わかったさんの連載で分かった。お菓子づくりで大切なこと。
昨年、「minneとものづくりと」で一つの企画が立ち上がりました。
児童絵本『わかったさん』に出てくるお菓子を実際に作って再現する「わかったさんとつくる」という、連載です。
あれから約1年。先月にはシュークリームを再現した記事を公開し、これまでに合計8本の記事を公開することができました。
甘いものもお菓子づくりも好きな僕にとって、うってつけの企画。
そして何より、小さい頃に姉と一緒に読んでいた絵本を元にした記事を担当できるなんて。
嬉しくて記事が公開されるたびに家族に報告していました。
そんな楽しい企画ではあったのですが、なかなか大変なこともありました。
ちょうど企画が走りだしたころ、緊急事態宣言が発令されたのです。
ひとり寂しいお菓子づくり
在宅勤務での仕事となり、この企画もお菓子づくりから撮影、執筆まで全て1人でこなさなくてはなりません。
1人で黙々と工程をこなしながら、合間合間に撮影をし、「よし、これはなかなかうまい具合にできたぞ」と完成したお菓子も、編集部のみんなに食べてもうこともできず、だれとも喜びを分かち合うことができないのです。
だれかに見て欲しい!一緒に食べて欲しい!と思ってもせいぜい写真を共有することしかできない。
写真まで撮り終えたら、黙々と1人で完食するしかありません。
うまいこと1回で完成すれば良いのですが、撮影しながらとなると工程も手間取り、失敗してしまうこともありました。
そうなると失敗した分と合わせて、1人で食べなくてはならず、5日ほど毎日プリン祭りになったこともあります。笑
なぜ人はお菓子づくりをするのだろう。
そもそも、お菓子ってなんのためにつくるのでしょうか。
普通に生活を送っていれば、必要なエネルギーは十分摂取できる現代。
お菓子ってなくても困るものではありません。
甘いものを食べたい!という欲求も、コンビニで買えばすぐに満たすことができます。
では、なぜ人はお菓子づくりをするのか。
それは「だれかとその時間を共有する」ことにあると思うのです。
お菓子をつくる時間も一緒につくれば思い出に変わります。
だれかに作ってあげるためのお菓子づくりはきっとより丁寧に、楽しい時間となるでしょう。
また完成したお菓子を一緒に食べて「おいしいね」という時間は「だれか」と一緒に過ごすから特別なものになるのです。
日常で必要となる普段の「食事づくり」ではなく、「お菓子づくり」だからこそ、だれかのためにつくるという側面が際立ちます。
わかったさんもひとりではつくらない。
ぼくはその「だれか」がいないまま、1人でお菓子づくりを行っていたのです。
いくら仕事とはいえ、なんと寂しい…。笑
失敗しても誰かと笑い合えればダメージも少ないですし、
完成したものをみんなで食べようということになれば、撮影や執筆以外の楽しみも増えます。
その中で声に出して「おいしいね」「すごいね」と言ってもらえたら、ぼくは幸せで溢れてしまいます。
(SNSではたくさんの方にコメントをいただき、とってもうれしくて励みになりました。ありがとうございました!)
わかったさんの絵本にも実際「わかったさん」以外にたくさんの登場キャラクターが出てきます。
時にはわかったさんを困らせ、時には一緒にお菓子づくりをして、時にはアドバイスをくれるキャラクターたち。
わかったさんにもちゃんと「誰か」がいたんですね。
ものづくりは相手がいてこそ、より豊かになる
コロナ禍になって、おうち時間が増えて、お菓子づくりを始めた人も多いと聞きます。
それでも完成したお菓子をただただSNSにアップして、1人で食べるのは少し物足りなさがあります。
ほんとは、つくる時間やつくった後においしくいただく時間を誰かと共有したい。
それはお菓子だけに限りません。
ものをつくるってことは、決して自分だけのためではなく、相手がいてこそより豊かになると思うのです。
今回の企画で「つくる」ということがなんて尊いものなのか、再確認することができました。
早くまたみんなでつくったり、渡したり、喜んだりを気軽にできるような世の中に戻って欲しい。
ぼくも編集部のみんなと笑いながらお菓子を食べられる時間がまた訪れるのを期待して、今日もひとりお菓子づくりに励みます。笑
連載「わかったさんとつくる」はこちら
「わかったさんとおかしをつくろう!(全3巻)」はこちら
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