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みんなのお悩み相談#3 限りなくグレーに近い発達障害でひきこもりの兄 どう支援できるかな?

こんばんは。
LITALICO仕事ナビ編集部です。

読者のみなさんからいただいた「はたらく」ことにまつわるお悩みを毎週1つずつご紹介、読者のみなさんや支援者・専門家サポーターからの応援やアドバイスを募集する「みんなのお悩み相談」コーナー。

今回は第3回目のお悩みです。

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ご相談者: ももふくさん(30代・ひきこもり状態であるお兄さんについてのご相談)

ももふくさんからのお便り
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30代半ばの兄の相談です。

兄は20代から仕事が続けられず、10年以上実家の自室でひきこもりの生活を続けています。今年に入り、精神科受診を経て精神障害者手帳を持ちました。医師曰く、限りなくグレーに近い発達障害との診断でした。

長い期間社会との関わりを避けてきたこと、自分自身にコンプレックスを抱えていること(借金まみれになり携帯を使用出来ず知人に笑われた等)が邪魔をして社会に出る勇気が持てないのかなと兄を見ていると感じます。

しかし自分は就労支援施設にいる人達とは違うとも兄自身話していました。
兄のようにグレーな障害をお持ちの方達はどうやって働くことと向き合っているのでしょうか。またこういった事例にはどのような支援が当てはまるのでしょうか。
---------------------------------------------------------------------------(以下、2018/10/09更新)

読者のみなさんから多くのご投稿をいただきました!

見えにくい「グレーな障害」がある人が、働くこととどうやって向き合っていけばいいのか、家族や周囲の人たちにできることは?

読者のみなさんからの応援・アドバイスの声をご紹介します。
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まずは地元の自治体の相談窓口や各種支援団体をお調べいただくことをおすすめします。

自治体や団体により対応は異なるとは思いますが、私の住んでいる地域の当該団体は、たとえば「家族との仲が上手くいかなくて寂しい」とか、「明日食べるものがない」とか「なんとなく将来が不安」とか、かなり個人個人の大小の事情に寄り添って相談を受けてくれるような団体でした。

さて。

ここから下は、あまりインスタントな解決法等のお話ではありませんし、ひょっとしたら的外れですらあるかもしれません。

ご相談者様のご参考になるものであれば幸いなのですが、ともかく、かつてひきこもりやら何やらを経験し、今ではそれなりに元気に生活を送っている私の思うところを色々と書きます。

ブラックではなく「グレー」ゆえに、金銭的メリットを得られるような制度も少ない。

かといってホワイトではなく「グレー」ゆえに、他者からは見えにくい、重たい足枷のようなものがいつでも自分にくっついて来る。

「グレー」って、なかなか誰にも拾ってもらえないんですよね。

困っているのは確かでも、誰かが認めてくれないと「ブラック」にはならず、各種支援は受けられない。
そりゃあ、体も一応動くけれど……。

でも、私は思います。

自分が確かに困っていたり、つらいと感じているのなら、誰かに認めてもらえるのを待たずとも、少なくとも自分の中では「ブラック」としてしまってよいのだと。何かを確かに訴えている自分の内心へ、存分に愛の手を差し伸べてよいのだと。

というか実際に困ってるし。辛いし。周りはグレーだホワイトだと言うけれど、自分の心は明確な「ブラック」を訴えている。

そもそも、ホワイトの中にブラックが混ざらなければグレーは誕生しません。少し強引な括りかもしれませんが、「グレー」とは、その中に確かに「ブラック」が存在しているからこそグレーなのです。

ただ、それでも周りの目にはなかなかそのように肯定的には映りません。愛の手を「甘え」などと言い、否定する人がいます。当人にとって至極有益な試みの最中で起こる「失敗」とか「無様」を、許さない人がいます。こういった現実を、個人の力で変えることは難しい。

でも、自分の精神構造は自分で変えられます。誰かに認めてもらわずとも、自分にとって満足のいく幸せな生き方は可能、ということです。

私は不登校やひきこもりの経験者ではあるものの、発達障害の診断を受けた身ではなく、そういった方々との交友経験が多少ある程度の人間です。そのため、発達障害への理解が浅い立場であり恐縮なのですが、ご参考になれば幸いです。

私の「足枷」は、学校でのいじめや家庭環境によって培われた非常に根強い自己否定感、自己無力感、自己無価値感といったものでした。

学校で受けたいじめが、個人の生きる自信を永劫に潰してしまうことは想像に容易いかと存じますが、他にも私の家庭では、宗教上の理由から、誕生日を祝ってもらえなかったり、子供心に興味の向くことを大方禁止され怒られていたりと、「私」個人の意思がまるで悪のように扱われる傾向にあり、あまり「私」を愛されたような記憶がありません。親族から性的な暴力を受けたこともあります。

