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三日坊主

私はいま、50代。
もし家を売って、
大きなお金が手元に入らなかったら、
老後にいくら必要だとか、
この先もそんなことは考えなかったと思う。

私たち夫婦はお金について本当にザルで、
定年まであと10年なのに、
まったく貯蓄のできていない人生だった。

お金について考えだしたのは、
恥ずかしながら、
新NISAが始まったからじゃない。

たまたま家を売ったから。

そして昭和の人間だから?
普通預金に大きなお金が入っていることが
良くないと考えて、
そのお金をどうにかしないといけないと考えだした。

それでもどうしたらよいかわからない……

必然的にお金について
考えなければならない状況になってしまった。

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千葉の自宅を売ったお金を元手に
東京で家を買うつもりだった。

売却益を頭金にあとは
住宅ローン。

ただ、いくらくらいの物件を買えばよいかとか、
まったくわかっていなかった。

貯金もなく、
いつも自転車操業&綱渡りで生きてきたから、
家を売り買いするなんて、
ある意味、ギャンブラーだと思う。

でも昨年、引っ越し話が出た頃、
わたしは自分の存在が疎ましく思えていて
心機一転、環境を変えたいと考えていたから、
かなり積極的に家の売買を進めていった。

****************

家を買うには資金計画が必要。(当たり前!)

不動産屋さんから、
ファイナンシャルプランナー(FP)さんに見てもらえば、
将来への見通しが立って、
いくらの物件を買えばよいかはっきりしますよ、と言われ
ちょっと面倒だったけど、
FPさんに相談することにした。

zoomに自分が書いた著書の画像を張り付けて登場したFPさんが
まず用意してくれたのは
一枚のスプレッドシート。

そこに私たちの全資産を書き出す。

一度、記入して提出しては、
再度FPさんが確認して私たちに質問。

預貯金のみが資産だと思っていたけど
保険も資産と言われ、入力。

「へ~それも資産なんだ」と、
かなりの無頓着さで生きてきたことがわかる。

全財産をFPさんに把握してもらうと、
「売却益は運用」
「家の購入は、全額住宅ローン」
と言われびっくりした。

「運用って何するの?」

車の残価ローンの存在を知ったときも
驚いたけれど、
どうやって返すかちゃんと計画しないといけない、と思った。

FPさんは

「銀行に借りられるだけ借りて、
住宅ローンの金利よりも
高い金利で運用したら、
東京で家が買えますよ」と教えてくれた。

「なんかだまされてるのかな~」と思った。

心配だったから、
自宅売却でお世話になっていて
FPの資格を持っているKさんに聞いてみると、
「私も同じ考え方です」とおっしゃった。

「え~~っ、そうなんだ~~」と
私たち夫婦はまたもや驚いた。

本当に私たちはお金のことを知らない。
世の中はそういう向きになっているんだ、と
遅ればせながら認識した。

FPさんにはさんざんお世話になったから
報酬について伺うと、
「私は個人の方からは報酬を受け取っていません」と言う。

そんなわけはない。

KさんにFPさんの報酬がどうなっているかを尋ねると、
「保険をあとから紹介される」と教えてくれた。

私たちは、不動産屋とFPさんの関係や
またその仕組みも知らなかった。

案の定、FPさんは米国債で運用する
毎年一時金が出る保険を紹介してきて
それに私たちが入らない、と言ったら
何も言わずに連絡が途絶えた。
そして今まで共有していたスプレッドシートも閲覧できなくなっていた。

自分は本当に世の中を知らないな、と
そのとき思った。

***********

頼りにしていたFPさんが消えたからどうしよう、と思ったが、
FPさんよりも信頼できそうな、
夫が入っている外資系の保険屋さんがいるのを
思い出した。

そのとき私は株式、債券、不動産、金、REITなど
50代が資産として持つなら
米国債、と思っていたけど、(やっつけで勉強した)
その米国債をどうやって買ったら良いかが
わからなかった。

保険屋さんは米国債の商品ありますよ、と
すぐに持ってきてくれた。

YouTube先生(インフルエンサーさん)が
手数料をしっかり確認してくださいね、と言っていたから
気をつけてはいた。

でもその時期にたまたま見た動画に
「保険」は安全資産、というのがあり、
私はそれを鵜呑みにしていた。

夫婦で500万の商品に契約する予定だったのが
契約の直前、保険屋さんに
「600万でも良いような気がしますが……」とささやかれて
その当時、売却益をどこかに預けなければという
意識が高すぎて、
うっかり「600万円」に金額変更して契約してしまった。

結局、あとで米国債を買うなら、
もっと手数料がかからない良い方法があったと知り、
不勉強な自分に腹が立った。

私はその失敗以来、
猛然とお金について勉強しだした。

もともと見ていたYouTubeのほか、

・書籍
・ラジオ
・インスタ

私がわかりやすいな、と思っている
経済アナリストさんが出るテレビ番組なんかも見て
経済も勉強し始めた。

****************

私はこれまで自分の将来について
まったく考えてこなかった。

ましてや世界情勢なんて、
あまりくわしく知らなかった。

災害があれば寄付をし、
動物愛護にも興味はある。

でも目の前のことだけで精一杯だった。

家のことと、仕事と、子育てと。

子どもたちには「夢を持って生きてほしい」と
子どもを授かったときから思っていたから、
それをふんわり伝えながら子育てを一生懸命してきたつもり。

うまく伝えられたかどうかは、
分からないけれど、
子どもたちは、なんとか社会人になった。

子育てはひと段落、と思っていたが、
ハッと気がついた。

お金のことは、子どもたちにまったく話してこなかった。
わたしは子どもたちより先に死ぬ。

それならば、子どもがお金で失敗しないよう
お金について、話しておかなくてはいけないと気がついた。

例の失敗以来、
私はラジオNIKKEIを聴き、
お金の書籍をむさぼり読んでいる。

標準偏差もイマイチよくわからない私が
お金と経済について学んでいる。

夫は三日坊主だろ、と思っている。





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