第11夜「スープとカレーとコミュニティ」~好きなことを仕事にした人の苦悩と快楽~
Text by マツイ アヤコ | Ayako Matsui
Photo by 伊藤 愛輔|Aisuke Ito
突然ですが、あなたはカレーが好きですか?
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「いやあ、ちょっとニガテで…」という人は、たぶんあまりいないはず。
※推測
今回はそんな日本の国民食ともいえる、みんなが好きなカレーを食べながら、好きを極めたゲストの話を聞けちゃう特別企画(メニュー提供 by 第8夜で登場した『にしきや』さん。しかも、おみやげ付きの太っ腹。ありがとう!)。
もちろん、いつものように、グリーン豆は食べほ、ビールは飲みほだ。
その日は、ちょうどハロウィンナイト
かぼちゃよりもカレー、仮装よりもカレー。渋谷よりも、六本木よりも、新橋を選んだ大人たちが腹を空かせてぞろぞろ集まる。
さあ、今日も楽しい一夜のはじまりだ☆
スナックかすがいOPEN!
スパイス好きな男、新境地へ!?
1人目のゲストはこちら。竹田 太造さん。
「ん?なんか、みたことがある!?」
と、思った方もいるかもしれない。そう、実は、第8夜でも登場した人。
そのときのトークがおもしろくて、もっと話を聞いてみたい、しかも、カレーを食べながら、というリクエストにお応えして、こうしたカタチで実現することになったのだ。
でも、肩書きをよくご覧いただきたい。
元・にしき食品株式会社。はて、元?
「1ヵ月前に辞めたんです、にしき食品」
って、竹田さん、えええっ( ゚Д゚)!?
まだ、ナイショだが、新しくやりたいことできたからというのが、その理由。さすが”好き”を追求する男は違う。行動が潔い。そもそも、彼はインドを旅した際に出会ったスパイスに感銘を受け、スパイス輸入販売会社に就職した経緯の持ち主。さらに、日本人インド料理シェフのコミュニティ『LOVE INDIA』の会長なんかもやっている。
今日はそちらの話がメインとなるが、まずは、竹田さんが『にしき食品』で手掛けた、本日の一品が運ばれた。
一皿目『にしきや』スープ
~化学調味料・着色料・香料不使用~
コーンポタージュ・ふかうら雪人参ポタージュ・ごぼうポタージュ
豆乳コーンスープ(7大アレルゲン不使用)
通常のレトルトスープは、野菜のピューレは10%以下だそうだが、『にしきや』はなんと60%(ごぼうは固まってしまうため40%)!! まるで野菜をまるごといただいているような美味しさだ。しかも、ふかうら雪人参は、糖度がとても高くて足が速いため、市場にはほとんど出回らないレアなもの。
二品目はこちら。レトルトなのに美味しい、ではなく、レトルトだから美味しい。世の中の常識をひっくり返したカレー。
二皿目『にしきや』インドカレー
~化学調味料・着色料・香料不使用~
ビーフマサラ・マトンパンジャビー・チャナマサラ・ココナッツチキン
ベイガンティルマサラ・コザンブ
野菜と香辛料、そこに具材をプラスした本格風味のインドカレー。通常のレトルトカレーはソースを安定して充填するため、小麦粉やでんぷんでとろみをつけるが、『にしきや』は一切不使用。そのぶんスパイスの香りがシャープに届く。これもわざわざ現地に出向いて、いくつもの工夫を重ねた一品。
すごいよ、すごい、マジ旨い! 私はほとんど趣味と言っていいほど、美味しいもの好きなのだが、どちらもぺろりとたいらげた。
「結構このシリーズは真剣にやりましたね。まあ、何でも真剣にやっていますけど」って、竹田さん。
仕事=義務という位置づけではなく、仕事=好きという位置づけ。そんなキモチがカタチになったモノは、どこか人を動かすチカラがある。
好きを極める、コミュニティ
さて、本題。『LOVE INDIA』は、インドカレー大好き人生を送る竹田さんが、ずっとライフワークとしてやっているコミュニティだ。
もともと飲み会やろうよ、というところからはじまったんです。インド人のカレー屋さん同士のコミュニティはあるのに、日本人のカレー屋さん同士のコミュニティってない。この人は知っているけど、この人は知らない。そんな感じで横の繋がりがまったくなかったので、だったら、とりあえずみんなで集まろう、と、僕ともう一人で、いろんなシェフに声をかけたんです。
