スナックかすがい第十三夜「よ!場づくり名人」体験記【後編】
Text by ひらばやし ふさこ | Fusako Hirabayashi
Photo by 伊藤 愛輔 | Aisuke Ito
異なる分野で活躍される方の対談を、ビールとお豆を片手に楽しむ大人の社交場”スナックかすがい”。第13夜のゲストは、浅草で「瓦割りカワラナ」を営む川口民夫さんと複業研究家の西村創一朗さん。レポートの後編は西村さんのご経歴から始まります。
川口民夫さんのお話がメインの【前編】はこちら
二兎を追って二兎を得られる世の中に
ここから西村さんパートへ。
西村さんも民夫さん同様、元リクルート(※西村さんはリクルートキャリア、民夫さんはリクルートジョブズ)。2018年末に出版された著書『複業の教科書』で私もお名前を知った。noteに書いておられる文章からそこそこの年齢の方かと思っていたけれど、お会いしてみたら31歳ととてもお若く、瑞々しさに溢れていた。
公務員になろうと思って大学で勉強中に1児のパパになった西村さん。「公務員になろうとしたのは安定しているから?」という豆彦さんへの返しは…
西村: 違いますね。僕自身が、それこそこの場にそぐわないかもしれないですけど、中・高とずっと生活保護を受けて育ってきたんですよ。なので、国民の皆さんの税金のおかげで生きてこられたっていうのがあった中で、中学のとき人生の超暗黒時代で、あんま学校に行ってなかったんですけど、高校進学を決めたときにもう「国に恩返ししよう」って決めてました。
当時僕が知っている恩返しの方法って、授業で習った憲法の中の「国家公務員は国民全体への奉仕者である」っていう言葉。それで公務員になろうって思って法学部に入学したんです。
会場からは「ほー」という無言の溜息と「それでそれで?」と先を期待する気配が上がる。それを受けたかのように豆彦さん、「そうだったんだ。恩返しを、じゃあ国を動かしてやろうとかじゃなくて、恩返しをしようって?」。
西村: それは今も変わってないです。恩返しっていう方向性から恩送りには変わりましたけどね。僕を税金で養ってくれた先人に恩返しするっていうよりは、自分の子が生まれたことで、子どもが大人になったときに今よりもいい地球を残したいとか、いい日本を残したいって思って。それでリクルートに入ったって感じですかね。
「恩返し」という言葉は、時に人を縛り不自由にさせる。でも、西村さんからはそんな強張りは感じられず、伝わってくるのは、春を迎えた植物のような芯のあるエネルギーと伸びやかさだけだ。「暗黒時代だった」という中学生時代を含め、今日は語られなかった幾つものことを乗り越えて、彼は今ここにいるのだろう。
在学中に公務員に向いていないと思うようになり、リクルートキャリア(当時:リクルートエージェント)に入社。公務員に向いていないと思った理由は、OBOG訪問で話を聞いた公務員の人たちが口を揃えて「公務員になったのは安定しているから」と答えるのを聞いて、「こんな人たちと働きたくない!」と思ってしまったからとのこと。社会人になってから、国を良くしたいという志があって公務員になっている人の方が多いことを知り、「こんな人たち」というイメージはなくなっているそうだ。
私も最近、元国家公務員の方からお話をうかがう機会があり、国の組織の中から社会を変えることの難しさを知った。西村さんは複業研究家として国の副業関連委員会の委員もされている。そういう形で国の組織の外から関わっていく道で西村さんが活躍されることを期待したい。
西村さんは複業研究の他にも様々な活動をしておられ、「何やってるかわからない人」とよく言われるとのこと。民夫さんもそうだが、自分もそうなので、ここは個人的な共感ポイント。
西村さんの数々の活動の中から豆彦さんが出してきたのがこちら。「U-29」で「ユニーク」と読む。ほほぅ。
西村: 「U-29」っていうのは、アンダー29、29歳以下っていう意味と、面白い、あるいは独創性があるっていうユニークを掛け算した造語です。いい大学行って、いい会社行ってみたいな、いわゆる普通の人生とは違ったユニークな生き方をしている人の人生ストーリーを伝えるウェブメディアですね。
