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メインベースに関して少し

教室では備品を使い、オンラインレッスンでは4弦のベースを手にします。昨年2月の途中より一切の演奏仕事から遠ざかっていますが、その時予定されていた本番が1年延期となってリスケジューリングされ、ぼちぼちリハーサルが始まります。演奏のお仕事では必ず5弦を持っていきます。

その間、私は自分の課題としているテーマに沿って練習を続けていましたが、その内容から必要とされる音域の問題で6弦ベースが必要になりました。冒頭に掲示した画像の楽器は一昨年のたしか10月頃に手に入れ、以来ずっと「メイン」の座に居るベースとなります。

Moon MBC-6の姿をした、K.Nyui Custom Guitarsによるフレットレスです。製作年は不明ですが仕様が1990年代と同じですので、近年になってからオーダーされたものかもしれません。

というのも、搭載されていたブリッジがKahlerだったためで、同製品は弦間の設定が自由に利き、古いムーンに積まれていた弦間16.5mmのブリッジが入手できなかったからではないか、あるいはMoonブランドでは廃番なので受注できずK.Nyuiとなったのかな、といった理由が考えられます。

数年前から、ほんとに6弦は探しまくっていて、実際何回か買っています。恥ずかしいですが挙げてみましょうか。順序については記憶が不鮮明です。F-bassが2本、Fodera、Miura、珍しいところでM-bass、5本かぁ…。散財してますね〜、あきれます。ちなみにフレットレスはFの1本だけで他の4本はフレッテッドです。

弦数は多いですが、練習すべきドリル的なフレージングをこなすのに、ローからハイポジションまで、まんべんなく使います。全ての練習は12キーで行っているからです。私の奏法では、一指一フレットが大原則ですので(通常のベースラインを弾く時などは疲労軽減のためにコントラバス式も用います)エクストラロングスケールは辛いですね。F-bassの34.5インチが限界かなと思います(でも辛い)。ちなみにフレットの上を押さえています(届いてなくても音は鳴りますがいやなのです、もちろんフレットレスではピッチがおかしくなります)。

そしてやればやるほど、つまりフレージングを、より実用的なものにしていけばいくほど、高音域のポジションでもローB弦まで使用するケースが少なくありません。実際、C音(いわゆる3弦3フレットの音)をB弦13フレットで小指を使って押さえたい、となったりするのです。そうなると日本人の平均サイズでしかない私の指の長さでは届かないのです(いいや、なりふり構わず腕を回していけば行けますが、そんなフォームの崩れ方は許せません)。

このようにお聞きになればわかるとおり、弾き方に、好き嫌いが激しいタイプです。自分が最善と思う腕、指の使い方から激しく踏み外した形にはしたくないのです(見てる人は凄いことをやってるように思うかもしれませんが)。4弦の普通のベースをきちんと弾いている延長上での多弦の扱いでなければ嫌な派です。

以上の2点から楽器のスケールは34インチ(他の弦数の楽器と揃えたいから短いのはとりあえずNG)、弦間は狭いほど良く、18mmは迷うゾーン、それ未満が望ましい。という条件になります。弦間、と言いましたが実際にはネックの幅と言った方が条件の概要としては正確なものとなります。

K.NyuiのMBC-6(ムーンの型番ですが便宜上の流用です)はその2点を充たしており、6本目にしてやっと「弾ける」楽器と巡り会えました。そこまで、良さ気なものを慎重に選んできましたが、やっているうちにギブアップしたのでした。そういえばOlive Instrumentsという名を最近記しましたが、忘れていました。しょっぱなは矢口さんが作った34.5インチ(弦間17mm)の楽器でした。そうそう、だから7本目だ。あれも良い楽器でしたが、私が弾きたい内容を弾ける形ではなかったんですよね。ボディシェイプが特徴的で。

あの時だって、毎日Digimartに「エレクトリックベース」の「6弦以上」「フレットレス」で検索かけて、3〜8本くらいしかヒットしない日々が続いていて、彼が完成しました。販売します。と呼びかけたのを見て、すぐに手を上げたのでした。その後、間を開けずに5弦のフレッテッド、仕事用のを依頼しました(ポストボリュームで回路を組んだ楽器です)。

私がKnoorenにオーダーしていることは先日告白しましたが、ネックサイズ等はMBCに準拠しています。そこはパーフェクトですがMBCにはいくつか不満があって、色々手を入れてきました。PUを2回替えています。ペグとブリッジをHipshotにしました。TCTを取り払いパッシブにして2vol. 1toneのジャズベース回路にしました。指板には光沢のある塗装が吹いてあり(エポキシコーティングではありません)エボニー指板の表面を保護していましたが、これを剥がして指板修正しました。基本的には強いネックだとは思いますが、微調整のためにロッドを回しても、反応が出るのが一日遅れで、今ここで合わせたいと思っても中々追い込めません。