キャリアもある、腕もある。参加メンバーは、誰もが知っている有名店の重鎮揃い。キャラが濃くて面白い人ばかりだと言う。
そもそも、日本人でインド料理をやっている人って、もともと結構マニアック。インド料理を追求する気持ちがすごく高いんですよ。それにフレンチや和食みたいに、料理学校やテキストがあるわけじゃないから、基本的に師匠から口述で学ぶ料理なんです。
つまり、同じことをやっても、ルーツが違うのでその方法が異なるらしい。
たとえば、みんなで集まると「玉ねぎの炒めかたって、どのパターンでやっています?」といった会話が交わされる。その前に切りかたがあるんですが、繊維に沿って切るのか、繊維に対して垂直に切るのか、はたまたみじん切りにするのか。「南寄りのルールと、北寄りのルールは違いますよね」みたいな話が、もう、めちゃくちゃ面白くて。もしかしたら、そこにある種の定義があるんじゃないか、じゃあ、それを紐解こう、ということになって、いまは毎月一回、勉強会みたいなことをしています。
自分が培ってきたオリジナルレシピを、誰かに打ち明けたりする機会はいままでなかった。ましてや他のお店のシェフに。それをクロスさせた竹田さん。
隠すことなく、教え合って高め合う。そして、さらなる上を目指す。そんなコミュニティの場を築いた。
商いには直結していない。もちろん、結果的にイコールになるかもしれないが、そこにあるのは、ただひたすらに真剣に、もっと美味しいものをつくりたい、もっと腕を磨きたい、というピュアな想いと情熱だ。
和気あいあいといった雰囲気でやっています。インド料理って、その人の雰囲気がすごく出るんですよ。この前も「えびカレーとは何ぞや?」を紐解こう、ということになって、それぞれがえびカレーをつくって持ち寄って。でも、同じ具材なのに、食べると「これ、あの人の味がするわ」っていうのがやっぱりわかるんですね。
食べるたび、お店に行くたび、ただ美味しいだけじゃなく、料理ってセンスだよね、感動があるかどうかだよね、なんてことを思ってきた私。
インド料理のシェフは、特にそういうこだわり傾向があるのだとか。
金儲けとか、売れるためにはどうしたらいいかとか、そういうことより、どちらかというと自分の世界観を出す、アーティストっぽいセンスの人が多い。お店の内装ひとつ取っても、そういうこだわりがすごく強い感じがします。
センスといえば、『LOVE INDIA』に参加しているのは、シェフだけではない。
ポスターをつくったり、パッケージをつくったりする、カレー好きのデザイナーさん、カレー好きのカメラマンさん、カレー好きのスタイリストさんがいる。
ビジネスに縛られない、年齢や性別は関係ない。英会話とか絵画教室とか、自分のスキルを高める場でもない。まんなかに、自分の”好き”があるだけ。
いわば大人のクラブ活動。仕事に追われていると、なかなかそんな時間は取れないけれど、実は急がば回れ、一石二鳥なんじゃないだろうか。
だって、わいわいつくっていくものは、わくわくがいっぱいで、楽しさに満ちていて。いつのまにかテクニックも研鑽されるし、確実にみんなをハッピーにするし、やっぱり、いいものができあがる。
好きこそものの上手なれ。って、なぜか、ことわざ3連発( ̄▽ ̄)。
みんなにも、”好き”をシェア
シェフ同士を繋ぐ。クリエイター同士を繋ぐ。みんなを束ねるだけでなく、『LOVE INDIA』を世の中にアウトプットする方法や仕組みを考える。いわば懸け橋的な役割を担っているのが、竹田さんだ。
そのひとつが、日本人シェフによるインド料理ファンのためのイベント。せっかくこういうメンバーで集まっているんだから、インド料理の美味しさをシェアしよう、という思いからはじまった。
なかにはいままでありそうでなかった、新メニューの開発もある。
お米屋さんとのコラボ企画で何かできないか、という依頼があって、最初は日本のお米に合うカレーはこれ、といったことを考えていたんです。でも、そういえば、カレーパンはあるけど、カレーおにぎりはない、それいいじゃん、ということになって。
といっても、ただのカレーおにぎりじゃない。具材は『LOVE INDIA』のシェフが真剣に考えてつくったもの。まわりにまぶしているのも、ただのごま塩とかじゃない。このカレーに合うようにブレンドしたクラフトスパイス。なので、”スパイスおにぎり”って呼んでいるんですが、この切り口がめちゃくちゃしっくりきて、自分でも意外なぐらい新鮮だったんです。