このウェブメディアの裏側には、500人ぐらいの10代や20代が参加しているコミュニティがあるとのこと。「なんでそれをやろうと思ったんですか?」という豆彦さんの問いへの答えは、
西村: さっきの恩送りっていう言葉に近いですけど、ペイフォワードっていうふうに言っています。僕自身20代の頃にたくさんの先輩方の支えがあって、なんとか苦しい時期も生き延びられたってなって振り返った時に、僕自身も後輩たちに、次の世代に恩返し、恩送りをしたいと思いました。それだけじゃなくて、そういう恩送りが自然に行われるようなコミュニティ、場をつくりたいなと思ったんですよね。そのコミュニティで生まれたストーリーを、その場で終わらせるんじゃなくて、ちゃんとコンテンツとしてコミュニティ以外の人も見れるような場として発信していこうと。さらにそのコンテンツを見た人がこのコミュニティに入りたいと思ったら入れるっていう、この循環をつくり出そうということで始めました。
ここで豆彦さん、3人分のビールのお代わりを頼みつつ、そういうことを年取った人がやるのはわかるけど、まだ31歳の西村さんがやる理由は?と掘り下げていく。
どんな想いのこもった回答が返されるのかと思いきや、「明確に思い付きですよね」と西村さん。ガクッ。おっとっと、ビール、もとい、お茶がこぼれるじゃありませんか!
西村さんには「思い付きでドメインを取る」という病気があり、もうじき29歳になる時に、サッカーのU-23のノリでU-29と書いたらユニークと読めると思い、調べてみたら U-29.comが空いていたから取ってみた。
もちろん、その裏には「29歳以下でなにか盛り上げることをやりたい」という想いがあり、同じ1988年生まれの仲間5,6人で集まって、U-29カンファレンスをやろうと思って、日付も決めた。でも、主賓に予定していた方の都合が悪くなって流れてしまう。
西村: 2年ぐらいたって30になった時に、ドメインも取ったし、サイトも作って放置してるのもったいないなと思ったから、この場をせっかく作ったから恩送りをする場にしようと思って、ピボットしたって感じですね。
そんな経緯で始めたU-29は西村さんが毎月20万円を個人で負担して運営中。収益ゼロ。利益考えずに始めるところも民夫さんと共通で、ここもまた個人的な共感ポイント。
そして「これも面白いなと思ったんですけど」と言いながら、次に豆彦さんが出してきたのがこちら。
「二十何個ある僕のプロジェクトの中から、僕の本業では全くないサブ・オブ・サブ・オブ・サブのプロジェクトを取り上げてくるあたり、いや、マニアックですね。ありがとうございます」と笑う西村さん。
この講座は、話は面白いけど自分では書けない、書ける人も自社にいないという経営者や起業家と、書けるけどインタビューでうまく話を引き出せないライターとの間の溝を埋めたい、そこにニーズを見つけて、「小さく始めて駄目だったら撤退する。そんな失うものもないしっていう感覚」で始めたもの。つい数日前に1期目が始まり、2期目も募集開始直後に満席になったそう。駄目だったとしても失うものはないという感覚は大事だよなぁとまた共感。
そして西村さんパートの最後のスライドはこちら。
西村: 僕、「二兎を追う者は一兎をも得ず」が一番嫌いな言葉なんです。だって大学時代から子どもがいて、子育てもしなきゃいけないし、学業もしなきゃいけないし、バイトも週6週7やらなきゃいけないし、でも就活もあるし、みたいな。常にもう三兎四兎追ってる状況でしたから。
就職したあとも、「会社員たる者、社業に専念すべし」っていうね。僕は子どもがいたんで、仕事もめちゃめちゃ頑張るし、成果は出したい。けれども、子育てにもコミットしたいみたいな思いがある中で、二兎を追う者は一兎をも得ず、じゃなくて、二兎を追って二兎を得ていいんだよっていう、それは本業だけじゃなく複業も含めて、そういう世の中になったら、もっとみんなハッピーになるのになって思ってました。
