやねんっっ(泣)
忍びの正体はヤモリである。
ヤモリが我が家に侵入したのだ。
よもやよもやだ。
わたしはもしものときのために虫取りタッパーを用意している。
よくクモがベランダから入ってくるからだ。
わたしは虫取りタッパーでヒョイとクモを確保し、ベランダに放つ。
クモに対して悪意はない。奴らはベランダの虫を食べてくれるので我が帝国と同盟関係を締結してもう数十年の関係だ。
ココで我が家、いや我が帝国の叡智、虫取りタッパーを紹介させてほしい。
わたしはこの虫取りタッパーに幾度どなく命を助けられており、彼の地で暮らす息子にも1人暮らしの身を守るために旅立ちの日に授けてある。
玄関に侵入したヤモリはクネクネと予想不能な動きで隅に隅に移動する。
その先はリビング。聖地に値する。
それ以上の侵入は許さない(炎)
わたしは虫取りタッパーと靴べらを手にヤモリを捕獲することにした。
緊急につき、申請を省略。了!!
セミとの攻防でHPは残り30といったところ。
なるべく消耗しないようにわたしは虫取りタッパーをヤモリに近づけ、傷つけないように行く手を靴べらで防ぎタッパーの中に追い込んだ。
…瞬間、玄関ドアを開け、ヤモリをタッパーから解き放つ。
あ。
玄関ドアの直下に放してしまった。だがわたしに振り返る余裕など無い。
素早く玄関を閉め、そのままどこかに行ってくれることを祈った。祈るしかないのだ。
仕事に行くのに玄関を開けてまだソコにいたらどうしよう…。
てか、ヤモリって玄関閉まってても入れるんだという事実を知り、わたしは絶望している。
ヤモリは家守という漢字を書くのだから悪者では無い。ヤモリが我が家を訪問したのはこの30年で2回目だ。我が帝国と友好関係を結びたいのだろうか。ヤモリに対して悪意はない。外で見かけたら可愛い♡すら感じる。
だがしかし、わたしはヤモリとは共存したくないのだ。今回も条約締結には至らず強引にお帰りいただいた次第。
生きる世界が違うのだ。
わたしは家で、ヤモリはタタラバ…いや外で暮らそう。ヤックルに乗って会いに行くよ…とはならない。