パンも美味しいけれど、日本の食シーンはやっぱりお米。私たちのDNAに深く関係がある。インドカレーとおにぎりのまさかの出会い。その発想は確かになかった。
こういうイベントを通して、「これ、美味しかったから、行ったことないけど、このカレー屋さんに行ってみよう」「この人がつくると、こういう味になるんだ、さすが」と、みんなが思ってくれたらうれしいですね。
「まず、自分たちが楽しんで、今度は自分たちが楽しんだものをみんなに広める。お客さんが喜ぶためにやって、それを届けることで、自分たちも喜べる」と、マスターの豆彦さん。
ああ、好きなことがあるって、シアワセ。
好きなことをおもしろがるって、スバラシイ。
ちなみに、竹田さんは、こんなことも言っていた。
嫌いなことはあまりやらないって、決めているんです。でも、もし、嫌いなことがあったら嫌いなままやらないで、好きなことになるように自分で環境を変える。たとえば、以前、通勤時間が退屈だったので、何かエンジョイできるものにならないかと、会社まで38kmの道のりを自転車で走ったことがあったんです。そうすれば、通勤自体がおもしろくなるんじゃないかと思って。実際はへとへとだったんですが(笑)、そんなことをやったり発想の転換をしたりするのが好きですね。
やっぱり、彼は好きを極める天才で、好きを極めるヘンタイだ。
苦手を、”好き”にした人生
2人目のゲストは、こちら。古堅 愛さん。
”ふるげんあい”。音の響きがカワイイ。名前のまんまキュートなルックス。ぴちぴちの27歳。って、ほとんど昭和のオヤジだが(笑)、またもや、みたことがあるという方がいるかもしれない。
そう、彼女は、春日井製菓が入っている『WeWork』新橋で、コミュニティ・リードというお仕事をしている人。“スナックかすがい”のWeWork内見クイックツアーでも、案内役としてしばしば登場している。
そもそも、『WeWork』ってなあに?という方はコチラ。
What's WeWork?
2010年に創立された、ニューヨークに本社があるコワーキングスペースを提供する会社。現在、企業や個人事業主など約50万人の会員が、世界500以上もの拠点で利用している。さまざまなスタイルのオフィスや会議室、ビジネスに必要な諸々が揃っているだけでなく、他の入居者たちと交流を持てる共有スペースが充実しているのも特長だ。ドリンクはもちろん、新橋では15時から21時までなんとビールが飲み放題。月曜日には無料朝食サービスも。イベントも定期的に実施され、コミュニティの場として活用されている。
こうした場所やサービスを通して、結果的に人と人を繋げる役割を担っているのが、愛さんだ。社会人になってまだ数年。けれど、なるほど現職は天職だ、と思える経歴を辿っている。
まず、最初にびっくりしたこと。
「私、20歳まで、まったく英語を喋れなかったんです」
え!? だって、いまぺらぺらじゃん。バイリンガルじゃなかったの??
外資系広告代理店にいたくせに、英語はからっきしな私。
思わずググっと前のめりになる。
海外なんて、親に連れて行ってもらったこともなければ、まったく興味もなかったんです。大学は英文科だったので文法はできたんですが、喋るのも聞くのも全然ダメ。外国人の先生のクラスでも、80分間ほとんど何もわからないという(笑)。ただ、フライトアテンダントになりたかったので、何とかしようと、バンクーバーに3週間だけ留学する学校のプログラムに、勇気を振り絞って行きました(笑)。
けれど、この経験が、愛さんの人生を大きく変える転機となった。
海外の方と話したこともなければ、生活をしたこともなかったなかでのホームステイ。最初は全然行きたくなかったのに、3週間やり遂げたという達成感があって、考えかたが180度変わったんです。
帰国後すぐに両親に「今度は一年間留学したい」と報告したら、「3週間だったから楽しかったんだよ」と言われて答えはNO。でも、何とかしたくて粘ったら、「自分のお金だったら行ってもいい」というお許しが出て、そこから学校に行きながらアルバイトを2つフル稼働で掛け持ちしました。
こうして学費を貯め、最終的には生活費を少し支援をしてもらい、大学2年生が終わった年にめでたく留学。
バンクーバーのWEBマーケティング企業でインターンを、帰国後はブリティッシュコロンビア州政府事務所でインターンを経験した。
好きな仕事が、みつからない!?
