ペダルコンプ for bassists ゲインかスレッショルド

昨日はノブが3個はないと、って書きましたが、もちろんそこが機材選びの条件とはなりません。Dynacompを初めとする古くから続く典型的なペダルコンプ、特にギター用となると2ノブがとても多く、そのだいたいが(想像ですが)ベースに向きません。けれど3ノブあるからベースで使えるとも言い切れないので、その辺りを補足していこうかと思います。

入力感度の問題です。ギターは低出力、対してベースは高出力と仮定します。ベースの場合はアクティブの楽器となれば10dB以上のブーストも可能ですから。

コンプ使いこなしの鍵となるのは動作開始点を決めるスレッショルドの設定で、是非ともパネル上にそのコントロールノブを設置してほしいものです。が、入力信号そのものに桁違いの差があれば、それも功を奏しません。スレッショルドを最低にしてもなお、入力信号が過多であれば、全部抑え込まれてしまいます。逆を言えば、スレッショルドが固定であっても入力感度を大幅に変えられるゲインノブが備わると、充分機能するかもしれません。

設計者がユーザーを想定しており、仮にストラトキャスターに最適化されていれば、その可変範囲が狭い場合、ベースには使えない(求める音にできない)可能性が高く、ベーシスト用に特化されていれば、ギタリストは前段にブースターを置く必要があるかもしれません。我々が見極めるべきは、まず適切なゲインがどのレベルかという点です。

ラック型、という話を何度かしており、その違いは何かと言えば、ライン入力用に作られているところです。レコーディングに使用されるコンプレッサーは通常ミキサーのバスアウトやマイクプリアンプの後段に接続されます。その信号レベルはプラヨンなどと言いますが、+4dBuを基準とします。一般家庭用のオーディオ機器、例えばCDプレイヤーの出力等は-10dBuと遥かに小さな電圧となります。楽器のレベルはこの間に存在し(マイクは更に断然低い)業務機器に直接入力できません。ですからラック型をアンプのセンドリターンに繫ぐのは、機器の想定するレベルまでベースの信号を増幅し、合わせ込むためです。

以下、話が逸れます。アジア圏で廉価に製造されるために不十分な耐久性や品質で、決して信頼できるものではありませんが、Hartkeのアンプヘッドが嫌いじゃありません。リハスタやよく出演していたハコの備品であったため、自前よりも遥かに多く使用してきました。これのビルトイン・コンプレッサーが好きです。オンオフを兼ねたワンノブ仕様。回していけば効果が強くなるのはスレッショルドを下げていくからでしょう。

アンプヘッドなので、エレキベースの出力を受け止め、任意のゲイン設定でラインレベルに変換された後、コンプ回路ではレシオ固定ですが(恐らく)スレッショルドをコントロールして効きを調節します。昔これにはdbxの回路を使用と誇らしげにラベリングされていたような記憶があります。サムソンのものになる前の時代です。ですが今もコンプはいいです。実のところ、設計(レシオ、アタック・リリースタイム等)が気に入るならば、このようなワンノブが理想です。

コンプの効きを気持ちよいところに設定したために出力は下がるものの、これはアンプヘッド、となれば欲しい音量までマスターボリュームを上げれば良いだけのこと。結局トータルで見てゲイン、スレッショルド、メイクアップボリュームの3パラメータを備えていることになります。

ワンノブのペダルコンプを探してみても見つからなかったのは、そうした理由からでした。最低2つはないと無理なんですよ。ちなみにt.c.electornicのspectra compがあるじゃないかと言われそうですが、試したことがありません。おそらくDSPで動作していると思われ、だったらLINE6製品やZOOM製品を持っているので不要かなと感じています。

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