そんなこんなの不満を解消すべく、次のレベルのものを手に入れようとしているわけです。もちろん、乳井さんはものすごい方だとリスペクトしています。JBとPBを作って頂きました。素晴らしい楽器です。ただ、ここにあるこの1本に、その利用目的に照らして、自分の感覚では物足りなさがどうしても拭えません。贅沢は承知しております。不満を書くとディスってるように受け取られると本意ではないので、一応お断りしておきますが1個体に限定しての話です。

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画像では鼻血を止めるティッシュのようなものがブリッジに挟まっているのが見えると思います。このところG線を弾くとウルフトーンが出るようになってしまいました。Hipshotブリッジのせいかもしれません。一体に見えるかもしれませんが、これはモノブリッジを接触させて搭載しているのです。そうすると弦間16.5mmでちょうど良くなります。サドルとボールエンドまでの間の部分で共振があり、それが出音に乗ります。今は発泡スチロールのかけらを挟んで軽減させていますが、十分ではありません。チェロのウルフキラーを試したいと思うのですが、簡単には入手できずこのような応急処置となっています。また、弦を止めている部分に注目ください。ボールエンドを止める山が低くて、弦の引っかかりがとても浅いのです。そしてサドルまでの角度も小さくなってしまい、弦のサドルより外の部分が遊んでいる感があり、それが不具合の種のようです。B-style bridgeの17mmも手に入れたので替えてみてどうなるかですね。

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ペグを替えたのは昨年のGW頃で、緊急事態宣言や他国でのロックダウンさなかでしたから物流が止まるとともに、お籠もり需要とやらでパーツ類も品切れが続出、やっと見つけた加工無しに取り付けられる軽量ペグは、フェンダー系のフラワーデザインで、しかもニッケルカラー。元々はブラックパーツでしたからミスマッチ承知で否応なく入手し、交換を果たしましたが、それが今ではお気に入りになっています。3:3のペグ配置にフラワーペグは気分を和ませてくれます。かわいい。後になって、ブリッジもニッケル/クロームにしておけば良かったと思ったり。元のGotoh製からネジ穴位置までぴったりです。

数回前に6弦ベース、とくにMTDを目当てに都内へ試奏しに出掛けた話をしました。MBCはフレットレスで、これをアップグレードするつもりでKnoorenに頼んだほかに、フレッテッドも6弦を主体に弾いていこうと思っており、また毎日Digimartを検索するようになっています。

米国にWynというワンマンドライブのハンドメイドメーカーがあり、まだ仕事にメインで使う5弦ベースにゴールが来ていなかった頃にアプローチしました。その時点で5年のバックオーダーを抱えており、とにかくウェイティングリストに名前を残しました。おそらく今折り返し地点を越えた辺りで、まだ2〜3年は待たねばなりません。今となってはWynにこそ6弦フレッテッドを任せたいと考えておりますが、その3年後までの気持ちを充たすための何かが必要です。Knoorenが、もうそろそろできあがる頃かと思ったのに、材を選定している段階だったというショッキングな報せもありました。このMBCで、あと何ヶ月耐えていけるかわかりません。

6弦て、もっと出回ってなかったっけ? 半年、1年前にざくざく出てきたのに、これはと思うものがまるでありません。特に弦間狭く、スケール34、重量もできるだけ軽く(このMBCを含め、うちにあるベースで4kgを超えるものはありません)、この3つの条件をクリアするものは無いのです。

17mmだったらIbanez、Warwick、Music Manあたりが近いでしょうか。もちろん古いムーンもあれば検討したいです。そして依然35インチものが多く、あるいは33も増えており、意外に34が珍しい。というか34はフェンダーキャラに振って弦間が19とかになってしまいがち。かつ軽いものは滅多に見ない。いっそのこと7弦を買って、1本外して6弦にしてしまおうかとすら考えます。そしたら狭くなるよね?

じゃぁもう音一辺倒で良くない?と開き直ってのMTDだったわけですが、何度同じ過ちを繰り返すことになるのでしょう。弦間だって18だ。弾き易いけど。スケールは35だ。届かないこともないけど。みたいな。

毎日練習して、これじゃない何かに替えたい、という気持ちは加算されていきます。どうして私はこんななんでしょうね。ずっとこうやって生きてた気がします。何かが落ち着けば、次にまた何かが始まる。物欲とは思っていません。コレクターでもありません。弾いている時の体が発する声に心が支配されてしまうのです。面目ない。

そうそう、ペデュラがあったら欲しいですが、クローズしてからは全く見なくなりましたね。みんな手放さない。BUZZ / MVPでなくて良いのですが…。


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