ところが、勉強して英語を喋れるようになったら、飛行機に乗って移動するよりも、移動した先で働きたいと考えるようになった愛さん。
だが、何をやりたいのかわからない。どんな仕事をしたいのかわからない。就職説明会に行っても、行きたい会社がみつからない。
全然答えが出なかったんで、どうしよう、と、すごく悩みました。でも、考え抜いた挙句、そうだ、外交官になろう、と思ったんです。そこからは学科試験のために、まったくやったことがなかった経済学や国際法を、予備校で受験のとき以上に必死に勉強しました。そうしたら、なぜか1次試験を通ってしまって。
自分の気持ちに正直に生きる人なんだな、と思う。
やると決めたらすぐ行動に移す。目標に向かってまっすぐ突き進む。その想いの強さが、実現への原動力となっている。
2次試験で半分に絞られるんですが、残念ながらそこで落ちてしまいました。でも、1次試験で受かったので、一年間だけ外務省と契約して、伊勢志摩サミットのPRのお仕事をしたんです。ちょうどInstagramやFacebook、Twitterが出てきた頃だったので、SNSを利用して若い人たちにG7サミットに興味を持ってもらう業務にも関わりました。
その後、日本の『アメリカン・エキスプレス』に入社。続いてトロントの同社へ。エグゼクティブクラスの顧客が多い環境で、トラベルコンサルタントとしておもてなしを含めた就労経験を積む。
そして、帰国。次の転機は、昨年6月のことだった。
本当に好きなことを、毎日やろう
転職活動をしていたときに、ふと目に留まった『WeWork』のゼネラルマネージャーのインタビュー記事。
「Do What You Love」
あなたの本当に好きなことを毎日やりましょう。
『WeWork』のスローガンは、愛さんがまさに目指していたことだった。
私自身はまだまだ経験も少ないですし、人生について伝えられることなんてないんですが、カナダの語学学校で出会ったビジネスマンの方たちって、もう、仕事大好き。自分の仕事のことをすごく熱く語るんですよね。キャリアのために英語を勉強して、「もっともっと、こういうことをやりたいんだ」という人が多かったんです。
たまたまそういう人に出会ったのかもしれないんですが、『アメリカン・エキスプレス』で働いていたときも、「好きだからやるんでしょ、仕事って。好きじゃないのに、1日8時間もここにはいられない」という方がすごくいて。私もどちらかというと、毎日8時間仕事をするなら、好きなことをやりたい。毎日何かをやるぞって、パッションを持って働きたい。そういう想いが強過ぎて、たぶん、就活のときに会社を選べなかったんですけど。
帰国後、友だちと会ってよく耳にしたのが、「仕事に行きたくない」という言葉。仕事が楽しいかどうかを聞くことも、ちょっとタブーな印象を受けたたという、愛さん。
『WeWork』は、仕事=ネガティブを変えていけそうな会社だと感じた。『WeWork』の考えかたに共感して入社を決めた。
ちなみに22歳から65歳まで働くと、私たちは43年間仕事をする計算になる。お金のため、生きがいのため、やりがいのため、自分を高めるため。どこに価値を置くか。
好きじゃない仕事に就いても、プライベートで好きなことをすればいい。好きな仕事に就いているから、プライベートは好きなことをしなくてもいい。あるいはどちらも頑張ってよくばるなど(笑)、考えかたや働きかたは人それぞれだ。
愛さんのキラキラした想いを聴きながら、そんなことを考えた。
コミュニティって、何だろう?
最後は、愛さん、竹田さん、豆彦さんの3人で、コミュニティについてのディスカッション。
愛さん
『WeWork』って、ここのコミュニティに共感して自分の意思で入る方が多いんですが、なかには会社が決めて入ってくる方もいて。そういう人たちが「会社に行きたくない」ではなく、「今日も頑張ろう」と思ってもらえるように、イベントを開催したり朝食を提供したりしています。
いままでは、自分の部署の人たちとしか話さなかった、会社はそういうものだと思っていた、という方がほとんど。でも、『Wework』なら、毎日違う会社の人たちと繋がることができるし、会社が別々でも興味や関心が同じ人たちがいる。
そこで、新しいコミュニティが生まれたり、飲み友だちができたりするので、仕事以外にオフィスに来たい要素をつくるのも、私たちができることだと思っています。
竹田さん
『LOVE INDIA』が、会社と違うところがひとつだけ。それは、シェフのみなさん一人ひとりがオーナーであるということ。言ってみればそれぞれが社長さん。
組織にいると自分の判断で決められることは極めて少ないけれど、自分で判断できる立場にあるというのはすごく大きい。何かに乗るか乗らないかを、自分で決められる。その代わり、乗ったら最後まできちんと付き合う責任を持つ。
それが、たぶん、『LOVE INDIA』がコミュニティとして継続している、ひとつの理由だと思います。
