1000日チャレンジ 909日目 「A LITTLE HISTORY OF SCIENCE」(若い読者のための科学史)CHAPTER 4 The Father of Medicine: Hippocrates
ゴールまで91日
★BMI:22.9
★「A LITTLE HISTORY OF SCIENCE」(Bynum, William著;Yale University Press;2012年)を原著で読み進める(全40章)
◎CHAPTER 4 The Father of Medicine: Hippocrates
★主な内容
ヒポクラテスは、紀元前460年頃、ギリシャのコス島で生まれた。『ヒポクラテス 全集』は250年にもわたって多くの人物によって書かれたもので、当時実践されていた様々な医療知識が含まれている。この人たち(ヒポクラテス派)が説いた3大原則は、何世紀にもわあたって医療をリードしてきた。1つ目の原則は、病というものは「自然な」原因によるものであって、神官ではなく医師が治療するものだということ。2つ目は、人間の健康状態が「体液」によって決まるというもの。「粘液」「黄胆汁」「血液」「黒胆汁」の4種類の体液が人間の健康状態を左右する基本的な役割を果たしていて、そのバランスが、崩れることで病気が起きるとした。そのため彼らは患者をしっかり観察することが大事だと考えていた。3つ目の原則は、「自然治癒力」である。さらにヒポクラテス派が現代医療に影響を及ぼしていることは、医師が患者に対して取るべき行動について「誓い」である。 すなわち、患者弱みにつけこまない、 患者の秘密を洩らさない、毒を与えないという医師の倫理規定とでもいうものである。
★単語
epidemic;流行病、伝染病、priest;聖職者、phlegm;痰、vomit;吐く、戻す、diarrhoea;下痢、oath;誓い、
★フレーズ
magical remedy;魔法の治療法、faith healer;信仰療法を行なう人、muscle-twitching;筋肉のけいれん、sacred disease;神聖病;「古代ギリシア・ローマで広く流布していた癲癇(てんかん)の俗称。とつぜん倒れて全身が痙攣(けいれん)する発作を,当時の呪術的世界観から〈神の意思が働いて生じたもの〉と解釈したのでこの名があり,実際その治療法としては浄(きよ)めや祈禱が幅をきかせていた。これに対してヒッポクラテスが〈この病気はとくに神的でも聖なるものでもなく,自然の原因で起こる〉(《神聖病について》)と批判したのは有名である。」(平凡社世界大百科事典 第2版より引用)、vis medicatrix naturae;(ラテン語)自然治癒力
★humour;(古代から中世の)体液=blood, phlegm, yellow bile, black bileの四つの体液を指し、この割合により人間の気質や健康状態が規定されると考えられた。
★"I will use my power to help the sick to the best of my ability and judgement" ;ヒポクラテスの誓い(Hippocratic oath);「『ヒポクラテス全集』中に収められているもので,ギリシアの世襲医家の子弟が修業を終え,正式にその一員に加えられるときに行われた宣誓。現在でも大学医学部の卒業式などで朗読されている。「医神アポロ,アスクレピオス,ヒュギエイア,パナケイアおよびあらゆる男神女神の前に,この誓約,この義務を,わが力,わが誠をもって履行することを誓う」で始り,「業務上の見聞や他人の私生活の秘密は口外しない。もしこの誓いを固守し破らない場合には,世の信頼のもとに長くわたしの人生と術とを楽しましめよ。もし破った場合は,逆の報いを与えよ」と結んでいる。」(ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典より引用)
◎ヒポクラテスという名前は知っていても、どういう人だったのか全く知らなかった。ソクラテスやプラトンよりも前の時代に、これほど現代に近い感覚の人(あるいは人たち)がいたとは驚きだ。ヒポクラテス派として継承されていったというのは、おそらく、当時の人たちが明確に認識できる治療効果もあったということなのだろう。