だから「二兎を追う者は一兎をも得ず」へのアンチテーゼとして、このビジョンとして掲げて、5年前に会社をつくったっていう感じですね。
「何兎も追うのは大変じゃないですか?」という豆彦さんの問いに対する西村さんの答えは、「いろいろやりたいことがあるのに我慢して捨てて1個しか選ばないよりは、追いたいウサギを追いたいだけ追うっていうほうがむしろ楽。十兎追ったら死ぬけど、二兎三兎ぐらいだったら追ったらいい」。
西村さんの会社の社名HEARSは兎の複数形。「ヘアーズ」と誰も読んでくれないので、とうとう名刺にフリガナを振ったと語っていた。第2部の“かすがいタイム”でいただいた名刺の社名には確かにフリガナが振られていた。
後日、U-29の記事を幾つか読み始めたら止まらなくなった。30歳以上でも自分ごととして読めるもの、「20代の頃はそうだったよな」と思い起こすもの。自分の進路に迷っていたり、部下のことで悩んでいる若い友人たちに「読んでごらんよ」と勧めたくなる。そして「いい大学を出て、いい会社に入る」というレールを歩んできた西村さんが、そうではないキャリアを選んだアンレールな人たちに心を寄せるようになったプロセスをじっくり聞いてみたくなった。
ワクワクする場を作るキーワードは「散漫」?
ここからワクワクする場の作り方について、お二人から。
最初のお題は「ワクワクする場はどうやったら思いつくの?」
お二人の一致した意見は、自分がワクワクすることが大切、自分軸でいい。
民夫: 自分のセンサーに引っ掛かるものは、自分に近しい人はミニマムでも30人ぐらいは世の中でやりたいはずだっていう感覚。「俺、これに超テンション上がってるから、ほかにもテンション上がる奴いるな」っていう感覚を信じてる。
西村: 熱量とかワクワク感がその場の空気をつくるんで、主催者がワクワクしなかったら絶対それは面白くならないし、面白くなかったら人が集まらないから場にならない。
次なるお題は「人を巻き込むコツ」。
民夫: 何かを始めるときに1人でやんなきゃいけないルールなんて全くないんで、僕これまでやってきた会でも2人で立ち上げた会とかって結構多いし、2人で始めるとすごいいいのは、ミニマムで2人集まるんですよね。会として成立しちゃうんですよ、それで、完全に。これは本当にティップスだと思うんですけど。
豆彦: そうか。12夜の紫乃ママは、自分以外の2人を合わせて3人になればコミュニティだって言ってたけど、民夫さんは2人いればコミュニティじゃねぇかと。
民夫: コミュニティっていうか「会」です。
西村: 会。
豆彦: 会ね。
民夫: 何かを起こす場として、2人集まればイベントだと思ってるんで。
豆彦: なるほど。ここらへん西村さんどうですか
腹落ちしない様子で西村さんに振る豆彦さん。
西村: もうおっしゃる通りだと思いますね。コミュニティとか趣味領域でいったら本当ミニマム、2人でいいんですよ。
「2人でいい」と断言した後、事例としてご自分が始められた渋谷で朝活する会“朝渋会”の成り立ちを紹介してくださった。最初は、早起きしたかった西村さんと、物心付いたときから5時起き生活をしてきた朝活のプロとも呼べる友人の2人で始めた活動。今は有料メンバーが数百人規模になっているという。
西村: 最初2人で始めて、お前の持ってる早起きのノウハウは俺だけが独占したらもったいないから、それをシェアするイベントをやろうってやったら、20人、どんって集まりました。これを最初から、朝渋、朝コミュニティやりますってオープンにやってたらたぶんそんな集まってなかったと思います。2人で始めて、これは価値になるなっていうものをコラボレーションして見つけられたからグロースできたと思うので。
逆にいうと、いきなり1人で企画してたくさんの人を集めようとするんじゃなくて、2人で会を立ち上げるっていうところからやるのがティップスかなと僕も思いますね。
豆彦: 仕事だった場合は?
