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1000日チャレンジ 954日目 「A LITTLE HISTORY OF SCIENCE」(若い読者のための科学史)CHAPTER 34 What Do We Inherit?

ゴールまで46日

★BMI:22.8

「A LITTLE HISTORY OF SCIENCE」(Bynum, William著;Yale University Press;2012年)を原著で読み進める(全40章)

◎CHAPTER 34 What Do We Inherit?
★主な内容
遺伝についての最大の興味は「獲得形質は遺伝するのか」ということだった。フランスの博物学者ジャン゠ バティスト・ラマルク( 1744-1829)はキリンの首は一生懸命伸ばしているうちに、時間をかけて少しずつ伸びていったと考えた。1900年代半ばまでは、獲得形質の遺伝に関しては、賛否が分かれていた。この論争に終止符を打ったのは2つの研究がきっかけだった。1つは1900年に再発見をされたモラヴィア( 現在のチェコ)の聖職者グレゴール・メンデル(1822-1884)によるエンドウマメを使った交配の実験。彼は遺伝ははっきりとした粒子のようなもので受け継がれていくもので、両親の形質を混ぜて受け継いだりはしないと考えた。もう1つの研究は、ドイツのアウグスト・ワイスマン(1834-1914)による生殖細胞における減数分裂の発見である。ワイスマンは生殖細胞は体細胞とは異なる分裂をして、その細胞がもつ形質だけが次の代に受け継がれるのだとした。
一方で生物測定学者たちは、ヒトが両親から受け継ぐ形質はその平均であると考え、メンデルらとの説との間で大きな論争となる。1920年代に入るとこの2つの説はいずれも正しくもあり間違ってもいることがわかる。つまり両親双方の形質を受け継ぐものと、片方の形質だけを受け継ぐものの両方が存在しているのだ。
コロンビア大学のトーマス・ハント・モー ガン(1866-1945)はキイロショウジョウバエを使った実験で染色体上のどの部分に各形質の遺伝子があるのかを特定することに成功した。
遺伝に関する研究の進展は社会に悪い影響も残した。ヒトが努力して得た形質が遺伝しないのだとすると、動物に対して行ってきた人為的選択を人類でも行うことができると考える「優生学」がそれだ。障碍者を隔離しようとする考えやナチスによる人種差別として、その影響は顕在化されてしまった。

★単語
stepmother
;継母、heredity;遺伝、precision;正確さ、lie;ままでいる、foremost;一番最初に、creature;生き物、biometrician;生物測定学者、inheritance;継承、 eugenics;優生学、insanity;狂気、laziness;怠惰、sinister;邪悪な、sterilisation;不妊にする、incarcerated;収監された

★フレーズ
little-by-little
;少しづつ、

※グレゴール・メンデル;「1822〜84;オーストリアの植物学者;修道院生活のかたわら,1856年からエンドウマメの交配実験を行い,遺伝に関する「メンデルの法則」を発見し,65年に発表した。しかしその真価が認められたのは,死後の1900年の再発見によってであった。」(旺文社世界史事典 三訂版より引用)

◎現在では、親世代が受けた環境要因は生殖細胞のDNAにも影響が及ぶことで、”遺伝”するということがわかってきた。しかし、これはラマルクが正しかったということではなく、生殖細胞における変異に環境要因が影響をすることで、その生物のおかれた環境に対する反応は、受け継がれていく可能性があるということである。生殖医療の発達とともに、再び優生学的な考えがはびこる可能性があり、それを人類が理性でどのようにコントロールできるのかが問われているように思う。


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