ペダルコンプ for bassists きのうのあれはなんだったんだろう

一昨日の記事でHartkeのヘッドに触れました。昨日の現場はまさにHartke HA3500と4.5XLの組み合わせでした。本番1時間前に入りましたが営業は始まっており準備で音が出せません。こういうことはままあります。ここは4、5年前にもやったことがあるし、Hartkeに苦手意識はなく、しかもコンプの話で引き合いに出した直後ですから、意気揚々とセッティングしました。

電車なので自前の機材は最小限。ベースはCrewsの5弦、 PUはNordstrandに、オンボードプリアンプはJohn Eastに替えてあります。Shin'sのローインピーダンス用ボリュームペダルの前にバッファー内蔵型のt.c.ペダルチューナー、そのアウトをアンプへ入れてトランジスタの側のゲインノブを適切に上げて、ボリュームピーク時にインジケーターが光る程度にコンプノブを上げます。9時前後だと思います。マスターボリューム手前のコントゥアーノブはロウパスを11時くらい、ハイパスを8時くらいに設定してあとはボリュームのみ、これは演奏しながら調整しようと、当てずっぽうに10時頃にしておきました。

演奏スタートと同時に、ベースの音量が小さいことが感じられ徐々にマスターを11時程度まで上げました。しかし上げれば上げるほどドンシャリ傾向が強まり、えげつないほどのピーキーなハイ成分が指弾きにもかかわらず耳に付きます。ロウエンドもうるさい。まるで自分の楽器ではありません。ボリュームで調整できるのはエッジとボトムのみで、250から800Hz程のミドルレンジが失われているように聞こえてきます。

初見でやっているので譜面から顔を背けられませんが、それでも頻繁に後を振り返ってアンプのつまみを弄ります。こういうとき、やはり4バンドほどのトーンコントロールがあれば素早い調整ができるはずなのですが、Hartkeには存在せず、ボーカリストからも上げて↑というサインが送られてきて、コンプを切ってゲインを盛ったりするのですが、いずれもカリカリの神経質さが増すばかりで普通に温かみのある低音が得られません。

前後しますが、John Eastのプリアンプがデフォルトで100Hzを6dBブーストしているので、普段ならばトレブルポットを引き上げてブライトを入れたりもするのですが、いずれも用無しであるからパッシブにします。2vol1toneの回路は生きており、普通のジャズベースと同じ使い勝手になります。少しはマシですが本質的に出音の傾向は変化しません。最近替えたばかりの弦が思う音にしてくれない、というのが最後に辿り着く疑念ですが、弦だけでここまで音は変わるのだろうか、ちょっと経験にありません。

そんなわけで、ベースはパッシブで、ヘッドのゲインはトランジスタの方12時、チューブの方8時くらいにしてコントゥアーはロウパス、ハイパスともに12時、マスターも12時。そしてそれまではバイパスしていたグラフィックイコライザーでかまぼこカーブを描かせて、漸くなんとかなる音色を得ました。これほど苦労したことは過去になく、いまだ原因に心当たりがありません。ともあれ、メインのノブはほぼ12時を指し、音造りはグライコでカモボコに描いただけというのは逆説的に使いやすさを示す結果だとも言えます。

じゃぁ足元のボードに何があればこの状況を救ってくれたでしょう。やはり3バンドEQでもあれば、というところでしょうか。昨日か、Diamondのコンプレッサーも話に出ました。そのトーンコントローラーは秀逸ですが昨日のエッジ(邪魔な高域成分)をカットしようとティルトをロー側へ振ると、なおのこと低域がブーミーになるので役に立ちません。

Vivieという国内メーカーは廃業してしてしまいましたが、最新の製品にTaurustoneというものがあります。コンプ内蔵プリアンプと言えばいいでしょうか、同社お得意の統合機になります。

リダクションランプがあってスレッショルドが可変、カーブは3択で4:1、8:1、12:1と実用的。私には4:1で充分です。アタック/リリースは2択で遅い方の20msで立ち上がりは残せますでしょうか、試さないとわからないです。ベース用カテゴリーでスレッショルドのみですからゲインはエレキベースの多様性にも対応済みであるかと思います。3バンドEQが昨日のような状況で役立つことが想像できます。1個だけ入れるのならこういうペダルがいいです。

この機種にもブレンドノブ(mixと書かれています)があってコンプ回路をバイパスした音を混ぜることができます。これも近年のトレンドですが本質的に私は抵抗を感じます。アタックタイムの設定でも生かせない立ち上がりの鋭い音を原音から拾ってくることで生々しさを取り戻すことができます。もう少し掘り下げた説明も必要かもしれませんが、ベース用の歪みペダルにも見られる、芯の部分は原音に頼る、という設計思想が、あまり好きではありません。次回以降、その辺も話していこうかと思います。

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