西村: 仕事だった場合でいうと、観点全然違ってくるんですけど、まずは僕は若者とおじさんのタッグが最強だと思っていて、外を駆け回る若者と、中のネゴシエーションが強いおじさんがタッグを組まないと、新規事業は上手くいかないですよね。若者ひとりでワーワー言ってても、なかなかそれってやっぱり上までいかないし、上までいかないと決裁が下りないから予算も付かないみたいな。だからいかに若者を面白がってくれるおじさんを味方に付けるかっていうところ。
おじさんを味方につけるコツとして、「ツッコミどころを用意しておく。おじさんが『こうしたらいい』と突っ込んできたところで、『それいただきます!一緒にやりましょう』と言ったら、『お、おう』ってなる」と西村さんが語ったところで、会場で手が挙がった。
参加者A: うちも会社の中で若い人がワアって声上げて、おじさんがワアって、おじさんワアっていうの大好きなんですよね。ワアって言うんですけど、言って終わりみたいな人がすごい多くて。どうやって、「お、おうっ」て言わせるのか、そこのところお願いします。
ここは新橋。サラリーマンのメッカと言われた街。質問した方も含め、スーツ姿も多い。同じことを聞きたい人も多いであろう会場は西村さんを凝視している。
西村: ポイントは、サシの場で相談することですよね。相談の体で持っていって、サシで突っ込んでくれたら、そのアイデアいただきます!っていう。そこで船に乗ってもらうことですね。プレゼンとか、そういうパブリックの場では隙をつくっちゃ駄目ですよ。それは点数が付くものじゃないですか。点数が付くものでイマイチなもの持ってったら、それは単に次のステップに進めないっていう話でジャッジされちゃうんで、ジャッジの場ではそうじゃないんですけど、サシの場で相談ですよね。
民夫: 面白い!
西村: 個で。サシっていうのが大前提です。
豆彦: よく全部パンパンって答えていきますね。恐ろしい31歳だな。
民夫: さすが。
西村: いやいや、当時を思い浮かべながら。
「当時」というのはリクルートキャリア勤務時代のこと。西村さんは法人営業を経て、新規事業開発に携わっていた。リファラル採用をやりまくって、それを事業にしてしまう。そこからリクルートキャリアの採用もやってくれよ、となって採用担当も務めていたそうだ。「この人なら」と見定めた誰かにサシで相談を持ちかけて、新規事業を実現していった姿が思い浮かぶ。
次は参加申し込み時の事前アンケートからの質問、「自走するコミュニティの創り方」。
これに対して民夫さんは「イチ参加者で終わらせないっていう。運営側にちょっと回らせるっていう機会を提供する」と答えた後、アサクサ読書会の実例をあげた。アサクサ読書会は20名強の参加者が3テーブルくらいに別れて話をする。毎回くじ引きをして、当たりくじを引いた人が各テーブルの進行をするかしないか選べる権利があるという運用をしている。立ち上げから8年目に入った最近は、民夫さんが出席できなくてもベテラン参加者の誰かが全体の進行役を務めるので休会にはならない。
民夫さんの話を受けて、西村さんはキングコング西野さんがよく言う話として、沖縄にある、めちゃめちゃいい居酒屋の話を紹介。そこの良さは店主が超ダメなところ。開店間際から飲んだくれて寝てしまう。お客さんが店主の代わりにお会計とかやってあげなくてはいけない。それによってエンゲージメントが生まれている。
西村: この店のように、主催者側で全部やろうとせずに、隙、余白を残しておいて、どうぞどうぞってやっていくのは、理論としてはあります。ただ、これって炭に火を付けるみたいなものなんですよね。炭って一回火を付けちゃえばずっと周りを暖めてくれますけど、火が付くまでが長く時間がかかります。参加者が当事者意識を持って余白に入って、当事者意識を持って運営してくようになるまでには結構時間がかかるものだって思わないと、コミュニティのオーナーとしてはそれこそメンタル的にきつくなるかなと思います。自律的に運営されてるコミュニティは一日にしてならずっていうことですね。
