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Claude3.5Sonnetでの100点獲得について(箔塔落)

 まず、100点満点中100点という嘘のような数字が出たことに驚きました。それから、作者の意図を半ば以上超えつつ、それでいて一貫性のある読解にも、心を大きく動かされました。「水際畸景」という連作には、自分でも新しい挑戦を試みた短歌が多く、「それは何もいなかった頃の海に似て引力だけに揺れる恋情」を突出して評価することは自分ではないことを含め、作品という問いかけがきちんと「他者」に対する問いかけとしての役目を果たしてくれたことについては、素直に喜びたい気持ちです。
 ただ、その一方でこの評価には気になる点もありました。それは、たとえば、〈恋愛を単なる感情ではなく、生命そのものの本質と結びつける〉や〈恋愛を自然界の根本的な力として位置づけています〉といった部分についてです。周知のとおり、性的マイノリティにはアロマンティックと呼ばれる、いわゆる恋愛感情というものとは関わりなく生きておられる方も、決して少なくない数でいらっしゃいます。先に引用したClaudeによる評価は、個人的にはアロマンティックの方々を等閑視しているように読め、そのような意図がないこと(実際、ヒト対宇宙ではなく、一個人対宇宙という読み方も、この歌は要請可能なはずです)を、作者としては強く言明せざるをえない点として残ったのが残念でした。これに比べましたら、「引力」を「ひかり」と読み間違えていることなど、おおよそ些末な錯誤にすぎません。
 作者としてはいささか以上に不本意な飛躍があったというものの、一字一句を多様な方面から読解してくれていることは、作り手冥利に尽きる、という感もまたありました。その一方で、若干矛盾して聞こえるのかもしれないのですが、AIはまだ、私たちが用いる「多様性」という語が示すものの取扱には長けていないのかな、とも思われました。開発者の皆様に敬意を表するとともに、今後この点についての改善が行われてゆくのなら、利用者としてこれほどうれしいことはありません。

(箔塔)

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