春だから初心者に向けたエレキベース選びについて その三
昨日までに述べた、トラスロッドの調整口がどこかに開いていること、立っても座ってもネックが下がらないこと、ストラップで吊ってもネックが遠くへ行かないこと、軽めであること(実際にはとても軽量であること)は、前提にするといいです。これといって狙っているものがないのであれば、是非これらの条件をクリアしたものの中から選んでください。
次に、みなさんへお話ししたいのは、見た目に関することです。色。
エレキベースはアメリカ西海岸で生まれ、当時の文化の影響を強く受けていますので、商品として、既存の楽器にはない特徴を持っています。
私はウクレレやアコースティックギターも愛好しますが、一般的なそれらの印象は、見た目が、板そのものということではないでしょうか。また、ピアノだったら、家具調の茶色い木目のものもありますが、大半は真っ黒で、鏡のように艶々なコンサートピアノを思い浮かべるでしょう。楽器によって象徴するカラーというものがあると思います。
エレキギターともども、ベースもサーフボードや自動車といったアイテムに意匠を借り、ポップな外装を纏ってその地位を確立しました。芸術的であるより生活に近いところで愛玩されようとする工夫があったわけです。今でこそ見慣れたものの、真っ赤なエレキギターとか、黎明期には非常にインパクトがあったらしいです。
エレキベースを選ぶ際に、楽器の塗色そのものが、それを愛せるか愛せないかを分かつことになるかもしれません。色はキャラクターです。私のお勧めするワードは、見た目に惹かれるならば正解、というものです。是非とも好きな色の楽器を見つけてください。
ある生徒さんの2本目になる楽器選びをお手伝いした時、赤いベースが欲しいとおっしゃいました。具体的に聞いていくと、いわゆるキャンディ・アップル・レッドと呼ばれるメタリックの赤でした。その時点で市場にあるCARの個体から条件に合う1本を予算内で探し出して決定しました。
また、ある方はショップを回った時に目に付いたピンクか、紫でキラキラしたものとおっしゃっていたので、おそらくはバーガンディミストではないかと思うのですが、中々それがないのでオーダーも検討されています。
お二人とも明確に好きなカラーがあって、私などは羨ましい限りですが、こういう動機は強い愛情を誘起するので、たいへん良いことだと思います。そのきっかけにもなるので、是非お店を訪れてみてください。
さて、予算についても、軽く触れておきます。生徒さんの持ってくる様々なベースと、選定にお付き合いしてショップで見比べた中で述べると、現時点では周辺小物を含み4万円程度を見た方が良いと思います(アンプは含みません)。得体の知れないブランドロゴを見ることがありますけれど、この価格帯であっても酷すぎない品質を保てていると思えるのは、ざっくり言えばYamaha、Bacchusでしょう。Ibanezを加えてもいいかもしれません。6万円近辺ではGrecoがお勧めです。もう少しの予算でFujigen、Tokaiも含まれてくるでしょう。島村楽器のショップブランドも、ものによっては悪くないです。質問の多いことなので、忌憚なく、かつ短くまとめてみました(が、もう少しディープな話へも踏み込んで、まだまだ続きます!)。