34インチスケールと34.5インチスケールの比較音源 追加
本日はdragonflyのCHB5 / 345の弦を交換して再録音したものをアップしました。最近考えてきた事の実証実験のようなものです。楽器はシリアル#から本年8月に完成したことが伺われ、出荷時の弦は045-130となっています。
これはD'AddrioのEXL170-5だと思われます。だとすれば、他は065、080、100になるはずです。このところ見てきたようにバランスの良いゲージセットと考えられますので、本当に標準的な正しい選択でしょう。
弾いた感想、音源を客観的に聴いた感想としても正にその通りでした。高音域を弾いた時に艶が乗るのはニッケル弦の良いところです。一方、個人的には装飾的なきらびやかさともとれます。メッキの音という感じ。もちろん悪く言っているつもりは毛頭ありません。
ニッケル弦とステンレス弦を比喩的に表すならば、楽器塗装のグロス仕上げとマット仕上げと言えばわかりやすいかもしれません。見た目の印象を音に置き換えてもいいですし、実際、そうした仕上げによる楽器の音色の傾向とも合致します。ニッケル弦から得られる美しさに対し、何十年と愛用してきたステンレス弦の特徴は裸の良さです。ダイレクトな反応が得られる気がしています。
というわけで、ケンスミスのステンレス弦に替えると、途端に音は暴れ出します。高音域の鳴りも、少し朴訥な風でダダリオの綺麗さは影を潜めます。しかしその方が性に合っている、というのは、dragonflyを多数試奏した時に、グロスよりマット塗装の方が好ましかった事実に共通する嗜好だと思います。
このスミス弦は7弦用のミディアム・ライト・セットでして、Hi-F、Hi-Cを除いて、.044/.063/.080/.102/.130という並びになっています。先のダダリオとも近いですが、より微妙にコントロールされた芯線のゲージが選ばれていて理想的です。
メーカーが異なりますので、またニッケル/ステンレスの違いもあるので張った時の手に感じる固さは、かけ離れています。こちらの方が緩く感じます。その柔らかさが、弾いた時の暴れ感にも繋がり、演奏するのが難しくもあるのですが、そこが好きだし楽しいです。
というわけで、全然違う音になったdragonflyを聴いて頂きましょう。ハムバッカーをシリーズ接続で使った音と、片側をタップしてシングルコイル(ジャズベース状態)にした音の2ファイルあります。ローB弦は、これによって良くなったとは思いませんが、ドーンとした感じはスミスの方が上です。34.5インチに0.130弦を張ったところで、目に付く改善には至っていないのが現実だと認めざるを得ません。34インチ、0.125より大分マシですが。