「うまいこと言うな~」と感心する豆彦さんからの最後の質問は、「どれも一生懸命やってて散漫にはならないですか。1個ずつが浅くなったりしない?」
これに対して西村さんが、「いやいや、超散漫ですよ。散漫でいいかなって思っていて」と即答。「なるほど」と頷く豆彦さん。
西村: メリハリは大事だと思うんですよ。自分は何屋なのか?っていう、やっぱり一つのことを突き詰めるのは大事です。リクルートの大先輩の藤原和博さんは、ある分野を突き詰めて100人に1人になれば、それを掛け合わせれば100万分の1の希少人材だってよく言ってますけど、その通りだと思っています。そのとき、何で100分の1になれるかなんて、やってみなきゃわかんないじゃないですか。一回やってみて駄目だったら次、駄目だったら次、みたいなことを繰り返していくことでしか、自分にとっての100分の1には出合えないって考えると、散漫になっていいんだっていうマインドがないと、むしろ巡り合えないと思います。これだ!っていうのを見つけたときに、グッとやればいいだけの話なので。
「おっしゃる通りだなぁ」と感じ入る豆彦さん。いやはや、お見事。恐るべし、31歳。
民夫: すいません、僕もむちゃくちゃ散漫っすよ。僕、11月から手相を勉強していて。
西村: 散漫!散漫!(笑)
民夫: 手相ずっと勉強したいなと思ってようやく勉強しはじめたんですけど、楽しくて仕方なくて。自分の楽しさってそういう部分にもあることを提示できる人生を送りたいと思ってます。
瓦割りに居合抜きに貸会議室にシェアオフィスにと次々に広げてきた民夫さんが何を始めてももう驚かないと思っていたけど、手相とは。西村さん同様、「散漫!散漫!」と言いたくなった。
「僕まとめるのやめます、今日。話の中で引っかかったことを持ち帰ってほしい」と豆彦さん。豆彦さん自身は「散漫でいい」が刺さったとのこと。
最後に、「主催者ってなってみれば」という紫乃ママへのアンサーソングを各々から。
西村さんは、ブログを書いたりコミュニティを作ったりしてきた理由を「超人見知りで、お互いにはじめましての状態で関係性構築っていうのが本当に苦手」だからと話し始める。
ブログを書いて、相手は自分を知っている状態だったら会話できる。コミュニティも、向こうは主催者の西村さんですねって知ってもらってる状態から入ればクリアできる。人見知りだからこそ自分で始めちゃうっていうのは結構お薦めと。
私は真逆で、自分は相手を知らないのに相手はこちらを知っている状態が怖い。人見知りも多様だ。
民夫: 僕は寂しがりなんですけど、皆どこかで寂しさを感じることってあると思うんですよね。途中で話した「自分が感じたら、たぶん世の中で30人は感じてるだろう」を正しいと置くならば、やっぱそういう機会を創ったほうが、誰かの寂しさを紛らわすんじゃねぇかなって思っていて。2人で始めるためにパートナーを探しに行ったら、その時点で寂しさ紛れるんで。会は失敗したら笑い話になるし、もうちょっと楽しく暮らしていく方向につながるんじゃないかなと。
豆彦: ありがとうございます。僕ちょっと表面的に考えてたなって思いました。主催者になりたいけど、何したらいいかわかんないときに、ノウハウやハウツーみたいなのがあれば、よりやれるんじゃないかと思ったけど、お二人が話してくれたことはもっと根源的で。でも、ちゃんとした動機がないとやっちゃいけないわけじゃなくて、散漫でいいじゃねえか!っていうのが本当に一番すごく刺さりました。
