その10分間だけ豪雨が来て、まんまと濡れる

昨日のライブで決定的になったのは、やはり34.5インチを仕事で使うのは恐いということで、少々ミストーンが出ました。毎度の話ですが、左手の押弦は、指をフレットの位置にて行います。換言すればフレット付きの楽器でもフレットレスの弾き方で弾くということです。しかも一指一フレットの運指を守りながら。軸足はフレッテッドであり、レコーディング以外の仕事でフレットレスは使わず(ライブと日常の練習のみ)とも、正しいピッチが得られるはずの場所に指を置くことを習慣化して40年にもなります。大袈裟に言えば。

これはスタイルですから、それを変えれば超ロングスケールだって弾きこなせるかもしれませんが、仕事となると初見。手許を見ることは能わず、左手の動きは勘に頼ることになりますから、急ごしらえのやり方で凌げるはずがありません。私は、あと残り僅かの人生ですからこのままのスタイルで通します。その恩恵を受けてきましたし。

というわけで、本当に34インチに戻りたくなったのでした。割と性急な性格なので、さっそく手を打とうと、今日はとあるメーカーのショウルームへ出向き、代表直々に相手していただきながらオーダーの相談をしました。

最近、ここへいろいろと書いてきた内容を整理し、試奏してこれでも行けるか?などとブレてしまわないように、究極の希望までを密にリストアップしました。それを携えて、項目順に伺っていくとリクエストの半分くらいは叶うことになりそうで、骨組みとしては見込みありとなりました。

例えばラッカー塗装がNGとか、パーツはゴトーとか、といった縛りがあって、それは「うちの音」になるかならないかの線引きがそういったところに内在するようなのです。そこをあえて、こうでなければ嫌だと無理強いするのも大人げない。作り手の脳内に数式があれば、それで出てくる答えを部外者が否定して良い結果が得られるはずはありません。私たちは、そのメーカーの音の出る楽器を買わなくてはならないことに、なんの間違いがありましょうや。

といった、語弊があるけれど、妥協をどこまでなら許す気になるか、という点が検討のしどころです。価格面でも納得がいきました。これまでに所有したことのない楽器です。

ちょっと楽しみな気分になりましたが、納期は最低半年とのことで、今オーダーしたとて来年5月以降の完成を覚悟するよう言われました。これが一番辛いところです。

それはそれとして、折角都心まで出てきて、強いにわか雨でずぶ濡れになった服も乾いてきたのだから、もう一軒行こうと足を伸ばしました。そちらは量販店で、目当ての楽器があります。その対抗馬も在庫されており、2本を比較させて頂きました。単純に材違いですがアルダーボディの方が、アッシュより良い、しかも価格も安い、というところで収穫を得ました。

それでも先のオーダー品より15%くらい、こちら(輸入品)の方が値が張ります。ただ、買ったその日から使えます。その事実が最もプライスレスなんですよね。どうしていいかすぐに答えは出せません。

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