見出し画像

『はじめて読むレオナルド・ダ・ヴィンチ』読了記録 第57回夏休みの本(緑陰図書)(全国学校図書館協議会)高等学校の部を読んでみた(4)

第57回夏休みの本(緑陰図書)(全国学校図書館協議会)高等学校の部を読んでみた(4)

★『はじめて読むレオナルド・ダ・ヴィンチ』
石崎 洋司 著
講談社 (2023/10/16)
以下、出版社web siteより引用
「1452年、イタリア・フィレンツェ郊外のヴィンチ村に生を受けたレオナルド・ダ・ヴィンチ。
勉強よりも、動物や植物、自然現象を細かくスケッチすることに夢中だった美貌の少年は、やがてヴェロッキオの工房に弟子入りし、その才能を大きく開花させます。
『モナリザ』や『最後の晩餐』などの絵画芸術にとどまらず、音楽、建築、物理学、幾何学、解剖学、軍事技術など、さまざまな分野に通じた「万能の天才」の素顔にせまります。」

※感想
レオナルド・ダ・ヴィンチの生涯を追いながら、いかにして偉業を成し遂げたのか、成し遂げることができたのか、あるいは成し遂げられなかったのか、従来の説を紹介しながらも著者自身の解釈も大胆に示されていて、とても面白く、一気に読むことができた。ミケランジェロとの対立の場面などはわくわくして読むことができる。
本書を読み進む中で、時代背景や同時代の芸術家たち、ルネサンス期のさまざまな技法(コントラポスト、空気遠近法、スフマートなど)についても知ることができる。
終盤のモナリザに関する考察は、著者自身のレオナルドへの優しい視線を感じる説になっていて、なるほど、どうだったのかもしれないと思わせてくれるものだった。
最後に著者がこの本でいいたかったことが、わかりやすくレオナルドの(想像の)台詞で表されている。『わたしは天才なんかじゃない。あなたたちだって、ふしぎだと思ったこと、疑問に思ったことを、ないがしろにせず、ひたすら追い求めていけば、きっとわたしと同じことができるはずですよ。』(p.230より引用)
タイトルの「はじめて読む」の部分は、いかにもシリーズタイトルのようだが、講談社さんはこのような伝記をシリーズ化して刊行するおつもりなのだろうか?コンパクトでかつ、いかにも偉人礼賛といった内容ではない本書のような伝記であれば、ぜひ、シリーズ化してほしい。中学生・高校生だけでなく、知っているつもりになっている大人の再学習にも良いと思うなぁ。

いいなと思ったら応援しよう!