豆彦さん
イノベーションが起こる要素としてよく言われている、オープン、フラット、ダイバーシティ。それに近いですよね。お互いに認め合う。
愛さん
人と人が繋がることで何かが生まれる。それは、すごく実感しています。
私たちは、ここにいる人たちを、同じビルで働いているひとつの家族だと思って接しているんです。なので毎朝、みなさんが来るのを迎えて、みなさんが気持ちよく働けて、コネクトできる環境をつくる。
人と繋がって嫌だという人、あんまりいないと思うんです。どちらかというと繋がりたい、繋がったら今度は誰かにその人を繋げたい。いろんな人と話しながら、いろんな人と会いながら、そうした繋がりを大きくしていく、そんな感じですね。
豆彦さん
『WeWork』が秀逸だな、と思っているのは、コミュニティバーがかつてのタバコ部屋のような機能を果たしていること。同じ釜の飯じゃないけれど、飲む、食べる、といった行為は、そういう効果がすごくある。
特にビールが実は大きくて、「お前ら飲みながら仕事をしてるのか」とよく言われるんですけど、「ええ、そうです」と(笑)。
もちろん、酔っぱらっちゃう人は飲まないほうがいいんだけど、酔っぱらわない人はなんで昼に飲んじゃいけないんだっけ、みたいな(笑)。自分で管理できればいいんです。好きなことをして幸せになるのがゴールで、幸せになりながら働けるんだったら、別に飲んでもいいじゃん、と枠を外したところが、『WeWork』のすごいところだと思っているんです。
あとは、TGIF(Thank God It's Friday)ではなく、TGIM(Thank God It's Monday)。1週間がはじまる月曜日にこそみんなでエモーションとエナジーをチャージしようと、コミュニティ・リードの方たちが選んだ朝食が毎週無料提供されていて。パントリーに取りに来たときに、オフィス違いやフロア違いの知らない方たちと、あいさつを通して繋がることができる。そういう仕掛けが、いろんな所に仕組まれている。
なんでそんなところにお金を使うんだ、と考える人もいるかもしれないけれど、みんなが心地よく働いてくれたほうが業績って伸びるんじゃない、と思います。
さらに続けて、豆彦さん。こんなことも語ってくれた。
「商いをうまく進めるためのものだったり、共通の趣味を持つ人と繋がるためのものだったり。コミュニティっていろいろあるけど、真ん中に何らかの信念があって、それがだんだん近くから遠くに広がっていくことを、『コミュニティを育てる』ってよく言いますよね」。
うーん、めちゃくちゃ共感。
これ、美味しいインド料理をつくりたいという想いのもと、自分の技術を他のシェフに伝えたり、自分たちの好きなものを世の中に広めていったりする『LOVEI INDIA』にも当てはまるし、「Do What You Love」をやっている人たちを増やしていきたい、という、『WeWork』の想いにも当てはまる。
愛さん
『WeWork』だけの力では、コミュニティはできないと思っています。このビルにいる方たちからいろんな人を紹介されてご協力していただいて、そこからアイデアをもらって、みなさんに助けられているからこそ、感謝です。
豆彦さん
ここにいる人たちって、すごく忙しそうなのに困っていると近づいてきてくださるんですよ。持ちつ持たれつみたいなことが、ちゃんと回っている。みんな本当に愛にあふれていて、結局、やっぱり愛だな、と(笑)。
そっか、愛か。好き、が、ここで再びつながった。
この体験記を書いてくださった人
マツイアヤコさん|Ayako Matsuiさん
東京都出身。コピーライター&プランナー。化粧品会社、国内・外資広告代理店を経てフリーランスへ。グラフィック広告やTVCM企画、ブランディングなどを手掛ける。琴線に触れたもの、揺り動かすもの、心のなかのぼんやりしたイメージをカタチにしたり、眠った思いを呼び起こしたりするのが好き。粘り強く打たれ強く意外にも?繊細な文章を綴ると言われている。
旨いものとお酒と山とランを愛し、100㎞ウルトラマラソンを走ったことも。がん経験を活かし、正しい知識を伝える講演や活動もおこなっている。
ayamix817@gmail.com
この体験記の写真を撮ってくださった人
伊藤愛輔|Aisuke Itoさん
神奈川県相模原市出身。キャリアのスタートよりフリーランスにて、音楽シーンをメインフィールドに活動。メジャー、アンダーグラウンド問わず、様々なアーティストのライブ、アーティスト写真、ジャケット等を数多く撮影。自身の作品性を保ちつつ支持を高め、多くの信頼を得る。
一歩ずつ活動の幅を拡げ、人物ポートレート、インタビュー、企業等の各種イベント、店舗等の空間撮影や、料理等の静物撮影まで、ジャンルを問わず展開。流れの中でのナチュラルな表情を捉えることを特に得意とする。aisk815@gmail.com