『科学目線:上から、下から、ナナメから』読了記録 第57回夏休みの本(緑陰図書)(全国学校図書館協議会)高等学校の部を読んでみた(5)
第57回夏休みの本(緑陰図書)(全国学校図書館協議会)高等学校の部を読んでみた(5)
★『科学目線:上から、下から、ナナメから』
元村有希子 著
毎日新聞出版 (2024/1/4)
以下、出版社web siteより引用
「本物か、偽物か、
それが問題だ。
混迷の時代をわたしたちはどう生きるか。
文系出身科学記者による最新エッセイ!
VUCAの時代にあっても、足元をしっかりと見つめて、やるべきことをやる。
岩の隙間からしみ出した一滴の水がやがて大河となるように、
小さな個々の営みが集まれば流れとなり、
状況をよい方向へ変えていくはずです。
そういう人たちに勇気をもらいながら、
私は文章を書いています。
(「おわりに」より)」
※感想
本書は2019年~2023年の著者の雑誌・新聞の掲載された文章をまとめたもの。そのため一つ一つの文章は長くても3ページ程度。前後の関連もあまりない。科学記者ということで、科学的な話題が多いものの、それだけではなく、遺跡発掘た政治的話題、社会的な話題など幅広い。文章を書くという視点からとても参考になる文章だと思う。
がんについてのコラム(「あかるく、かるく、やわらかく」p.228)の文章が特に印象に残った。著者自身、2度のがんり患経験があり、その経験から生き方が変わったという。
『「『いつか』は、やめる」と決めたのだ。したいこと、行きたい場所、会いたい人、伝えたい言葉。人生のいろいろな機会を「またいつか」と先送りしないことにした。』
なかなか難しいことではあるけれど、私も還暦を過ぎて同じ心境になっている。
この本、装画、イラストカットも良い。羅久井ハナさんという版画家・イラストレーターの作品。毎日新聞のコラムに挿画の版画を提供していた人のようだ。ページ欄の小さいイラストも可愛いい。