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仕事用ミニマムシステムを考える 4
今後使っていくボリュームペダルの選定
前記事に書いたとおり、バッファーアンプをテストするのに使用したボリュームペダルはShin's MusicのBaby Perfect Volumeのカスタム品でした。カスタムオーダーの内容は、AlembicのSeries Bass(70年代から続く外部電源を要するロン・ウィッカーシャム自身が組んだサーキットを積んだベース)を所有しており、この専用パワーサプライから出力される信号に対応するペダルを作ってくださいと申し上げました。また切り替えて一般的なベースでも使えるようにしたい、と付け加えて。
結果、100kΩと25kΩを選択できるように作ってくれました。私にはその仕組みがわかりません。同軸のポットにそのような仕様があるのでしょうか。あるいは100kポットを使用しながら、25kに落とす回路を仕込んでいるのでしょうか。いずれにせよ、後述しますが、どちらで使用しても品質の高さを覗わせる、よくできた機材です。Shin'sのPerfect VolumeはErnie Ballシャシーを使用したものや、初期のオリジナルシャシーのものなど数機種を持っていましたが、最終的にはこの1台のみを残して手放しました。
80年代の終わりくらいにプロとなった時、すでにボリュームペダルはマストアイテムでした。当時はアートテックのお世話になっており、ベースも数本作ってもらったほか、Ernie Ballのモディファイもお願いしました。というより、改造しなきゃ使えないよ、と教えて頂いた、のが真実です。
海外製のポテンショメーターは端子を片側に寄せきって、理論上は0になるはずの位置でも、まだ無視できない抵抗値を有している(これを残留抵抗と仰っていたので、私も踏襲させていただきます)から、日本製に交換する、しかも数ある在庫からいちいち測定し、最も値の小さいものから使用する、といった念の入りようでした。もちろん楽器(ギターやベース)に載せるポットも、手許の全個数から残留抵抗の優劣で選別されるのは言うまでもありません。プロ用の機材というものは、そうしたところにコストがかかっており、市販のアーニーとは別物になりました(が、それ自体は既に所有していません)。これに止まらずハードウェアについて広範な薫陶を受け、その後の機材選びに視座を得ることがでたのはとても大きい経験でした。
というわけで、今一度、所有するボリュームペダルの全数を測定した結果が以下の表となります。
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残留抵抗の少ない順に並べ直しました。Shin'sとWeedが桁違いに少ないのがおわかり頂けます。流石です。Ernie BallのMVPはバッファーアンプを内蔵し、電源を繫がないと使用できないため入出力端子から直流抵抗を調べることはできませんでした(電源オフ時に示した値は載せておきます)。ちなみに言及していませんでしたがHotoneのTuner内蔵型(Tuner Press)はMVP同様アクティブボリュームであり、音質変化が激しかったので手放してしまい、代わりにパッシブボリュームのAmpero Pressを入手しました。これが想定外に成績優秀で、その圧倒的な軽量さと共に、実を言うとシステムに組み込むことを決定しています。
ボリュームペダルというガジェットの音質への影響は、単に残留抵抗で決まるとは言えず、配線材や、その接続法、組み込み、果てはシャシーの素材、構造の差違も関係するかも知れません。実物を使用し、音質評価を待つしかありませんので次回へ続きます。