1000日チャレンジ 403日目『A Degree in a Book: Art History: Everything You Need to Know to Master the Subject - in One Book!』Day7 17世紀スペイン美術の黄金時代①エル・グレコ
ゴールまで597日
★BMI:24.5
★原著『A Degree in a Book: Art History: Everything You Need to Know to Master the Subject - in One Book!』(John Finlay著;Arcturus ;2020年)、日本語版『1冊で学位 芸術史~大学で学ぶ知識がこの1冊で身につく』(上野 正道監修;ニュートンプレス;2021年)を読みながら、英語で美術史を学んでいく。取り上げられている作品の中から、気になったもの、好きなものをピックアップして紹介していきたい。分厚い本なので、気長にゆっくり進めていく。
◎『トレドの眺望』(ギリシア出身の画家エル・グレコ(El Greco、1541 - 1614)が1600年頃に描いた作品;メトロポリタン美術館蔵)
エル・グレコはギリシアのクレタ島で生まれ、ヴェネツィアからローマを経てスペイン・トレドに移った。『トレドの眺望』はトレドの街全体を描いたものだが、実際の街とは建物の位置関係や色などが、かなり違うらしい。そういうことよりもドラマティックの効果を狙って描かれたものだた著者は指摘している。雲が垂れ込める不穏な感じの空は全能の神の力を暗示している。一番高いところには、国王カルロス5世によって改築されたアルカサル宮殿があるが、手前の大聖堂の尖塔は宮殿よりも少し高く描かれている。急な山の斜面に並ぶ建物からは、上に向かうエネルギーが感じられ、この絵を見る人たちに信仰心をよびおこすように描かれている。グレコの風景画の最高傑作とされ、多くの美術史家が、”宗教画的な風景画”として評価している。
エル・グレコといえば、引き延ばされて、うねったような人物像で宗教画を描いたことが特徴的だが、こういう風景画も描いていたことを改めて知った。ここにはキリストもマリアもいないが、不穏な雰囲気の中で、何か特別なことが起きるような予感をさせる不思議な絵だ。この時代のスペインは、ドイツ・スイスにおける宗教改革に対抗する反宗教改革運動の熱心な国で、信仰心に篤かったグレコにとってトレドの街は、宗教的な奇跡をも幻想させるような安住の地だったということかもしれない。
★justification;正当な理由(a good reason why something exists or is done)、spire;尖塔(a tall pointed structure on the top of a building, especially a church)、antiquity;古代、devout;敬虔な、devotional;聖的な((of music, etc.) connected with or used in religious services)、conceive;想像する、piety;信仰心(the state of having or showing a deep respect for someone or something, especially for God and religion; the state of being pious)
(原著Chapter6 p.118-119)
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