Crews Maniac Sound #SB-010が思い通りになった
ベースのボディ材についてはフェンダーのアルダーorアッシュが、機内食のビーフorチキンみたいに主流を占めているのは語るまでも無いことですが、楽器の話をしているといつかはここに触れてしまうことになります。
2019年11月末日現在、私が仕事で使うメインの楽器はCrews Maniac Sound(以下クルーズ)のBe Bottom' 21(5弦ベース)で、ずっと本番が無いまま迎えた本年の2月、久々にホールで歌伴をやったときにも相棒でした。
気に入っていたSadowskyでしたが、これは加齢による衰えだと断じますけれど、ネックの幅が広く左手が辛いのと、19mmピッチの弦間が、時々跳躍したときにミスをしてしまうのを嫌に思って、ネックが細い、18mmピッチの楽器を探しに探して、後継機種に認めた唯一の楽器だったのです。
サドはアッシュ/メイプル、このクルーズもアッシュボディですがローズウッド指板となります(トップ画像の楽器の話じゃないよ、まだ長いイントロ)。
あ、その前に。先日生徒さんの楽器を選ぶ手伝いをした話の中で、サドをアクティブ前提でパッシブの音駄目でした的に言い放ちましたが、その個体についての率直な感想であったことは否定しませんが、私が使っていたNYCはパッシブでもいけました。サドは一貫したコンセプトがありますが、なんというか、達成度がグレードによって大きく異なると思います。ロジャーが自らサインを入れている楽器は、やはり一目置くべきクォリティを備えています。で、私は好きです。個体を選びますが。
10年くらい前までは、どうもアッシュボディのベースは手許から離れていく傾向があって、試奏の上でいいなと感じて入手しても、仕事してるとなんか辛くなって諦めることになったのは、一度二度ではありません。軽めのものばかり選んできたせいでしょうか? よく理由はわかりません。
話は飛んでクルーズの5弦が良かったので4弦も、何かアッシュ1本持っておくかと、長いこと気にしていました。高い楽器を買うときにトレードで売ってしまったのですが、Freedom Custom Guitar ResesarchのJBが軽量なアッシュにマダガスカルローズウッド指板、60年代PUロケーションという具合で、ちょうど最初期のJBにあったブロンドカラーのような(岡沢さんと言えば早いのかな)構成で、それは目から鱗が落ちる良さでした。
PUはAntiquityに替えていました。アルニコ2なんで。アルダーにはアルニコ5のJIVEの方が合うかもしれませんが(使ったことありませんが評判はいいよね)、アルニコ2のオリジナル・アンティクゥィティはアッシュボディに合うと思います。アルダーに載せてピンときませんでしたから。
それ以来、アッシュにマダガスカル(ローズ)指板が私的に黄金比になっています。といった話で今日が終わりそうなので、道筋を修正します。
やっと本題。
クルーズのアクティブタイプのベースに搭載されるTBC-1というプリアンプは、実はとても優秀で、アクティブ・パッシブの切り替えで殆ど音質差がありません。効きも、いいところにちゃんとかかる使い勝手の良さです。基板に組まれていて、ポット交換が利かないのが難点かもしれません。ボリューム・バランサー・トレブル・バスの4ノブに組まれちゃってるんですね。で、ポットに基盤が付いていたりする。またバイパススイッチは独立のミニスイッチとなっています。
結構「わかってる」製品で、バランサーポットが、ちゃんと音質劣化を防ぐ措置をとっています。私は2ボリュームの方が好きですが、これは音質劣化が感じられないので許容できるバランサーです。
というわけで、パッシブトーンを付けたい身としては、トレブル・バスをスタックにできないので楽器に穴を増やすしかありません。
Be Bottomの方はJohn Eastを使っていますが、こちらのSBの方はデラーノのプリアンプに付け替えました。トレブルポットが特殊な1軸2連になっていて(250kと25kだったかな)、パッシブの時にパッシブトーンに変えられます。機能的には一応それで良しとしていました。