民夫: やっぱそこ(笑)
豆彦: いや、それが僕、一番のアンサーなんじゃないかなって。紫乃ママはそれを、ハードルを下げるってことと言ってたんだなと思って。だから、主催者になるハードルなんて自分が考えてるだけだよって。全然低いよ。
西村: そうそう、まさにまさに。
豆彦: お二人がいみじくも自分が息を引き取るときに、こうやって思って去っていくってことを、リアルに考えて、このスライドのようなテーマを得ている。そのためにいま僕はここで今日も朝起きます、と思ってるところにすごく共感しました。重たく考える必要はないんですけど、こういうことってすごく大事だな~て思っていました。だから、自分のテーマを作るのが、楽になるための一つなのかなというふうに思います。
第2部でぜひ、自分だったら息を引き取るときになんていって思いたいかっていうのを話して、それを考えながら今夜は眠りについてもいいんじゃないかと思います。これで一回締めます。第1部締めます。
”かすがう”ことの楽しさに酔う
お茶のお代わりをもらいに行くのも忘れて聞き入ってしまった2時間だった。この余韻に浸ったまま帰ろうかと思いつつ、ボーっとしていたら、話しかけてくれた方がいた。話していると他の方がどんどん入ってきて、メンバーも話題もぐるぐる変わっていく。
ほどなく、後日アンケートに答えると春日井製菓のお菓子詰め合わせ1,500円分がお土産にもらえるとの発表が。「参加費1,000円なのに?」と言いながら、アンケートページのQRコードを読み取り、お土産をいただく。
話しかけてくださった方の中に、私の暮らすエリアに以前住んでいたという方がおられ、人気の銭湯などのローカルネタで話が弾んだりもして、気がついたら閉店の時間。
おいとましようと思い、民夫さんと西村さんに挨拶した時には残っている人の数も少なくなっていた。そこで豆彦さんが「だいぶ少なくなりましたけど、集合写真、撮りましょうか?」。
え?私がWeWork見学ツアーに行っている間に撮り終わったのかと思っていてけど、撮ってなかったんかい?
というわけで、人数少ない集合写真。
人見知りはどこへやら、たくさんの方とお話しできて、ビールを飲んでいないのに、ほろ酔いのような上機嫌で帰途についた。
後日談: 交流タイムで連絡先を交換した方から、数日後にランチのお誘いをいただいた。彼女とのランチはとても楽しく、これから長いお友達になれそうな予感。人見知りはどこへやら、次回の“スナックかすがい”にも参加して、新たな友達を作ろうと目論み中。
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この体験記を書いてくださった人
ひらばやし ふさこさん|Ms. Fusako Hirabayashi
IT企業にて研究開発、企画、マーケティング等の業務に携わった後、フリーのエディター・ライターに。現在の仕事はビジネス系が中心だが、分野拡張検討中。趣味は散歩と料理。宅地建物取引士。東京都在住。「スミダ読書会」主催。officeTAMAKI311@gmail.com
この体験記の写真を撮ってくださった人
伊藤 愛輔さん|Mr. Aisuke Ito
神奈川県相模原市出身。キャリアのスタートよりフリーランスにて、音楽シーンをメインフィールドに活動。メジャー、アンダーグラウンド問わず、様々なアーティストのライブ、アーティスト写真、ジャケット等を数多く撮影。自身の作品性を保ちつつ支持を高め、多くの信頼を得る。
一歩ずつ活動の幅を拡げ、人物ポートレート、インタビュー、企業等の各種イベント、店舗等の空間撮影や、料理等の静物撮影まで、ジャンルを問わず展開。流れの中でのナチュラルな表情を捉えることを特に得意とする。aisk815@gmail.com