子供の私は、それらに反抗するでもなく、当然のこととして受け入れながら日々を生きていました。

私の頭の中には
「○○ができなければダメだ」
「○○ができない自分に、生きている価値はない」
などと信じ込んでしまいやすい思考回路が作られました。

何かが他人より優れていることに安心感を抱き、何かが他人より劣ることに強い不安感を抱きます。

そして、成人後に大きな挫折を経験したことで、
「自分には何もできない」
が表面化し、いよいよ未来が見えなくなりました。

何かができないと自分に価値を感じられないのに、「何もできない」という感覚が頭から離れないのです。

そんな時に私が偶然たどり着いたのが、読書でした。

心理学系の本など、「生き方」に関する本を夢中で読みました。といっても元々読書の習慣など無く、読む速度も遅いため、そこまでたくさんの冊数は読んでいません。

けれど、タイトルなどから直感で選んだそれらの本の多くはこれまでの私の価値観に対してとても衝撃的であり、心に沁みるものでしたので、飽きることなく自分のペースでじっくり咀嚼し、内容は感覚に刻み込まれました。

時には、ネットラジオなどで著者さんの生の声を聞いたり、更に思い切って、講演会や集団カウンセリングなどのイベントへ赴き、自分のよく知る著者さんへ、胸の内を打ち明けてみたこともあります。

日常を過ごす中で溜まったもやもやは、本を読むことで晴れました。ですが、本を読んでも残るもやもやがありましたので、これは書いた当人に触れることで晴らそう、と思い、そうしました。

ブドウを酸っぱいと決め込む某キツネのように、何かと、食わず嫌いや決め付けの多かった両親を反面教師とする行動でもありました。

ともかくかつての私が、心や直感で以ってそんな行動を取った結果、今の私の足枷は、昔とは比べ物にならないほど軽くなりました。

これまでの道のりも、この先の見通しも、単純にすべて完璧に順調に順風満帆に、というわけではありませんが、将来への不安感はほぼ霧消し、かなり幸せな人生を送れています。

思えば、ずいぶんと自分勝手になったものです。
そんな自分勝手な自分が好きです。

自分が「グレー」で、自分よりももっと大変な状況の人がたくさん居るから、自分は、助けを受ける資格がない。そんな風に思っていました。

でも「グレー」だから力を借りてはいけない、借りることはできない、なんて決め込むことは無いと気付きました。仮に「ホワイト」な人であっても、各々色々なものに頼りながら生きています。

人でも、物でも、環境でも何でもいいから、何か、信頼のおける、自分のためになりそうなものを見つけたら、それを逃がさないようにしてみることをおすすめします。

家の中で過ごす人は、外に出て働く人から虐げられて然り、なんてことはありません。

外で働く、中で働く、
他人と働く、ひとりで働く、
頭を使って働く、頭を使わないで働く、
がんばって働く、楽に働く、
成長しながら働く、停滞しながら働く、
自分を活かして働く、自分を殺して働く、
働く、働かない。

色々な要素を吟味して、自分が望む方を手に取ってみませんか。

選んだ要素を全て兼ね備えているような理想の環境こそなかなか手に入るものではないかもしれませんが、自分が何を求めて生きているのか知っておくことは決して損ではないと私は考えます。

自分について新しい気付きや発見があった時には、後々自分で振り返れるようにメモを残しておくのもおすすめです。

ご相談者様を取り巻く状況が、少しでもご相談者様にとって良いものになっていくことを願っております。

(回答者: 高橋明史さん)
高橋さんは、ひきこもり経験者中心で結成された
株式会社「ウチらめっちゃ細かいんで」で働かれています

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今年34歳、10年ほどひきこもった者です。精神障害者手帳は取得していませんが、発達障害を疑う特徴をいくつか持っています。私はアルバイトすら長く続かず、 就労意欲は現在ほぼゼロです。

しかし、ひきこもっていたときは違います。

弁護士を目指して勉強していたため、就労意欲は過剰なほどあったと言えます。司法試験を諦めて働き出すことは「逃げ」であり、自分を裏切る卑怯な道だと考えていました。弁護士として働くこと、ただそれだけを目指して人間関係を断ち、ひきこもって勉強していました。

このような道に進んでしまったのは、自分に自信が無かったからだと思います。資格を取得して自信をつけてから社会に出たかったのかもしれません。バブル崩壊後は大企業であっても倒産し、路頭に迷う人々が現れました。そのため、自分の選択は合理的であるとさえ思っていました。

