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特急読書
単身、特急で帰省。単身で遠出するのは言わずもがな、特急で帰省すること自体が久しぶりだ。最後に乗ったのは、それこそ母が亡くなった時だな。急遽、夫と長男と当時まだ0歳の次男を連れて特急に乗り急いで駆けつけた。長男は酔うから特急が嫌いだったけど、がんばって乗ってくれていた。
その1ヶ月後には納車され、以来私の実家に帰る時は毎回車で高速道路に乗る。車を買うと決めた頃にもちょうど帰省していて、母にもカタログを見せこれを買うぞと話をしていた。へぇーいい色だねぇ楽しみだねぇ、なんて会話をしていたのに、結局お披露目できなかった。
単身で特急に乗り帰省したのは、長男がまだお腹にいた頃。まだ産休前で仕事をしている頃、里帰り先の病院で健診を受ける必要があり1人で一時帰省した時以来だ。
そんなこんなで久しぶりに1人で静かに特急に乗っている。不思議な気分だった。誰も邪魔してこない。とりあえず、持ってきていた読みかけの富士日記を久しぶりに読むことにした。
上巻なので、昭和40年前後の話。読んでいると、この時代は衝突事故とかエンジン故障とか、車のトラブルが日常茶飯事のように思える。こんな頻繁に車のトラブルに遭遇していたら、私だったら卒倒する。でもこの本の登場人物たちは事故にも故障にも淡々としている。
行きの特急では調子よく読めたが、帰りは乗り物酔いがありあまり読めなかった。
行きはうたた寝も挟んでいたから、一番酔いやすいゾーンを寝飛ばしていたため、なんかずっといい感じに読書ができた気になっていたのかも。
帰りは終始起きていた(眠れなかった)し、帰宅ラッシュなのか満席。夕飯時でもあるのであちこちから飲食物の匂いも充満してきて、気持ちは良くない。酔ったら目を瞑る。しかし眠れるわけでもなく、なんか暇だ。酔いが落ち着いたかもと思ったら目を開け、読書再開。読んでるうちにまた酔う。目を瞑る。落ち着いたらまた読む。という具合で過ごしつつ、まだかと何度も腕時計に目を落としたりしているうちに、やっと最寄駅に到着。
夜20時過ぎ。夫が推薦する人気ラーメン店に行ってみるかと店の前まで行ってみたが、満席の様子。カウンターのみの店内は、店員も客も全員男性だし空間に余白がなく、なんだか怯んでしまい並ぶこともせずすごすごと退散。駅前の富士そばでワカメ蕎麦を食べた。さっき葬儀を執り行ったばかりの亡き祖母が「ワカメを食べると髪がきれいになるよ」と言っていたのを思い出した。大量のワカメを噛み締めてから帰った。