ピックアップもハムキャンセルタイプにしたくて、いつもノードストランドのスプリット(Be Bottomにはこれを使用中)を使いますが、たまには他を試したくデラーノに手を伸ばしました。JC4HE/M2という型番でバルトリーニのようにモールドされているブレイドタイプです。ポールピースじゃなくてブレイドを選ぶのが、明らかにマイブームです。
で、私感なのですが、はっきりパッシブの方が良かったです。ピックアップが、まずすごく好き。アクティブの時はトレブル・バスをそれぞれマックス近くまでブーストする使い方でした。フラットセッティングだと、なんか音が遠くなってしまうんです。理由はわかりません。
というわけで、その時点でこのベースは触らなくなっていて、ずっとサドウスキーのプリアンプを探していました。当初売っていましたが、そこそこ高いので中古を見てたのですが、とうとう新品も買えなくなりました。
サドの世界戦略が大きく舵を切った同じ頃、SNSでハンプバック・エンジニアリングが"2107 BASS EQ Preamp"を作ったという情報を得て、ずっと楽器搭載型の市販を待っていたわけです。ようやく昨月、入手の上、載せ替えることができました。商品説明に「NYを拠点に高品質な楽器を制作し続けるメーカー」にインスパイアされていると書かれていますので、どういう製品かおわかりでしょう。2バンドのブースト・オンリーEQとなります。
現状を説明しますと、クルーズプリアンプに必須のミニスイッチがありましたので、アクティブ・パッシブはこれで切り替えます。2ボリュームにトレブル・バスのブーストのみで4ノブ。あれれ、トーンがどっか行っちゃった。もうトレブルはカットできないし、音を丸くできない仕様にしてしまいました。というわけで潔いモディファイが吉と出るか凶と出るか。
やっぱりスタックにしてトーンノブ付けたいかな…。ハイをカットできないと心細い…。でも外部でできるしな…。
先日、ギターx2、ドラム、ベースの4人でリハーサルがあり、ちょうど間に合ったのでSBを持っていきます。で、若干強気で居られたのは、これのおかげです。
ちょっと見にくいですが、真ん中のGE-7にHumbpackのステッカーが貼られているのが確認できるでしょうか。最近、グライコ派なんですよ、生涯パライコ派のつもりでしたのに。こちらも戸田さんの作品(モディファイ)で、常時通過させておくのに申し分ないものとなっております。
リハーサルルームのベースアンプはアンペグの8x10にB2だったかのトランジスタヘッド。迫力満点のやつです。押し出しは強いけれど今風の綺麗で素直な音が出せません。こういうアンプで周波数の上の方を持ち上げるとガリガリ言うだけなので、逆に下げた方がいいです。GEでは1.6k、3.2kをぐっと下げて100Hzも下げてかまぼこ型にしています。6.4kは残して。で楽器の方ではバスもトレブルも気持ちのいいところまで上げています。
にしても、演奏中は、ちょっとやりにくい感じも拭えず、どうかなと思いましたが、録音してみたエアの音では、目指していた音が鳴っていたことが確認できました。自分のアンプでなくても、ある程度好みに近づけることができたわけです。延々と回り道しながら、クルーズSBについて、外堀を埋めるような語り方をしてきましたが、どれも中途半端で済みません…。
最初に戻って、アッシュの楽器は、自分の印象では、単品でかなりないい音がしたとしても、バンドに入ると聞こえにくくて弾きにくい、というもの。結構環境を整えてあげないと、適切な音量で、望む音質を得るのに苦労する気がします。5弦のBe Bottomにしても4弦のSBにしても、素性は良くて、もちろん入念に試奏して、確信を持って購入したのに、もうひとつ物足りなさが現場でありました。実際、この2本は、はっきり言って「木」しか残っていません。ハードウェアもエレクトロニクスも総取っ替えした、という顛末です。でもそこで得られたものは、なかなかに満足度が高いです。
もっとも、そもそもの弾きやすさが群を抜いていたことが、選ぶ際の出発点にありました。そういう意味では非常にリスペクトを持っています。
あ、書き忘れるところだった。デラーノのPUですが、探したところ在庫品として入手可能であった唯一の品が、なんとカスタムのLED搭載のものだったのです。せっかくのギミックを使わないのはもったいないので、ミニスイッチと連動させ、アクティブ回路を通しているとき、PUが妖しく光るように配線してあります。気分が上がります。見てる人も喜びます。LED好きです。