ところが、ひきこもっていると、ますます自信が無くなります。人とどのようにコミュニケーションをとればいいのかさえ分からなくなります。さらに、ひきこもりとは、状態を指し、病気ではありませんが、長期化すればうつや対人不安などの症状も出てきてしまいます。そのため、就労の前段階として、健康を回復することが必要になってきます。

ひきこもっている人の状態は、百人百様で異なるため、一概にこうすればいいという方法はありません。しかし、大切なことは、人間関係を取り戻すということです。人に傷つけられ自分を守るために人間関係を断ったとしても、癒されることはありません。むしろ、ひきこもったことによって病んでいきます。人間関係を失って現れた苦しみは、人間関係をもう一度築き上げることによって克服する必要があります。

ただ、困ったことに、ひきこもりだと誰も仲良くしてくれません。イメージが最悪だからです。そのため、同じ経験をした人たちが集まるところに出かけてみることから始める方法が一番安全です。就労支援施設に行けば必ず気の合う人がいるとは限りませんが、偶然の出会いがあります。希望が持てる話を本人に家族がしてみるというのもいいかもしれません。

私の場合は、ネット上で知り合った女性から一眼レフカメラで撮影してほしいと頼まれました。ネット上では働いていると偽っていたので、嘘を守るために一眼レフカメラを購入しました。しかし、使い方が分かりません。そこで写真の学校に入学することにしました。これが、私のひきこもり脱出です。結局、その女性には彼氏ができたので付き合うことはありませんでしたが、今は、このカメラで仕事をし収入を得ています。

何がひきこもりの脱出に繋がるかは分かりません。ただ、人との出会いが運命を大きく変えます。弁護士にならなければ働かないという考えはあっさり消えました。何者かになるよりも、今の自分を受け入れて進むようになりました。働いてお金を得たいという欲望よりも、人と繋がりたいという根本的な人間の欲求を刺激できるといいのかもしれません。
(回答者: 木村ナオヒロさん)

木村さんは、ひきこもり当事者によるニュースサイト、「ひきこもり新聞」の編集長を務められています。

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発達障害についてはクローズドで一般就労している30代男性です。当事者として、働くことに対してどのように向き合っているのかをお伝えできればと思いご回答させていただきます。

私にとって働くことは、生きていくためのお金を稼ぐためでもあり、放っておくと自分の世界に引きこもりがちになってしまう自分が、世の中との接点を持つためにやっていることだと感じています。

最近では自分の専門技能を評価してもらうことも増えてきたので、楽しいからやっているという側面もあるかもしれません。
(私個人については、おそらく発達障害がない方とあまり変わらない見方をしているのではないかと考えています)

小さなころから、ほかのひとにとっては簡単にできることが自分にはがんばってもできない と痛感する経験がたくさんありました。

おそらく発達障害をもっている方は、発達障害を持っていない人に比べてこのような経験をすることが多いのではないかと思います。

そのために自信を失ってしまい、自信がないために自分ができないところを重点的に見てしまうよう という悪循環にはまり込んでしまう人も少なからずいるのではないかと思います。私はそのひとりでした。

私の場合興味のあることには集中できるタイプだったので、学生のころから専門技能の習得にのめりこんでいました。就職してからもいろんな場面で自分がほかのひとよりも劣っていると感じることが多かったのですが、専門技能については「自分でもほかのひとにはできないことができるんだ!」と思えるようになっていき、そこから自信をつけていくことができるようになっていきました。

支援について私は無知なので、残念ながらアドバイスできることはございません・・・。

ですが、ももふくさんのようにお兄さんのために何かしてあげたいという方がご家族にいるのであれば、きっと良い方向に進んでいくのではないかと思いますよ。
(回答者: 凸庵さん)

凸庵さんは、発達障害ポータルサイト「LITALICO発達ナビ」でご自分の経験をコラムとして連載執筆されています。


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回答者のみなさん、ありがとうございました。

先日、LITALICO仕事ナビ編集部でも、ひきこもり当事者主体のIT会社「ウチらめっちゃ細かいんで」さんの取材に行ってきました。

一人ひとりの体調や気分の状況を共有しながら、チャットツールも活用しながら柔軟に働けるなど、さまざまな工夫をされていました。

ももふくさんのご参考にしていただければ嬉しいです。

Information
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働くことに障害のある方の就職情報サイト「LITALICO仕事ナビ」

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※募集は締め切りました。ご協力ありがとうございました。


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※情報や肩書は記事作成当時のものです

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